第4話『打ち解けマカロン』
お待たせ致しましたー
「あら! とっても素敵!!」
真尋も飛び上がらんくらい喜ぶほど……たしかに、マカロンは綺麗で美味しかった。
裕司も今の職場へ就職してから……ホテルのウェディング料理の内容次第では、デザートの前に……とても小さな焼き菓子、通称『プティフール』を提供するのだ。
このマカロンが通常サイズなら、その菓子らは手のひらよりも小さいものだ。クッキーやマカロン、他の焼き菓子も本当に小さい。
ちょっとした、コーヒーのお供とも言うべき、デザートまでの合間の料理なのだ。裕司は下っ端なので、その料理の特訓をしたりもしている。
それと比較しても……やはり、本格的な専門店ゆえに、パティシエの腕前がよく表れていた。気泡などもほとんどなく、マカロンの縁の部分も、均一にあぶくの跡がある程度。
味は、ガナッシュのクリーム次第だろうが……どんな味わいか。人気店とくれば、皐月の取っておきなのだろう。
「ここは〜、怜ちゃんが選んだ方がいいわねぇ?」
そして、真尋はさっそくと言わんばかりに怜を名前呼びしていた。
「え、私?」
「そうよん? あたしのせいで泣かせちゃったんだものん? それに、レディファーストってやつよ」
「そこは自分がって言わないのな?」
「あたしだって弁えているわよ?」
女装はしてても男は男か……と、定義が相変わらずよくわからなかった。
とりあえず、怜を筆頭にしてひとりひとつずつ選んでいく。裕司はチョコチップをさらに砕いたようなガナッシュタイプを選んだ。
「「「「いただきまーす」」」」」
サクッとした音が響く。
食感もだが、すぐにメレンゲ特有の甘さが口に広がる。
かなり砂糖を入れる焼き菓子だが……どちらかと言うと、控えめ。軽い食感に加えて、ちょうど良い甘さに感じたのだ。
それはガナッシュのチョコチップが打ち消しているかもしれないが……飲み物と一緒に口にすれば、本当に美味しい。さすがは、本職の腕前だと納得した。
「んん〜!? 美味しっ!! これは人気なのわかる味だわ〜!!」
「ほんと!」
まだ完全に打ち解けてはいないが……少しずつ会話は増えている。
良かった、と裕司はまだ食べ終えていないマカロンを口に入れると……真尋の方が、持ってきていた紙袋を裕司に渡してきた。
「せっかくだから、ここで開けてよ。ゆーちゃん!」
「…………怜やんに渡したいって言ってたやつ?」
「そうそう。コーヒーとかにも合う、羊羹なんだけど!!」
「ありがとう……ございます」
「あら、怜ちゃん? あたしはゆーちゃんとタメだけど、普通で良いわよ?」
「……いいの?」
「もちもち」
それがきっかけで、心を開いたのは良かったが……。
予想以上に打ち解けて……裕司だけひとりついていけない、化粧品の話題には皐月にまで食いついてしまったのだ。
次回は木曜日〜




