第4話『基本の関西風お好み焼き』②
お待たせ致しましたー
「んふふ! 具材は豚玉!! アレンジでチーズも入るこもやんお手製のお好み焼きなのだよ!!」
「わーい!! チーズ!!」
怜の説明で真衣香も喜んでくれたようで、材料をテーブルに置いていくとさらにはしゃいでいく。
ひとり……まったく、お好み焼きを知らないメアリーだけじゃ首を傾げていたが。
「生地……を、焼くの?」
「そ。裕司の飯はマジで美味いから期待してていい」
「シューは作れないものね?」
「メアリーのも美味い」
「ふふ」
熟年とまではいかないが、このふたりもそれに近いのか。付き合いが良好なのは良いことだ。
とりあえず、裕司がお好み焼きの生地をホットプレートに流し入れたところで目を丸くするメアリーだった。
「?」
「まずは生地だけ流し入れて……チーズは二枚目だから、今回はすぐに豚バラ肉を載せて」
「……ひっくり返す、のよね?」
「そうそう。カリッと、フワッとなるのだよ。メアリーちゃん!」
「……へー?」
「ご両親はどっちが日本の方?」
「お父さんよ? だから、名字はフランスでも使ってたわ」
なるほどと納得出来ている間に、お好み焼きの縁が焼けてきたので……コテでひっくり返すとメアリーは手を叩いた。大したことはしていないが、見慣れない調理工程を見るのが楽しいのだろう。
そして、すぐにふたをした。
「ゆーにーちゃん、ふたしちゃうの?」
「真ん中が生焼けは嫌でしょ?」
「嫌だね……」
今日は分厚めに生地を流し入れたこともあるので、タイマーも使いつつ、しっかり中まで火を通すことが大事。
ソース作りは真衣香でも出来るので頼み、秀司には怜と皿などを持ってくるのを頼んだ。
(……怜やんがこの家にいるかあ)
まだ二回目ではあるが、秀司と並ぶ姿を見ても兄への嫉妬心より家族としての情が湧く。今も、秀司が怜に食器の場所を教えて自分が持つなどと……家族以外の人間にそう教えるのを見るのは初めてだった。
「ふふ。シューの弟なのに、あんまりシューに似てないと思ったけど。違うのね?」
「……顔は二卵性だけど」
「違うわ。中身よ、中身。意外と独占欲強い箇所とか特に」
「……兄貴が?」
今までのちゃらんぽらんだった部分を思うと、似ていると言われたのかと思えばそうではないらしい。
裕司にとって、怜はこの先変わることのない唯一の女性だ。
逆に、秀司にとってそれがメアリーであるのなら……似ているのだろうか。お互いの大事にしたい女性を尊敬し合う意味では。
「しゅーにーちゃんが、メアリーお姉ちゃんを大好きって意味?」
「その逆で、裕司君も怜ちゃんが大好きって意味もよ?」
「うん! わかるよ!」
「さすが、ふたりの妹ちゃんね?」
女同士の語らいの意味を、完全には理解出来ないが……悪い意味でないことはよくわかる。
だから、今この場で和める空気があるのは心地良い。
お好み焼きが出来上がって、白飯と味噌汁セットの『お好み焼き定食』を用意すると……メアリーも一段と驚くのだった。
「まあ、騙されたと思って」
「けど……炭水化物に炭水化物??」
「「まあまあ」」
怜と勧めてみれば、メアリーは綺麗な箸使いで食べ始め。
その衝撃で、頬がピンクに染まり……秀司らもだがお好み焼きパーティーを楽しむきっかけとなったのだった。
次回はまた明日〜




