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最強魔王が異世界で勇者になりました  作者: 湯切りライス
第1章ヤマト王国編
31/104

王女と聖女それぞれの戦い

 エミリアが位階序列第7位にいるのには理由がある。

 エミリアの縛式は父ルーガートのようにただ結界を構成するだけに留まらない。


「縛式弐の型"閃"」


 遠くから襲いかかってくる飛竜の首が数匹まとめて落ちた。首を失った飛竜の体が地面に落ちていく。

 "閃"は結界を刃のように薄くして敵を両断する技だ。

 生き残った飛竜達が一度に炎のブレスを吐き出した。


「縛式参の型"水鏡"」


 正円状で表面が鏡のような結界が現れ、飛竜のブレスを跳(・)ね(・)返(・)し(・)た(・)。

 飛竜達は自らの放ったブレスに焼かれ悶え苦しむ。


「"閃"」


 そしてその飛竜達の首も体に別れを告げた。

 エミリアは結界をただ張るのではなく、結界に特性を与える事を可能にしたのだ。


「飛竜は私が落とすわ!貴方達は下の魔物に魔法を!」


「「「「おうっ!」」」」


 兵士達が魔法を下の魔物達に放っていく。

 砦に取り付いていたゴブリン達が悲鳴を上げて焼けていった。


 そして、エミリアの力はそれだけに留まらない。

 再び飛竜達が隊列を組んで襲ってきた。


「縛式!」


 エミリアは大結界を展開、隊列を組んでいた飛竜達をまとめて結界の中に取り込んだ。


「縛式肆の型"滅"」


 バシュン、と音を立てて結界ごと飛竜達がか(・)き(・)消(・)え(・)た(・)。

 これこそエミリアを位階序列第7位に引き上げた魔法であった。結界で囲った空間を、中のものごと消滅させる魔法。色々と制限はあるが、エミリアの切り札とも呼べる魔法であった。


「ディスターは、うわぁ、暴れてるわねぇ」


 エミリアがディスターのいるであろう魔物の軍勢の中央付近を見ると、ディスターが大立ち回りを見せていた。


「私も頑張らないとね」


 そう言ってエミリアは懲りずに襲いかかってくる飛竜と再び相対した。


 ◇


「聖女様!」


 また1人救護室に担ぎ込まれたきた。

 その兵士は体の表面の大部分が焼け焦げていた。


「飛竜のブレスに焼かれちまったんだ!助けてやってくれ!」


「っ!すぐに!離れていてください!」


 ララはその兵士のもとへ駆け寄り魔法を唱えた。


「"エクストラヒール"」


 白い光が焼け焦げた兵士を包むと、焦げがぽろぼろと落ちていき、その下から新しい皮膚が現れた。

 その兵士は気を失っていたのか、やがて穏やかな呼吸をし始めた。


「ふぅ、これで大丈夫でしょう。もうじき目を覚ます筈ですよ」


「あぁ!ありがとう、聖女様!ありがとうよぉ!」


 そう言って担ぎ込んできた兵士は涙を零した。


「こいつ、来月に結婚するんだよ。こんなとこで死ぬわけにはいかないもんな」


「本当に助けられて良かったです」


 そう言ってララはふわりと笑った。

 その服には血がびっしりこびり付いていた。


「貴方が急いでここに来てくれたのでなんとか間に合いました。もう少し遅ければ危なかったでしょう」


「ああ、本当によかったよ」


 この救護室に来る怪我人は大抵が重症だ。

 中には今の兵士のように命に関わる者もいる。

 話を聞くと、どうやら左側の戦況がかなり厳しいらしい。

 エミリアは右側だったはずなので、左側はエーリッヒだろう。恐らく飛竜への対応が間に合っていないのだ。

 エミリアとディスターは無事だろうか。


「聖女様!」


「はい!今いきます!」


 聖女ララの戦いは続く。

 1人でも多くの命を救うために。

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