第3話『今年も栗尽くし』②
お待たせ致しましたー
思い立ったが吉日、と言わんばかりに。裕司は残してあった栗を調理していくようだった。
怜ははじめ手伝おうとしたが……裕司があれだけ意欲的なのだから、とやめておくことにした。代わりに、お酒の準備をしようと冷蔵庫や常温で保存しているボトルストックを探すことにした。
怜は酒の知識については、職業柄ざっくりとしか知らないが……普通の素人よりは知っている方だと思う。
焼酎、ウィスキーにブランデーやワイン。
たまに、仕事への練習がてら作ったりするが……そこまで頻繁ではない。お互い飲み過ぎたりすることは少ないが、早朝出勤が多い職業なので二日酔いなどしてはいけない。
だから……明日はたまたまお互いに午後の出勤なので、いいだろう。
栗と……クリームチーズ。
あと何を加えるかは見ていないが、甘さと少しの塩気。
だとしたら……甘めよりスッキリした方がいいだろう。冷蔵庫から無糖の炭酸水を取り出して、ウィスキーのハイボールにしようと決めた。
「こもやん、お酒作っとくねー?」
「おお。ありがと。こっちももう出来るぜよ」
「早いね?」
「栗の皮剥いて茹でる以外は、ちゃちゃっと出来るし」
そして、怜がお酒を仕上げた後に……裕司がクラッカーと一緒に持ってきたのは。さつまいものチーズサラダにも見える、栗のクリームチーズ和えと言うものだった。黒いのはレーズンのようだ。
「……サラミ?」
さらに用意してくれた中には、サラミの薄切りもあった。
「クリームチーズだけだと塩気が足りんと思ってね? まあ、味変代わりに」
「とりあえず……こっちをクラッカーに?」
「是非是非」
なら早速……と、クラッカーの上に少量載せ、口に入れる。まだ温かい栗と柔らかいクリームチーズの甘さに塩気。そこにレーズンの食感と味わい。複雑なはずなのに、食べたことがあるような味だ。
しかし……不快どころか、とても美味しく感じる。くぴっと、ハイボールを傾ければ……甘さと塩気が口の中でリフレッシュしていくようだ。
「おいひー!」
「んじゃ俺も…………うん。甘栗よりは素の方がいいな?」
「さつまいもサラダ食べてるみたいー」
「茹でると甘味出るからな? これにサラミを……」
と、ふたり同時に載せて口に放り込めば。
塩気は先ほどより強く……しかし、クリームチーズとレーズンの味が強くていまいちだった。
「うーん。これは……」
「逆に栗と生クリームちょいのペーストがいいな……」
「あ。けど、甘味は欲しいから甘栗とかでは?」
「無難だねぇ? これはまだ要研究だ」
しかし、栗の新しい使い道が出来たので、その日は晩酌ついでに楽しむことにした。
次回はまた明日〜




