第4話 そこで妥協しない
お待たせ致しましたー
ビュッフェの秋メニューへのリニューアル。
裕司が提案した甘栗ペーストのカナッペや、山越と共同で作った経緯もあるスイートポテトタルト。
このふたつをベースに、デザートや料理が多種多様変わったが。
それがうまいこと高評価を得ることが出来。
なんと、ロスとなるあまりがほとんどないと言う結果になったのだ。
(……提案は、俺だけじゃないけど)
怜に聞いたのもあるが、片付けが非常に楽。
かつ、業務後のつまみ食いで食べたものでも充分美味しいと評価をもらえた。怜に評価をもらえたことが、裕司にとってはすごく嬉しかった。
それに、出来るだけロスが少なく済むのは裕司ら料理人側としても嬉しいことだ。簡単に言えば、大量の食べ残しをゴミ箱行きにすることだから。
あと、社員だけでなくお客側にも……宿泊客には、各部屋にアンケートを設置してある。これは常日頃、宿泊部門の改善のためにあるので、特に珍しいことではない。
だが、メニューのリニューアルをここ数ヶ月で変えてきたおかげで、宿泊客もだが宴会だけの客からもスタッフへの声がけがあるそうだ。
『料理にすごく満足出来た!!』
と言う声がひとりふたりではなかった。
お陰で、予約なども少しずつ増えているらしく。キャプテンのひとり、葛木から朝食バイキングのオムレツ提供を終えた時とかに、そう教えてもらったのだ。
「いい傾向だよ? 眞島ちゃんの提案がきっかけとは言え……その時だけのお客以上に、リピーターが増えるのはいいことだわ」
特に、ビジネスホテルは普通の宿泊ホテルよりも若干安価。宴会の会場となるフロアも手狭になってしまう。立地の関係もあるが。
だからとは言え、ずっと同じことを続けていくのに妥協してはいけないのだ。
裕司と怜はバイト時代からの昇進とは言え……若手ながらも、貢献出来るのは嬉しかった。
葛木から誉めてもらってから……裕司は嬉しくなり、怜と住むマイホームでもスイートポテトタルトを少しアレンジして作るくらい、上機嫌だった。
「お? これイチゴのタルト?」
「いや? 下にスイートポテト入れてある」
「へー!」
見た目は普通のイチゴタルト。
ただ内側にはアーモンドクリームを焼き込んだのではなく、それをスイートポテトのペーストに置き換えて。
ずっと芋の味を感じるだけでなく、味変にしてもいいのではと思い、作ってみたのだ。
怜にはコーヒーとめちゃくちゃ合うと賞賛をもらえたのでよかったのだが。
それを、紫藤にも伝えてしまったらしく。
経由で、中尾にも伝わったため、また試作を重ねることになったのだった。
次回は月曜日〜
無理ないよう、三日に一度の更新にしまふ




