魔王帰宅する
王城での謁見を終え、俺達は我が家へと帰宅した。
門を開くと、まずケルベロが俺達を迎えてくれた。
「ただいま、ケルベロ」
ケルベロはバウッ、と一吠えして甘えてきた。
中央の頭を両手でガシガシと撫でる。
「帰ったわよ!ケルベロ!」
エミリアが左の頭に抱き着く。
「良い子にしてましたか?ケルベロ」
ララが右の頭を撫で繰り回す。
ケルベロは一度に3人に甘えるという器用な事をしていた。さすが三つ頭があるだけある。
『ふむ。貴公がケルベロか』
ガゼルはパタパタと浮かび上がると、ケルベロに話し掛けた。ケルベロは俺達に甘えながら目だけガゼルに向けた。
「ケルベロ。新しく俺の使い魔になったガゼルだ。仲良くしてやってくれ」
ケルベロはバウッ、と一声吠えた。
ガゼルはパタパタとケルベロの直上まで飛ぶと、ケルベロの背中に乗った。
『おお、フカフカではないか』
ガゼルはケルベロの背中が気に入ったようだ。ケルベロの背中で丸まってしまった。
まぁ、いいか。ガゼルはここに残していこう。
ケルベロをひとしきり構った後、玄関を開く。
「魔王様、エミリア様、ララ様。おかえりなさいませ」
リシルとリシルの影達が一斉に俺達を出迎えた。
一糸乱れぬ動きで彼女達は頭を下げた。
「ただいま、リシル。変わりなかったか?」
「はい。何も問題はありませんでした」
報告でわかってはいるが、一応確認する。
「シスはどうしたの?」
「シスはいま買い出しに出ております」
どうりで居ないわけだ。
「そうだ。今日の夕食の時に話があるから。シスにも一応伝えておいてくれ」
「承知しました」
さて、今日くらいはゆっくり温泉に入っても文句は言われないだろう。
「じゃあ俺はゆっくり温泉に入ってくる」
「ディスターは本当に温泉が好きね」
エミリアは苦笑しながら言った。
「ああ。一緒に入るか?」
冗談でそう言うとエミリアはさっと顔を赤くした。
「そういうのは結婚するまでダメよ!」
「冗談だ」
「もう!」
エミリアが脳天にチョップをしてきた。
「私は一緒に入っても良いですよ?」
くすくすと笑いながらララが言った。
「ララもダメよ!自重しなさい!」
「残念です」
ララもこれはエミリアが止まるとわかってて言ってるな。
どちらにせよ、この国では結婚前に同衾や婚前交渉はタブーとされている。今は全員私室で寝てるしな。
普通は家を買うのも結婚後なのだが、俺たちの場合は少し事情が特殊だったので仕方なかろう。
「では行ってくる」
さぁ、久々の温泉を満喫しよう。




