第4話『落ち着くルイボス茶』
お待たせ致しましたー
「なんであんたらがいんのぉ!!?」
「「い゛っただだだだ!!?」」
「姉貴、痛い痛い痛い!!」
「マジで締まる!!?」
本当に器用というかなんと言うか。
怜は弟ら二人の首を本気でないとは言え、締め上げていた。芽依らもかなり痛がっていたが、『ギブギブ!』と何度か言ったことで姉の攻撃も止まり。
怜が仁王立ちで待っている頃には、息切れていた。余程、苦しいし痛かったのだろう。
「……で?」
短い言葉のが迫力があると言うのか。
怜のその問いかけだけで、芽依らをすぐに正座へさせてしまうのだから。
「「は……はい」」
「なんで来たの? 大学は??」
「「お互い、休講……」」
「そ。来たのは?」
「母さんが……」
「様子見ついで、お見舞い行って来いって」
「……あぁ」
短い言葉のやり取りでわかったのか、怜は大きく息を吐いた。
裕司も秀司と目を合わせるとお互い苦笑いしてしまう。年の離れた妹と、なんとなく似た雰囲気があるからだろうか。
「怜ちゃん」
秀司が呼ぶと、怜は『あ』と今更彼がいることに気づいたようだ。
「あ、ごめん。変なの見せて」
「いいっていいって。弟君らは俺の顧客にもなってくれたんだから」
「顧客? なんか頼んだの??」
「「アクセを……いくつか」」
「……私の弟だからって、割引きしてもらってないよね?」
「多少は。いいって、大幅にはしてないから」
「……そう」
とりあえず、病み上がりから数日経っても疲れたのか……怜はその場で座り込んだのだった。だから、裕司もコーヒーではなくカフェインのない紅茶……ルイボス茶を淹れてあげた。紅茶の見た目だが、癖はあっても飲みやすいのだ。
少しぬるめに入れたのを渡せば、怜はほっとした表情となった。
「ほんとに怜やんを心配して来てくれたんだから、あんま怒んないでやってよ」
「……ほんと?」
「「ほんと!!」」
横目で弟らを見る怜も可愛らしいが、震え上がる弟達を裕司は宥めてやった。
「「じゃ、俺ら帰るから」」
「俺も、お邪魔〜」
少しばかり談笑したあとに、三人は帰っていった。時間も夕方だからか、秀司はメアリーと半同棲してても芽依らはふたりで一緒に住んでいるので自炊のために帰宅するそうだ。
怜ほどではないが、ある程度は料理をするそうで。
「……弟達が、ほんとごめん」
「迷惑はしてないぜよ?」
三人が帰ってから、怜はまず裕司に謝罪してきた。
しかし、本当に迷惑だとは思っていないので正直に伝えた。
「……ほんと?」
「おかあさんに言われただろうけど、わざわざ果物のカゴ持ってきてくれたんだし。いい弟君らじゃん?」
「……そう?」
これまで過ごして来た経緯もあるだろうが、彼らも今は成人して考え方も変わっているだろうから。
とりあえず、将来の義弟らが持って来てくれたフルーツを使って、裕司は食後に怜が大層喜びそうな飾り切りを披露したのだった。
次回はまた明日〜




