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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二部捌 裕司の場合④
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第2話 勘違いの勘違い①

お待たせ致しましたー

 奴を、自宅に入れるか入れないか。


 しかし、外で会うとしたら……また(れい)が戻って来た場合、彼女を怒らせてしまうだろう。逆も同じく。


 けれども、打ち合わせのためにも彼と通話以外の接触をしなければならない。だから、裕司(ゆうじ)は決めた。彼を自宅に入れることを。


 もう既に、近くに来ていることもあるので仕方がない部分もあるが。



「おっじゃましまーす!!」



 見た目だけなら、裕司くらいの背丈がある……どこをどう見ても、女性。


 しかし……中身は全然違って『男』だ。しかも、ゲイで恋愛対象は男である。



「……真尋(まひろ)。何しに来た?」



 このはちゃめちゃな格好の従兄弟の名を呼ぶと、彼は手に持っていた紙袋を裕司に渡しに来た。



「ンフフ〜? この間会った時に思い出したのよん? ゆーちゃんや彼女ちゃんに食べてもらいたいお菓子があるなって」


「……そんために、わざわざ来たのか?」


「しゅーちゃんに住所聞いて、あとはマップで調べたわ〜」


「……はぁ」



 なんというタイミング。


 思い切りのいい行動をするのは、真尋に関しては今更なので特に言及しない。しかし……怜に伝えるのを忘れていたため、彼の存在もすっかり忘れていた。真尋はただの従兄弟。しかも、特殊な趣味の持ち主だと言うのは当たり前過ぎていたので、女性だとは認識していない。そもそもが身内だから。



「んで? 彼女ちゃんを迎えに行くのどうすんの?」



 真尋は、心まで完全に女ではない。ゲイの定義はどう言うものかいまいちわかっていない裕司だが。とりあえず、解決は早い方がいいと……怜の逃げ場となった、伊東(いとう)皐月(さつき)とその同棲相手の部屋に行くことにした。


 真尋はうきうき気分であるのが少し癪だが。



「……何しに来たんですか?」



 皐月も仕事が休みだったのか、応対はしてくれたが部屋には入れてくれないのか……思いっきり不機嫌で扉を半分以下開けた。



「……誤解をときに」


「怜をあんなに泣かせて?」


「……マジか」


「マジです。……後ろにいるのは?」


「はぁい? あたし、小森(こもり)真尋(まひろ)。ゆーちゃんの従兄弟よん?」


「……………………は?」



 皐月もいきなりの真尋の自己紹介に意味がわからないのだろう。しかも、口調がオネエだから……余計に混乱したかもしれない。


 扉を勢いよく開けると……彼女は裕司ではなく、真尋を凝視するかのように見つめ続けた。



「あらん?」


「……その声。女……じゃない?」


「残念だーけーど? いわゆる、オネエでゲイよ? あたしは」


「……小森……じゃなくて、裕司さんの従兄弟?」


「そうよん? お茶してた相手、あ・た・し」


「…………れーいー!!」



 扉をガシャんと閉めて、皐月は怜に事情を説明しに行った。


 まだ中には入らせてもらえないようで、裕司は真尋と廊下で待つことにした。

次回は金曜日〜

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