表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/192

第4話『オムレツ実演』②

お待たせ致しましたー

 実演初日が終わり、怜達のまかないタイムに突入した時には。


 中尾もだが、裕司も流石に従業員の前では疲れ切った表情になっていた。



「「あ゛〜〜〜〜……」」



 壁にもたれたりはしなかったが、営業スマイルの仮面を外すと……内面を隠さずに、露わにしてくれていた。中尾までああなるとは思わなかったが。



「お疲れ、中尾たん! いや〜、めっちゃ好評だったね!!」



 今日の担当キャプテンだった紫藤(しどう)は中尾に労いの言葉をかけていた。



「……あー……こりゃ、修行時代くらい疲れたわ」



 このふたり、仕事畑は違えど……義務教育期間からの同級生で幼馴染みらしく。最初の就職先は違ったが転職などを経て、現在同じ職場で働いているわけだ。



「いや〜? 大体的に宣伝したけど、ここまで好評だとは思わなかった!!」


「……紫藤ぉ。こりゃ、ふたり体制じゃきついぞ?」


「まだ少し様子見だろうな? 俺の一存じゃ決めれんけど」


「そうだな……。んで、今からは俺らのだろ?」


「もち! 俺中身全部!!」


「出来るか、阿呆!!?」



 こんな素の部分を見られるのは、職場ならではの特権だからかもしれない。


 怜は裕司に目配せすると、お互いに苦笑いとなった。


 とりあえず、中尾は紫藤を説き伏せて三種類まで材料を絞らせて……怜も裕司に作ってもらうことになった。具材はチーズ、ベーコンにパセリにした。


 まずは、フライパンにガスボンベのようなクッキングオイルというのを吹き付けて……コンロの火で軽く温めた。



「これに卵液を適量入れて……」



 太めの菜箸で勢いよくかき混ぜて……ふわふわトロトロになったら具材を入れて少し日を通すようにまとめて。さらに、パパッとフライパンを振りつつ包んでいく。その早さが、家でもここで見ても、コツとやらが全然わからない。



「うぉお……美味しそう!!」


「ほい、出来上がり」


「ありがと〜」



 大変な仕事の後に、また作ってもらうのは少し申し訳なくも思うが……食べられるのはとても嬉しい。受け取った後は、ケチャップをさっとかけて他の料理を選びに行こうとしたら。


 裕司にちょいちょいと肩を叩かれた。



「来週の週末には行こうぜよ?」


「うん?」


「俺んとこの実家」


「おお!」



 裕司の実家に行くことをすっかり忘れていた。裕司の兄の彼女の都合もあったので、会う機会が少し延長になっていたのである。


 週末は少しずつ、交代で出勤するシフトになってきたので、怜の都合も大丈夫だった。


 妹の真衣香(まいか)に会うのも随分と久しぶりだから……少しばかりお土産でも持って行ってあげようかと決めた。


 とりあえず、大丈夫だと頷いてから……裕司は他のスタッフへまたオムレツを作っていった。訓練の結果が活かせているのか、疲れてはいても楽しそうに作っていけているのが良かった。まだ初日だが、裕司以外にもシェフ入るので……交代で作れるようになれば、ホテル側にとっても強みになる。


 今日の宿泊客にも、部屋にアンケート用紙を設置しているらしいので……どれだけ書かれているかはわからないが。少しでも、ホテルの役に立てればいいな……と思う。


 怜の祈りが届いたかはわからないが……実演提供を迎えた初日以降、宿泊客が少しずつ増えていったのだとか。


 それと、初日のオムレツは家で食べた時以上にふわトロでとても美味しかった。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