第4話 呆れないどころか
お待たせ致しましたー
思わず固まってしまうと……裕司は、怜と下着を交互に見てから……下着を衣装ケースの中に置いてこちらに来た。
「…………怜やん」
呆れるか怒られる……と思ったのに、裕司の声はどちらでもなかった。
反射で俯いた顔を上げると……裕司はとても優しい表情をしていた。
「…………こもやん」
「ん?」
「…………怒って、ない?」
「なんで?」
「…………その」
怜のうっかりで、普段の怜が着ないような際どい勝負下着を見てしまったのだ。
本当はサプライズにしたかったが、それはおじゃんになり。しかも、触らせてしまったのだ。夜の活動はともかく、普段の洗濯でも極力触らないようにしてくれていたのに……不可抗力とは言え、思いっきり鷲掴みにさせた。
絶対、怜を呆れるだろうと思い……ごにょごにょと、『ごめんなさい』と言うと裕司は怜の頭をぽんぽん撫でてくれた。
「呆れてないぜよ?」
「……そう?」
「びっくりはしたけど……正直言って、嬉しい」
「う、嬉しい?」
今日まで、周囲に散々言われたことを裕司が実際に口にしてくれたので……怜は思わず素っ頓狂な声を出してしまう。裕司を見ても、相変わらずニコニコしているだけだった。
「だって、俺のためなんでしょ? 俺のために……あんないやらしい下着用意してくれたんなら…………やっぱ、興奮する」
「お、おお……」
「けど。せっかくの怜やんの飯あるから……先にそっちだね? とりあえず、今は我慢」
と言って、怜をその場からあっさりと解放してくれたのだった。
てっきり、もつれ込むかと思いきや……怜が計画していたことを実行させてくれるようだ。とりあえず、ささっとキッチンに戻って竜田揚げを仕上げることにして……出来上がったそれを、きちんと着替えた裕司は美味しそうに頬張ってくれた。
「うん、美味い!」
「……良かった」
まだ新米でもプロの料理人の指導のお陰もあり、うまく出来たようだ。怜も一口食べれば……普通の竜田揚げである醤油味ではないが、生姜のパンチと少し強めの塩サバの味がちょうどいい。
しかし、揚げ方はまだまだ裕司には劣るので、要修行だ。
そして、一人でも出来るのに二人で洗い物を終えた後に……裕司の方が疲れているのに、先にお風呂に入るように言われた。
「……ぴかぴかに磨いて、俺を楽しませて?」
「ひゃい!?」
最後の皿拭きをしている途中で、耳元で色っぽく囁かれた。
そんな雰囲気を強制的に作られてしまい、怜は頷いてから……例の下着をパジャマと一緒に持って行って、お風呂に入ることにした。
まるで、初めての時のように緊張と鼓動がすごいことになったが……なんとか着替えた勝負下着一式はぴったりだったものの、裕司の目にはどう映るか心配もあった。
下着自体は可愛くても、怜に似合うかどうか。
パジャマを上から着たので、見た目としては全然いつも通りだが……裕司が自分のお風呂を終わらせると、リビングで緊張しながら待っていた怜の手を取って。
「……明日オフだし、いいよね?」
いつもの穏やかな表情とは違う、まるで野獣のような裕司に……ベッドに押し倒されたら、パジャマをすぐに剥かれて、勝負下着をこれでもかと褒めちぎっては……優しく、しかしいつも以上に激しく夜の運動を堪能してくれたのだった。
次回は火曜日〜




