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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第2シーズン ハーネイト&DG連合VSヴィダール・ティクスの邪神
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第84話 それぞれの出会いと依頼


 商店街を訪れたミカエルとルシエルは、魔法に使うための宝石や道具を探していた。


 ハーネイトから購入に必要な軍資金を給与として渡されていたため、現状必要な道具と宝石、それに前から狙っていた欲しいものは一通り買うことができたという。これで戦うには問題はない。そう2人は考えながら街並みと人込みを見て、平和がここにはまだあると思いつつ街中を探索していた。


「本当になんでもあるのね。服に宝石、魔法関係のアイテムまであるわ。おかげでいい買い物できたわ」


「確かに、ここは大切な拠点かも。けれど魔法、魔術は本来秘匿しておかなければならないもの。なのにジルバッドの愛弟子はなぜこうも」


「でも、そのおかげで多くの人が医療魔法で命を救われ、あらゆる魔獣が魔法で撃退されているわ。数え切れないほどに、多くの人が、うん」

 

 そんな中、ハーネイトの活躍についての話を2人はしていた。多くの魔法使いにとって、ハーネイトは尊敬と畏敬のまなざしで見ているのだが、魔法協会に属する人たちは彼のことを異端児と呼んでいる。


 本来この世界でも、他の世界と同じく魔法と呼ばれる術式は秘匿され続けてきた。何故ならば、多くの魔法使いは魔法とは何なのかを完全には理解しておらず、隠し続けることによる制約が精度や威力が増すという、いわば迷信じみた教えが伝わっていた。


 それをジルバッド及びハーネイトは破り、多くの人に門戸を開き日常的に使える魔法を教える教師として活躍していたのであった。


それが理由で彼女たちの父も弟子のハーネイトも一時期協会から追われる身となったが、各地での活躍や魔法研究の発展などから老人たちは反論しようにもできない状態となり、結果的に現在魔法使いは各地に多く存在しているという。


「いやあ、弟がこんなに立派なお金持ちになっているなんて、お姉さん鼻が高いわ。なんてね」


「もう、姉さんったら」


「確かに物資は豊かね。しかし弟、ですか」


 リリエットはなぜミカエルがハーネイトのことを弟呼ばわりするのかが気になり、ミカエルはそれに説明をした。そしてジルバッドのことについても話したのであった。


「そういう経緯があったわけですか。死んだ魔法の師匠が、私たちに影響を与えている魔法使いにより殺された可能性があるなら、そうね。なおのこと協力しないと。私の友達も洗脳を強く受けていて……」


 リリエットが悲しそうな表情をしていた。同じ執行官に女友達がいると言い、それを聞いたミカエルとルシエルもその彼女のことが気になっていた。


「そうよね。だから私たちのところまで来たんだもんね」


「なにがなんでも、この事件、早く解決しましょう。そして、義兄さんのお金でバカンス……なんてね。早く休ませてあげたいな」


「ルシエルも人のこと言えないわよ」


「フ、フフフ。なんか私たち仲良くなれそうね」


 3人はそう話しながら、街の中心街を歩いていた。そのさなか、3人はある気配を感じた。


「あれ、あそこにいるのは誰かしら」


「人影? まさかね」


「早いわね。まさか敵?」


3人はビルから別のビルに飛び降りる3人の人影を偶然見つけ、目で追っていた。明らかに只者ではない。ビルとビルの間はおよそどう見ても軽く数十mはある。一般の人がとても跳躍できる距離ではない。


