第2話『さりげない朝ご飯』②
お待たせ致しましたー
味噌汁は怜や裕司の実家の好みが同じだったので……ずっと合わせ味噌だ。ホテルのまかない処だと、味噌汁はホットウォーマーで基本お代わり自由に自分でよそう。
朝食バイキングでもそれは同じで、種類も基本的に合わせ味噌。地方にもよるだろうが、赤味噌や白味噌はこちらにはない。
味見しつつ、味噌を加えていたので……今日の失敗はなかった。
もう秋なので、少し肌寒い季節となるので起きてからの温かいものは嬉しいのか……裕司も美味しそうに啜ってくれた。
「あ〜……うま」
「出汁は顆粒出汁だよ?」
「けど、朝にあったかいもんがあるとないとで全然違うぜよ?」
「そうかね?」
「そうそう」
その後にサラダ。
その次に塩サバ。
グリルのタイマーで焼いたから、焼きむらはないと思うが……裕司は特に文句もなく美味しそうに大根おろしに醤油をちょんとつけて、一緒に食べていた。怜も食べると腹の部分の脂が大根おろしとよく合っていた。
「いや〜……焼き魚はシャケもいいけど、サバもいいよね?」
「使うの忘れそうになってたけど。使ってくれてありがと。これで竜田揚げも出来るってあったなあ?」
「え? 塩サバで??」
「臭み消しの生姜とニンニク使って……味付けはほぼ無し。塩味ついているからねぇ?」
「……へー……」
それは物凄く食べてみたい、と顔に出ていたのか裕司が苦笑いしていた。
「近いうちに作ろうか?」
「! うん!」
やはり、プロの料理人になった裕司が作った方が何倍も美味しいに決まっている。
その流れで、怜作の卵焼きを食べてみたが……固焼きではないものの、ボソボソした食感と出会ってしまった。
「……うーん。ちょっと焼き過ぎだねぇ?」
裕司からも苦笑いされながらのアドバイスだったので、怜はがっくしと肩を落とした。
「ひょいひょいって巻けない……」
「火加減が強かったのかもね?」
「ふわふわとろとろに仕上げたい……」
「まあ、要練習だ。俺も明日あたりから……実演提供に向けて、もうちょい特訓しなきゃだし」
「……無理してない?」
「してないしてない。いいんだって、決めたのはうちんとこの料理長達なんだから」
「……うん」
過労で倒れてしまうことはないかもしれないが……怜はやっぱり、心配だった。
自分で意見を出しておきながら、今更ではあるが……それまでの体制を切り替えるきっかけになるとまでは思っていなかったからだ。
食べ終えてからも、裕司に頭を撫でられても……怜の気持ちはなかなか浮上出来なかった。
次回はまた明日〜




