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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二部拾弐 裕司の場合⑥
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第1話 心配性

お待たせ致しましたー

 (れい)が風邪を引いた時は、少しばかり生きた心地がしなかった。


 いつも通り、元気な様子で久しぶりに作る裕司(ゆうじ)のまかないを食べていると思っていたのに。食べ始めてからすぐに……味がしないと彼女が言い出したので、額に手を当てたら普通以上に熱かった。


 だから、同棲している相手と言うことで……裕司は看病も兼ねて自分も早退した。幸い、厨房の中尾からは『ついてやってやれ』と言ってもらえたので、まかない処は厨房のスタッフが代わりをしてくれることに。


 ゆっくり帰宅してからは……本格的に怜の風邪が強くなって来たため、薬を飲む前に食欲を戻そうとホットタオルで気力は回復出来た。



(……心臓に、悪かった)



 お互い、どちらかと言えば体は丈夫な方だったので……まさか山越(やまこし)の話題を出した後、すぐに引くとは思わなかった。だから、表面では普通にしてたつもりだが、裕司の心臓には大層負担が大きかった。


 今も、味噌の卵おじやをたっぷり食べた怜はベッドで少し寝ている。寝る前に、一度熱を測ったが……まだ平熱より少し上。


 山越が言うように二日で治ることもあるだろうが、久しぶり引く風邪だとそう言うわけにもいかない。


 しかし……裕司もずっと看病出来るわけでもない。今日は急だったから中尾が許可を出してくれても、『落ち着くまで』と念を押されたのだから。



(……慌てたなあ、俺)



 寝ている怜の様子をもう一度見てから、裕司はリビングでスマホを操作していた。双子の兄である秀司(しゅうじ)も風邪を引いたので、彼女であるメアリーに風邪に必要なものや食事をLIMEを通じて教えているのだ。


 高校から日本に来ていても、日本人としての看病の仕方は知らないようだ。


 それをメッセージに打ち出しながら、秀司の好きな食べ物も教えつつ……裕司は怜のいる寝室に少し目配せしていた。


 ぐっすり寝ているようなので、あとで軽く体を拭いてあげよう。裸の付き合いもあるので、清浄する程度などは今更だ。だが、余程のことがない限りでも、風邪で命を落とすことだってある。


 それが、少しずつ裕司に焦りを募らせていくのだ。ちょうど、昨日の晩にまかない処のテレビでそんな情報を見たせいだ。



「よし。こんなとこか」



 メッセージを打ち出した後、すぐにメアリーからは既読とお礼にスタンプを押された。


 不器用な方ではないらしいが、料理がどれくらい出来るかはまだよく知らない。出会って、まだ数ヶ月くらいの兄の彼女だ。知らないことが多いのは仕方がないのだ。


 終わった後に、寝室を覗いてみると……呼吸が荒くなることもなく、怜は静かに寝ていた。


 額と首元を触ってみると、汗をぐっしょり掻いていて……熱はいくらか落ち着いていた。


 なので、服も着替えさせたいので……申し訳ないが、怜には一度起きてもらうことにした。

次回はまた明日〜

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