第3話 双子の相違
お待たせ致しましたー
「今までさ? 裕司に俺の作品とか……あんまりやったことないんだ」
作業の目処がついたので、身支度を整えると洗面所に行った秀司が……身綺麗にしてきてから最初に怜に言った言葉がそれだった。
「……そうなの?」
兄弟……しかも、双子だが二卵性なので二人は一卵性のようには似ていない。少しだけ、雰囲気とか顔のパーツを照らし合わせれば似てなくもないが……性格はほとんど似ていない。
お互い、一人の人間だから当然だとは思うが。
「あいつは料理、俺はアクセ。お互いに夢中になってたものが違い過ぎて共感出来にくかったんだ。価値観とかも……まあ、すれ違い多かったし。今はメアリーがいるけど、女受けいい顔が俺でだろ? だからか、変に対抗意識持ったのか怜ちゃんと出会う前はちゃらんぽらんだったんだ」
「……聞いたことある。最後のは」
「あ、話したんだ?」
「秀司君のことじゃないけど……前の彼女さんのこととか」
「けど、今は違う。成長したんだよ。裕司も……!? 俺もだけど!」
少し間を置いたのは、食事を持ってきたメアリーの圧力から出た発言なのだろう。冷や汗が少し出ていたような気がした。
「うーん? 昔の、こ……ゆーくんはよく知らないけど、今で十分だよ。私を大事にしてくれているから」
「……べたぼれだからなあ?」
「そうね? ヒロとのことはあったけど、誤解を解くのに頑張ってたんでしょう?」
「うん」
あの時は、怜も事情を知らなかったとは言え一方的に意見を押し付けてしまったが。
それでも、裕司は最終的には自分が悪いと言っていた。寛大な心で怜を受け止めてくれたのだ。だからこそ、今回のプレゼントはお詫び以上のモノを用意したいと思ったのである。
「いいわねぇ? 資金が貯まればすぐ結婚出来そうじゃない? 羨ましいわ〜」
メアリー達の関係を、深くは聞いてはいないが秀司の先程の言葉も踏まえると……ある意味、裕司と怜に近い状況かもしれない。
でなければ、一見プライドの高そうなイケメン寄りの秀司の心を射止めていないだろう。事実上の同棲のようでもあるそうだから。
「……そう言えば、二人はお互いのご両親と挨拶してないの??」
だから、少し気になって聞いてみれば……秀司もだが、メアリーもいきなり固まってしまい。少し間を置くと、お互いの顔を見合わせるのだった。
「「迂闊だった!!」」
「マイとはしてたのに!!?」
「日取り決めましょうよ!!?」
「だな!?」
「……お邪魔?」
「「いや!! 怜ちゃん達も居て!?」」
「……ゆーくんも?」
「「うん!!」」
と言うわけで、今時は珍しいかもしれないが将来の義兄弟達の両家挨拶に参加することになった。
怜が、すぐに刻印の作業を終えて秀司からキーケースを箱付きで受け取った後に、LIMEで届いたが。
メアリーのメッセージのよると、怜達のように年明けの三ヶ日あとになりそうだった。
次回は16時45分〜




