第2話 風邪が遠のく
お待たせ致しましたー
「んにゃ、むぅ〜〜……」
まだ寝ていたかったようだが、汗をかいたまま寝ていると風邪を引くので大変よろしくない。
特に、今の時期は冬だ。冷えが大敵となって、風邪が悪化してしまうだろうから。
「ダメぜよ、怜やん。汗拭こう? 着替えよう?」
「……うぃ」
怜の裸を見て、欲情している場合ではないので手早くタオルで拭いていくと……すぐにタオルが湿っていく。いいことだ。汗をたくさんかくことで熱が引いていくだろうから。
用意しておいた着替えを、怜が身につけた後に……また熱を測ってみると、だいぶ平熱に近づいていた。油断は出来ないが、シャワー程度なら少し入ってもいいだろう。
「怜やん、シャワーならいいと思うよ」
「ふぉー! 汗だくだったからねぇ?」
「介助いる?」
「んー……今は大丈夫かなぁ?」
「念のため、外にスマホ置こう」
「うぃ」
過保護かもしれないが、久しぶりの体調悪化ということもあり油断は出来ない。肺炎などの重症化はないにしても……起こってからでは遅いのだ。明日は、裕司は多分出勤しなくてはいけないだろうから。
とりあえず、報告メールだけは入れようと……怜がシャワーを浴びている間に中尾に連絡を入れてみると。
『明日まではいい。代わりに、クリスマスには出てもらうが』
と、すぐに返事があった。
少し、苦笑いする内容だったが……無断欠勤ではないにしても、なんだかんだ彼も怜には甘いのでそのシフトを受けることにした。
クリスマスは、お互いに仕事なのは勤め先の関係で仕方がないから……怜がシャワーから上がった後に教えると。
「ほんと、ありがたいねぇ?」
クリスマスの予定を潰されたことよりも、中尾の気遣いに喜んでいた。
「だね? 俺もシャワー浴びてくるけど、寝とく?」
「そだねぇ? 髪乾かしたらそうする」
さっぱりしたおかげか、身の回りのことが少し出来るくらい回復したようだ。具体的に裕司の看病のどれが正解かわからないが……元気になったのならなんだっていい。
裕司も手早くシャワーを浴びた後……まだ髪を乾かしている怜の後ろ姿を見ると、髪がだいぶ伸びたなと今更思った。
出会ったばかりの五年前を思うと……ショートヘアだったあの頃から、それだけ経つのだなと実感出来た。
「……髪伸びたねぇ?」
「お? もう出たの?」
不意打ちだが、後ろ髪を触ると怜が素っ頓狂な声を出して驚いた。
「簡単にあったまっただけだからねぇ?」
「んもぉ。私が言えたことじゃないけど、風邪引かんでね?」
「はは。そうだね?」
たしかに、せっかく明日も怜の様子を見るのに裕司も風邪を引いたら意味がないものだ。
次回はまた明日〜




