第3話『飾り切りフルーツ盛り合わせ』
お待たせ致しましたー
「「じゃ、秀司君よろしく〜〜!!」」
「ん。出来次第LIMEで連絡するから」
「「うぃ」」
意気投合しまくりではなかろうかとも思うのだが。
変に緊張し過ぎるよりは、よっぽどいいだろう。
裕司は裕司で、芽依らが持ってきた果物の中でりんごとかを飾り切りしながらそんなことを考えていた。
「終わった?」
「ん、とりあえず」
フルーツ盛り合わせをテーブルに真ん中に置けば、芽依らは『わっ!』と声を上げた。
「すっげー!」
「姉貴じゃこんなすごいの無理だ!!」
りんごは定番のウサギりんごではなく、段差をつけたものとか。
オレンジも皮をうまく細工したりとか。あとも諸々似たように。
男だけしかいないとは言え、気合を入れてしまいすぎた。
「女とかが喜びそうなやつだな……」
秀司には、感心通り越して苦笑いされてしまったが。
「怜やんには帰ってきてからまたやるさ」
「はいはい。仲良いことで」
「裕司君! 食っていい!?」
「食べたい!!」
「ん、どうぞ」
味は分かりきっているが、見た目も美しくなると期待値が高まるのは仕様がない。裕司が答えれば、眞島兄弟はオレンジにかぶりついた。
「「うんま〜〜!!」」
「いいの選んできたけど……なんか、ジューシー!!」
「やっぱ、裕司君がプロだから??」
「切り方気をつけたくらいで、そんな難しくないよ」
「「さっすが〜〜」」
年子だと言うのに、裕司と秀司よりよっぽど双子らしい。食べ方までは同じではないが、たしか怜には二十歳は越えていると聞いていたのに、少し子供っぽい食べ方でフルーツの盛り合わせを平らげたのだった。
「姉貴が裕司君に胃袋掴まれた理由わかるなあ?」
「なー?」
「……なんて聞いてるの?」
彼らの両親とも、数年前の同棲許可を得るための顔合わせ以来会っていない。この弟らとも今日が初対面なので、裕司の眞島家への印象をよく知らないのだ。唯一、あの時期の年末の通話で近況報告を聞いたくらいである。
「ん〜〜? とにかく、ご飯がめちゃくちゃ美味しいとか」
「顔は写真で知ってたけど……実物見たら納得。姉貴の好みだし」
「めちゃくちゃかっこいいより、ちょいイケメンがツボとか」
「…………」
最後の、凛の発言には少し心臓に何かが刺さった感じはしたが。それでも、眞島家へ裕司の悪印象とかがあったわけではないのにほっと出来た。
「んじゃ、裕司は将来的に君らの義兄ちゃんらになっても?」
「「全然オッケー!!」」
秀司がフォローのような質問をすると、芽依らは親指を立ててくれたのだ。
「よかったじゃん。将来の義弟に認められたぞ?」
「あ、うん」
変な笑顔を向けないでほしい。微妙に居た堪れない。
「ただいま〜〜……お?」
と、今日も半日出勤だった怜が帰宅してきたのだ。
靴の数を見て、ドタドタと音を立ててこちらに来ると……芽依らを発見したら、何故か器用に凛も巻き込んでふたりの首に腕を回して制裁を下したのだった。
次回はまた明日〜




