第1話 ガチガチスケートリンク
お待たせ致しましたー
秋も深まり、冬手前。
怜や裕司の仕事がぼちぼち忙しくなる手前に、とある人物から提案があったのだった。
「来たわよ! スケートリンク!!」
メアリーこと、碓氷メアリーが準備をしてからリンクの上に立つ。
フランス人特有の美しい風貌に注目されていたが、恋人であり裕司の兄である秀司に軽く小突かれた。
「落ち着け。リンクは逃げない」
「そうは言うけど〜。ここ高いし、早く滑りたい!」
「……はいはい」
秀司のイケメン度でさらに注目が集まっているが、秀司自身は気にしていないようだ。メアリーについても。
怜達はと言えば……裕司に支えてもらいながら、怜はなんとかリンクの上に立つので精一杯であった。
「……大丈夫? 怜やん」
「な、なんとか!」
四人がここにいる理由は、簡単だ。
はしゃいでいるメアリーがLIMEのグループチャットで、行こうと提案してきたのだ。
怜自身も未だに体験したことがなかったスケートには興味があったものの……ここまで、自分が屁っ放り腰になるとは思わなかったが。
「……あら? 怜ちゃん大丈夫??」
「わ、私のことは気にせず楽しんで〜」
「そうは言っても……。初めてだっけ?」
「…………こういうとこは初めて」
と言っても、子供用のスケートリンクではなく。体験したことがあるのは、靴のまま参加出来る特設ステージだけだった。だから、刃がついたスケートシューズで参加などしたことがないのだ。
裕司や秀司は普通に立てているので、当然初めてではないのだろう。
「じゃ! 裕司君、私が怜ちゃんをリードしてあげる」
「ほへ?」
「……まあ、いいけど」
と言うことで、メアリーにバトンタッチされてしまい……屁っ放り腰のまま彼女の腕で支えられることになった。
「ほら、背筋伸ばして?」
「で、出来ない!」
「私が支えているから、大丈夫! 足も伸ばして!!」
「ふぇ!」
さすがは、秀司をリードすることもあり……なかなかにスパルタ。
と言っても、口調はやわらかいので、そこまでスパルタに感じない。
「あとで、美味しいお汁粉が待っているんだよ?」
「そうだ! お汁粉!!」
このスケートリンクの特性と言うのか。
決まった日程に、参加者に参加賞と言うことで簡単なスイーツなどが振る舞われるのだ。今日は、外が寒いと言うこともありお汁粉と言うわけである。
とても美味しいと評判らしいので、怜はきちんと参加賞をもらうべく……少しずつだが、メアリーの指導を受けつつ滑れるように頑張ることにした。
「はい、右、左、右」
「ぐぬぬ……」
つるんと転ばないように支えてもらってはいるが……やはり、薄い刃で支えているのがまだ怖くて、うまく前に進まないでいた。
次回は木曜日〜




