魔王ルノアの街に凱旋する
その後はルノア砦で宴が開催された。
なんと死者が居なかったらしい。あれだけの戦いで死者が出なかったのは奇跡に等しい。ララの尽力のお陰であろう。
5年前の大侵攻とは違い、此度の戦は死者はおらず、敵は全滅という歴史的大勝利となった。
兵達は歓喜に震え、歌い踊った。
また、ぜひ記念に!という兵士達と握手をし始めると、自分も自分もとあっという間に握手会が始まってしまった。
大英雄と共に戦えて光栄だ、これで家族に自慢ができると兵達は口々に言った。
普通俺が力を振るうと人族は恐怖を覚える事の方が多いのだが、どうもこの世界では勝手が違うらしい。なので少々戸惑ってしまった。
そんな俺の様子をエミリアとララはにやにやと見守っていたが、次に兵士達はエミリアとララにも握手を求め始め、彼女達も他人事ではなくなった。
翌日。
ルノアの街に先に連絡を入れ、一部の兵を砦に残し、俺たちは兵達と共にルノアの街へ向かった。
飛空挺を出し、兵達を乗せて飛び立つ。
操船は行き同様俺の影から出したリシルの影だ。
リシルの影は1人いるととても助かるので、常に1人は俺の影に忍ばせて起きたいところだ。
「王都は大丈夫かしら」
「リシルに連絡したが、何も起きていないそうだぞ」
リシルには毎日定期的に連絡していたが、特に異常は無いそうだ。
シジマから得た情報では此度の大侵攻は俺の実力を試す物だったようだし、陽動ではなかったのかもしれない。
まぁこれで俺の実力はこれ以上敵に知れただろう。次からは直接戦わずに絡め手で来るかもしれない。十分に注意しよう。
街に着くと、門からルノア伯爵邸までの大通りに人々が集結していた。凱旋だ。
俺達とエーリッヒが先頭を歩く。
「勇者様ー!!」
「王女殿下ー!!」
「聖女様ー!!」
「エーリッヒ様ー!!」
歓声の比率はどうも勇者が多い。
エーリッヒが俺の活躍を通信の魔道具で昨日ルノア伯爵に伝えたらしい。
恐らくそれをルノア伯爵が民草に伝えたらしい。
俺の顔と特徴はそんなに知られていなかったはずだから、ルノア伯爵が俺の特徴も合わせて伝えたのだろう。
歓喜に沸く人々の歓声を浴びながら、俺達はルノア伯爵邸へと到着した。
ルノア伯爵邸の前では既にルノア伯爵が待っていた。
「皆よくやってくれた!お前達は我が領の誇りだ!」
ルノア伯爵が声を大にして上げた。
兵達が拳を上に振り上げ声を上げると、歓声が爆発した。
「勇者殿!先日は貴殿の実力を疑ってしまい済まなかった!そして礼を言う!此度の大勝利は貴殿のお陰だ!」
笑いながら俺の背中をバシバシと叩くルノア伯爵。
「気にするな。力になれたようで何よりだ」
「約束通り秘蔵のニホン酒を浴びるほど飲ませようぞ!さぁ、入ってくれ!」
俺達はルノア伯爵邸へと案内され、兵達は家族のもとへと帰っていった。




