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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第2シーズン ハーネイト&DG連合VSヴィダール・ティクスの邪神
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第87話 魔法怪盗vsハーネイト 前編


 ハーネイトはエレベーターで1階に降り、ミランダにフロントで外出すると伝え静かに外に出た。


 時間は夜の7時過ぎで、幾つものビルから明かりが地面や人を照らしていた。この街は古代人のほかに異世界から来た人も多く住んでおり、元にいた世界の癖が治らない影響か、よく働く人がこの街には多いという。


 もともと古代人が作り、あの大消滅を逃れた幾つかの都市は見つけるのが容易でないのだが、それでも自力で見つけ出しそこで新生活を送る人も徐々に増えてきていた。


 そんな中ハーネイトもその賑わいと、異世界の文化について関心を寄せていた。しかしそれよりも、彼の脳内はある問題が占拠している状態であった。


「やれやれ、こんな時に怪盗に付き合わされるとか悪夢か? ふざけた真似を」


そうぼやきながらズボンのポケットに手を突っ込みながら、静かに夜の街の中を歩くハーネイト。いつものコートはホテルに置いてきて、軽装で街に出てきた。


 歩きながら彼は情報から推測して、やはりあの予告状はあの怪盗一味であることは間違いないと確信していた。となると彼にとっては非常に都合の悪い話であった。


「まずは館長と話をしないと。元気にしているかな、ポプルさんは」


 そう考えながら10分ほど街中を歩いて予告状に名前が書いてあった博物館に入ると受付で待たされ、しばらくして施設の奥の方から中年のおじさんが歩いてきた。


 少しおぼつかない足取り、やさしげな年季の入ったしわを少し寄せた顔。そして手にした杖をつきながらこちらのほうに歩み寄ってきた。


「おやおや、ハーネイト殿。お久しぶりですな」


「久しぶりです、ポプル先生」


 ハーネイトの目の前に来た中年の男性はポプル・マッカーマン・リージアスと言う。何度も遺跡発掘の際に彼に協力した優秀な考古学者であり、今はこのミスティルト大博物館の館長として働いているという。


 久しぶりの再会に彼は喜び、ハーネイトと軽くハグをした後に何があったのか尋ねたのであった。


「ここを訪れるということは調べものか?」


「いえ、これをみてください」


ポプルに手紙を見せるハーネイト。なぜか予告状が2枚手紙の中にあったため、ハーネイトはそのうちの1枚は部屋に置いてきていたという。


「ほっほ、面白いのう。ここに盗みに入ろうとはな」


 ポプルがそう言いながら笑うと、さらにもう1人の男がやってきた。


「なんだ、盗みの予告か?」


「ウェコムか。あれから結構雰囲気、変わったな」


「それはお前さんもだ。ここに来るとは珍しいな。あれからまた活躍していると聞いたが」


「まあそれなりにだよ」


 この男はウェコム・ドラード・カルぺリスと呼ぶ機士国出身の男で、元警備隊に所属していたが、ある事件の責任を取り警備隊をやめて、今はこの博物館で警備主任を任されているという。


 ウェコムはハーネイトが手にしていた予告状を見せてほしいと言い、ハーネイトがそれを一旦彼に渡した。


「予告状とはな。しかしこれは、げっ!」


「どうした?」


「七色に輝く希少な宝石、ミストラルカラトを盗むだと? あかんな、あれは数十億の価値がある。しかし他の警備員は帰宅している。警備の人数が切り替わる前後をついてくるか、そうなるとどうするべきか」


 ウェコムは焦っていた。ただでさえ悪名高い怪盗団に加え、既に他の警備員は交代制の為帰宅しているため警備に人が割けず交代の警備員が来るのにも少し時間がかかる状況であった。ギリギリ警備体制が予告時間に整わないとなると頼みの綱は魔法犯罪を取り締まる最強の魔法使い、つまり目の前に入るハーネイトしかいない。そう彼は考えた。


「申し込まれた挑戦には、受けて立つ。私が警備をする。ウェコムも手伝ってほしい」


「勿論だ。わかった」


「ミストラルカラトは三階の中央の部屋に展示している。ハーネイトはどうするのだ?」


 ポプルの質問にハーネイトはイジェネートと次元力を利用した拘束術を構築し利用することを考えていた。


「こちらで罠を張ります。あの部屋の防衛システムはオフでいい。とっておきの罠を仕掛けてやる」


「そうか、策はあるのだな?」


「あります、ポプルさん」


「頼もしいなハーネイトは。夜10時丁度に来るらしいから、それまで待機しておったほうがよいだろうな。こちらも監視を強化しておく」


「しかし、なぜこんなときに」


そうしてハーネイトとウェコムはミストラルカラトのある部屋に待機していた。既にハーネイトは反応式の天鎖陣をミストラルカラトの入ったケースを中心に設置した。更に3重式の反応式魔法結界も張り、不測の事態があっても逃げられないように策を講じていた。


「これでよい。やれやれ、遊びに付き合わされる身を考えろよ全く」


「その言い方、以前やつらと何かありましたか?」


「ああ、少しね」


 実は前に一度、別の街でハーネイトはアルシャイーン怪盗3兄妹と勝負したことがあった。今回と同じように予告状が届き、古代人が建設したビルの最上階に保管されていた、幾多の宝石が散りばめられた古代人の装飾品を盗もうとしていた。


