第1話 義兄らの挨拶
お待たせ致しましたー
お互い帰省も無事に終えて。
年も越せて、わずか数日後の三が日。
とうとう、この日が来てしまったのだ。
「碓氷メアリーと申します」
「小森秀司……です」
メアリーと、秀司の……両家との顔合わせ。
もちろん、結婚の云々ではなく……怜と裕司が数年前に行ったように、同棲の許可を得るためだ。
そこに互いの両親以外に、なぜ怜と裕司も同席しているのかと言うと……怜が提案した後にいて欲しいと本人達からの立っての希望があったからだ。
「「「「…………」」」」
本人達が自己紹介をし終えてからしばし。お互いの両親らは、見事に固まっていた。怜は、裕司らの両親らとは当然面識があるので大丈夫だが。
メアリーの両親は……予想以上に派手だった。メアリーが父親が完全にメアリーの男性版と言うくらい似ていたからだ。母親も、雰囲気を見るとクオーターがあるのか顔立ちがどことなく外国寄りではあった。
対する、小森側と言えば、普通の日本人である。だからか、お互い驚いたのかもしれない。
と、怜はハラハラしながら見守っていたのだが。
「これは御丁寧に。秀司の父と母です」
「いや、こちらこそ。メアリーの父と母です」
父親同士が先に発言したことで、いくらか場の空気が和らいだ気がした。
(日本語ペラペラだあ)
と、怜は少しびっくりしたが、横にいる裕司も同じように思ったのか苦笑いしていた。ちなみに、怜と裕司は彼らとは少し離れた席できちんと腰掛けている。服装も、少しラフなレンタルドレスにスーツだ。
「この度は、倅と御息女殿の呼びかけに応じて下さって、ありがとうございます」
「そんな! うちのじゃじゃ馬娘がご迷惑をおかけしているでしょう?」
「……ちょっと、パパン!?」
「いやいや!? こちらこそ、うちのがご迷惑を」
「……父さん」
何故か、緊張のしすぎでお互い低姿勢になってしまっているようだ。堅苦しい感じに見えなくもない。
「……大変だねぇ?」
「まあ。メアリーちゃん、あれだけ可愛いから父さん達としても兄貴に相応しいかとか焦るんじゃない?」
「そうだねぇ?」
メアリーはたしかに綺麗で可愛らしいので、怜はちっとも嫉妬せずに頷くことが出来る。
「俺はメアリーがいいの! メアリーも同意してくれてるんだから、今日席を開いたわけ!!」
「「……秀司」」
「何? その生暖かい目!?」
今までの秀司の恋愛事情については、先日の場で聞いたきりだが……両親にもいくらかあきられていたのだろう。たしかに、他人が見ても少し笑ってしまうくらい、生暖かい目をしていた。
「……秀司君」
「は、はい」
メアリーの父に呼ばれると、秀司は立ち上がってた姿勢を正して彼に向き合った。メアリーと同じ、碧い瞳は優しく細められていた。
「……本当に、うちの娘で?」
「……はい。お嬢さん以外は、選びません」
「はは。となれば、認めないわけにはいかないね? そうだろ? 菜月」
「ええ、そうね?」
母親のことを呼ぶと、彼女も似たような表情でいた。
「……うちの倅に何かあれば、遠慮なく言ってください」
「本当に」
と、小森側は相変わらず低姿勢でいた。怜らの時のように、親近感はないわけではないだろうが……ある意味異国からの女性を迎え入れるのだから、いつものようになれないのは仕方がない。
と、思っていたのだが。
「「「「あとはよろしく〜〜!!」」」」
お互い話がまとまった後……結局はお互いに意気投合してしまい、両親同士の飲み会へ行くことになり。
怜らは、見送るしかなくぽつねんと残されるのであった。
「「デジャブ……」」
「お前らもかよ……」
「んもぉ、パパンったら」
自分らはどうするか話し合おうと思ったが、ドレスのレンタル時間を過ぎるのもいけないと、まずはドレスショップに全員で向かうことにした。
次回は16時15分〜




