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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二部陸 裕司の場合③
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第1話 レシピ採用

お待たせ致しましたー

 結局、裕司(ゆうじ)秀司(しゅうじ)……お互いの彼女達を紹介するで終わった、この間の帰省。


 メアリーのことにも大層驚いたが、アジア圏以外の外国の血と外見を受け継ぐ以外は……やっぱり、映画などの俳優ではないただの人間だと認識出来た。


 彼女自身語学堪能であるお陰で、親しみやすいところで不便もなく……妹の真衣香(まいか)(れい)の方にも気に入られていた。


 その怜は、今日メアリーとランチに行っているそうだ。いったいなにを話しているか気になるかもだが、女同士の楽しい会話を邪魔するのもいけない。


 それに、裕司は今日も今日とてシェフの卵として仕事があるのだ。



「栗とクリームチーズか……」


「悪くはないですね?」



 先日、裕司が怜に振る舞った栗のサラダぽいものを……他の先輩や同僚が提案した場に持ち込んでみた。なんだかんだで、やっかみ合うほど……この職場は荒れていない。食の探求で切磋琢磨するのはいつものこと。


 最近は交代で、朝のオムレツ実演提供も安定してきているので……次はコースメニューなどに加えても良いようなレシピを検討しているのだ。



「コースに入れるなら、栗を見栄え良くしたいところだが」


「ビュッフェになら、サラダのコーナーに加えるのも有りかと。スプーンで取り分けしやすいですから」



 などと、裕司の提案はほぼ毎回好評だった。



「すげぇな、小森(こもり)。今回もいい感じじゃん」


「小森はまかない処から気に入られていたしね?」


山越(やまこし)さんが認めるくらいだもんね?」



 ヒソヒソと同僚らと話すのもくすぐったい。


 しかし、彼らも彼らで気に入られているのも本当だから、パワハラなどは特に起きることもない。お互いを褒め合ったりする評価もきちんと出来ている良い職場だ。



「しかも、こっちのペーストとクラッカーにサラミが良い」


「甘じょっぱいものは、ビュッフェの冷製に少ないから良いですね」


「小森。こっちは採用だ。レシピ書き出して置いてくれ」


「はい」



 早速採用されたので、急いで事務室に向かう。発注作業などもなく、誰もいないので専用のパソコンを使ってレシピを打ち出していく。


 決まるまでは、データもだが頭にも入れていたのですぐに打ち出せるのだ。これでフォルダなどに入れておけば、いつでも誰でも引き出すことが出来る。手書きもいいが、筆跡によっては文字化け以上の悪筆も多いので対策のためだ。


 もちろん、水仕事も多い職場なので、印刷したレシピに触れればおじゃんになるけれど。



「……よし、こんなものか」



 もともと、工程の少ないレシピだからすぐに出来た。


 裕司は一枚プリントアウトしたものを手にして、中尾らのところに戻り、彼に差し出した。



「……甘栗と生クリーム少しだけ?」


「茹でたり、生の栗よりは……手間も考えれば、コスパ的にも甘栗の方が味もいいです」


「……わかった。俺らでも一度作ってみる。が、これはほぼ決定だ。次も頼むぞ」


「はい」



 昇進などをすぐに考えていないわけではないが。


 怜との生活を向上させていくためになるのなら、これくらいの努力は惜しまないつもりだ。

次回はまた明日〜

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