 幸い未遂に終わるも、彼らの特殊魔法により3人を逃してしまったのである。


 3人とも盗みに特化した魔法を高度なレベルで習得し、一部の魔法は大魔法に匹敵するほどの能力を秘めていた。


 また何よりも彼の胃を苦しめていたのが、初代バイザーカーニアの一員でもあり、32人の教え子のうちの3人であったという点である。


 時刻は夜10時に差し迫ろうとしていた。その頃既にアルシャイーン怪盗3兄妹が1人、エフェリーネは2人の男と共に博物館の屋上に立っていた。3つある月のうちよく輝いている2つの月が彼らを照らし、うっすらと影を作り出す。それはすぐに消え、彼らは博物館に侵入しようとしていた。


「さあ、いくわよ。大先生にもう一度目にもの見せてあげる」


「やれやれ、妹のわがままに付き合わされる兄の気持ちを考えろよ」


「本当の目的を忘れるな。ホミルド爺さんの救出のためにも大先生の協力を仰ぎたい。あの解決屋に取り入れてもらうには力を示さなければならない。さらに有名になった彼の力を、借りたいのだ」


「しかし、普通に会えばいいんじゃないんですかね。なぜわざわざ」


 手に特殊な形状の銃を持つはねはねの金長髪で、やや派手なピンク色のスーツ様な衣装を耳に包んだ少女はアルシャイーン・アルメキアス・エフィリーネという。魔法をカードに込めて発射したり、透明になる魔法を独自で開発し利用する天然で底抜けにポジティブな3兄妹の1番下である。


 そして彼女の作戦に対して反論する、目つきの悪い短髪の若者はルシフェスといい、魔力探知にかからなくなる分類外の魔法を利用する、見た目に反して優秀な魔法使いである。


「本当はそうしたいところではあるが、あのお方の性格ではな。それにどうしても、もう一度勝負したい」


 そして長男であり、一番老けているように見える30代前後の男、彼がアーディンと言う。彼は魔法戦よりも物理戦向きであるが、強化魔法と解除魔法のエキスパートであり、また機械に非常に強く電子ロックの解除などそういった面で大活躍する男であった。


 彼らは機士国の出身ともいわれ、その工学系の技術はハーネイトに恐怖を抱かせるほどであったという。彼らの協力が、魔法界に新たな風こと革命を起こしたきっかけの1つであるとも言われている。


「わかりましたよ。では、やりますか」


ルシフェルはゆっくりと魔法を唱え、3人に魔法をかけて探知されづらくなるようにしてから短距離転移魔法を使い屋上からワープし5階に降り立つ。


「どれ、前よりもセキュリティは厳重だな。だが」


そう思いつつアーディンはサングラスを取り出し目につけると、センサーの場所を把握し、浮遊形の小型妨害欺瞞装置を取り出す。


「魔法使いが機械が苦手などと思うな。バイザーカーニアの誇りだ」


「そうそう、私たちは機械が得意な魔法使いなんだから」


「次は、これだな」


ルシフェスが移動音を消す魔法をかける。3人は属性魔法は他の魔法使いよりも苦手な代わりに、このような無属性、補助系の魔法だけはハーネイト以上の腕前を持っていた。特に妨害やかく乱と言った魔法の扱いについては、ハーネイトも彼らに比べ劣る面がいくつか存在する。


「あとは、こうよ!」


監視カメラが動き出したのを確認しエフェリーネはカードガンからカードを投擲、カメラに張り付ける。


「よしよし、ではいくわ」


更に3人はワープし気づかれないように慎重に下の階に降り、ミストラルカラトのある三階に到着した。


「大先生の魔力結界か。しかし、あれから私たちも腕を上げた。電子装置式の鍵など……」


アーディンは扉にある電子装置の鍵を調べ、小型の入力装置をケーブルでつなぎ何かを入力する。するとロックが解除され扉が開いた。


「開いたな。さあ、慎重にな」


3人はゆっくりと扉を開ける。そして目的のミストラルカラトを目にしその美しさに目を奪われそうになる。


「しかし余裕だな」


「ハーネイト大先生の姿は見えない」


「あれ、どこにいるのかな? このままだと大切な宝を盗まれて信用とかダダ下がりよ?」


そう言いながらエフィリーネが忍び寄り、ケースの鍵を鮮やかに解除、残りの二人もケースの方に向かってきた。


「やれやれ、来たか。今だ」


そうして3人がミストラルカラトを持ち出そうとした瞬間、地面から、空中からと目の細かい、銀色の美しく輝く鎖が数本現れ、エフィリーネたちを素早く捕らえたのであった。


「なぬ!」


「しまった!」


「まさか!」


「あのときよりも、私も成長しているのでな。二度とあのような真似はしない。バイザーカーニアのバカ生徒ども!」


壁際にあった銅像から声がし、その中からハーネイトが現れた。彼はイジェネートで体を金属で覆い、適当な美術品に変装していたのであった。思惑通り彼らが罠にかかり、ハーネイトは呆れた表情を見せつつ3人に話しかけたのであった。


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