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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二部肆 裕司の場合②
120/192

第4話『基本の関西風お好み焼き』②

お待たせ致しましたー



「んふふ! 具材は豚玉!! アレンジでチーズも入るこもやんお手製のお好み焼きなのだよ!!」


「わーい!! チーズ!!」



 (れい)の説明で真衣香(まいか)も喜んでくれたようで、材料をテーブルに置いていくとさらにはしゃいでいく。


 ひとり……まったく、お好み焼きを知らないメアリーだけじゃ首を傾げていたが。



「生地……を、焼くの?」


「そ。裕司(ゆうじ)の飯はマジで美味いから期待してていい」


「シューは作れないものね?」


「メアリーのも美味い」


「ふふ」



 熟年とまではいかないが、このふたりもそれに近いのか。付き合いが良好なのは良いことだ。


 とりあえず、裕司がお好み焼きの生地をホットプレートに流し入れたところで目を丸くするメアリーだった。



「?」


「まずは生地だけ流し入れて……チーズは二枚目だから、今回はすぐに豚バラ肉を載せて」


「……ひっくり返す、のよね?」


「そうそう。カリッと、フワッとなるのだよ。メアリーちゃん!」


「……へー?」


「ご両親はどっちが日本の方?」


「お父さんよ? だから、名字はフランスでも使ってたわ」



 なるほどと納得出来ている間に、お好み焼きの縁が焼けてきたので……コテでひっくり返すとメアリーは手を叩いた。大したことはしていないが、見慣れない調理工程を見るのが楽しいのだろう。


 そして、すぐにふたをした。



「ゆーにーちゃん、ふたしちゃうの?」


「真ん中が生焼けは嫌でしょ?」


「嫌だね……」



 今日は分厚めに生地を流し入れたこともあるので、タイマーも使いつつ、しっかり中まで火を通すことが大事。


 ソース作りは真衣香でも出来るので頼み、秀司(しゅうじ)には怜と皿などを持ってくるのを頼んだ。



(……怜やんがこの家にいるかあ)



 まだ二回目ではあるが、秀司と並ぶ姿を見ても兄への嫉妬心より家族としての情が湧く。今も、秀司が怜に食器の場所を教えて自分が持つなどと……家族以外の人間にそう教えるのを見るのは初めてだった。



「ふふ。シューの弟なのに、あんまりシューに似てないと思ったけど。違うのね?」


「……顔は二卵性だけど」


「違うわ。中身よ、中身。意外と独占欲強い箇所とか特に」


「……兄貴が?」



 今までのちゃらんぽらんだった部分を思うと、似ていると言われたのかと思えばそうではないらしい。


 裕司にとって、怜はこの先変わることのない唯一の女性だ。


 逆に、秀司にとってそれがメアリーであるのなら……似ているのだろうか。お互いの大事にしたい女性を尊敬し合う意味では。



「しゅーにーちゃんが、メアリーお姉ちゃんを大好きって意味?」


「その逆で、裕司君も怜ちゃんが大好きって意味もよ?」


「うん! わかるよ!」


「さすが、ふたりの妹ちゃんね?」



 女同士の語らいの意味を、完全には理解出来ないが……悪い意味でないことはよくわかる。


 だから、今この場で和める空気があるのは心地良い。


 お好み焼きが出来上がって、白飯と味噌汁セットの『お好み焼き定食』を用意すると……メアリーも一段と驚くのだった。



「まあ、騙されたと思って」


「けど……炭水化物に炭水化物??」


「「まあまあ」」



 怜と勧めてみれば、メアリーは綺麗な箸使いで食べ始め。


 その衝撃で、頬がピンクに染まり……秀司らもだがお好み焼きパーティーを楽しむきっかけとなったのだった。

次回はまた明日〜

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