 空中を移動できる芸当は飛行魔法を身につけた魔法使いか機士国の飛行兵ぐらいであるため、その者たちの動きに全員が警戒していた。



 一方、リシェルは公園のベンチに座り青空を見ていたが、エレクトリールが早速何かを買って食べながら戻ってくるのが見えて起き上がった。


「さて、なにしようか」


「このお店のケバブというのはおいしいですねえ」


「あの、さっき食べなかったか? 太るぞ」


「太りません! この体少し燃費悪いのです。リシェルさん、そんなことばかり言っていると彼女できませんよ?」


「うるせーやい、俺はハーネイト師匠に仕えられるならそれでいい。まあ、いつか超えてやるけどな!」


「もう、後悔しても知りませんよ?」


 城でもそうだったが彼女の食欲は尋常ではなく、ハーネイトもリシェルも目をくぎ付けにして彼女が食べているところを見ていたほどである。


「ねえ、あなたたちは外から来たの?」


そんなやり取りをしている2人の前に突然1人の少女が目の前に現れ、彼らにそっと話しかける。


「確かにそうですが、いきなり話しかけてどうしたのですか?」


「あなたたち、あの紺色のコートの人と知り合いですよね? そうですよね?」


「そうだが、それがどうしたのだ」


「そう。ねえ、私はギリアムという男の人を探しているのです」


少女は2人にある写真を見せた。そしてリシェルは写真の中央に移る、中年の男の顔を見て何かを思い出した。


「この男、ギリアム先生!」


「リシェルさん、なにか覚えているのですか?」


「知っているのですか?私の兄のことを?」


「え、えーーー! 妹さんがいたのか。まじかよギリアム先生」


「はい、私の名前はローレシアといいます。実はその話で……」


彼女はそういうと、兄が何者かに捕まったこと、そして居場所だけはどうにか掴んだものの救出が困難なところにいることを話した。


「場所は、ここから北西におよそ120キロほど離れた場所にある、古いお城、ガンダス城よ。友達が教えてくれたわ」


「私たちがいくところと同じですね。住民たちと一緒に囚われている可能性があります」


「しかし王様から聞いたが、今回の作戦に参加し諜報活動をしていると聞いたぜ。先生、無事だといいが」


 リシェルはギリアムという男のことを思い出していた。彼が軍学校に入って一番最初に担任になった陽気で快活な軍人。それがギリアム・ラシュメール・ラスラという人物である。


 その男はハーネイトの知り合いであり、昔彼が機士国を訪れた際に助けてもらった人物であり、近接銃術とサーベルの使い手で有名であり、訓練生時代は彼によく訓練をつけてもらったことをリシェルは嬉しそうに懐かしんでいた。


 なぜギリアムが近接戦闘もお手の物か、その理由の1つがハーネイトとの出会いであったという。


「早く助けにいきたいですが、私たちも旅をして疲れているのです」


「そうですか、でも、兄が無事だったら助けて頂けませんか?」


 彼女は不安そうに顔を俯ける。それをどうにかしようとリシェルは胸に手をどんと当てながら


「それは任せてくれ。先生のためにも必ずな」


 と彼女の不安を取り除こうとした。その姿に彼女は少しだけ表情が柔らかくなった。


「救出はどのみち明日の夜に行いますから待っていてください。それで他になにか知っていることは?」


「あの辺りでは最近、今まで現れなかった魔獣が現れているようです」


エレクトリールの質問に対しローレシアは他にも気になったことを説明する。城の周辺で今までいなかった魔物が出現し、その数を増やしているということであった。


「それは重要な情報だな。今までいない魔獣、もしかすると研究している何かが脱走でもしたか? 」


「しかもほとんどが何か別の生物と合わさった物と友達から聞きました。怖くて外に出られないそうです。一応戦士団が哨戒にあたっているようですが……」


「アル爺さんやルズイーク隊長が出会ったあれみたいなものか。戦うとしたら厄介かもしれないな」


 リシェルは城で聞いた話を思い出し、今まで戦ってきた魔獣とは違う存在にどう戦うか考えてみた。


「どうかお気を付けてください。これが私の連絡先です」


 ローレシアはリシェルに連絡先を書いた紙を渡す。機士国関係者ならば、国民の95パーセントが何かの通信端末を持っている。2人も同じタイプの端末を持っていたため、容易に交換できた。


「ああ。ギリアム先生を必ず連れて帰るからな。ローレシア、待っていろよ」


「どうか兄さんのことよろしくお願いします。兄さんのお弟子さん」


 そういい、リシェルとエレクトリールはローレシアと別れ広場のほうに向かった。




「面白いでござるな。機士国よりも立派だ」


「そうね。しかし迷子にならないでね? 探すの大変だから」


 リシェルたちがハーネイトに会おうとした矢先、南雲と風魔は街の中を駆けながら偵察をしていた。


「あ、いたいた! 南雲先輩、お久しぶりです」


「その声は、葉隠か!」


二人の前に突然白い忍装束を着た若い男がスッと現れ、南雲に話しかけた。彼の名は葉隠才刃。変装と追跡で右に出るものがない諜報型忍者である。


「はい、藍之進様より諜報任務に長らく就いてます。しかし先輩がここにいるとは、あの試験の話を聞いたのですが受かったのですね?」


「ま、まあな」


「風魔さんも?」


「そう。念願の解決屋デビューよ。イェーイ! 愛しのハーネイト様のそばに居られて今一番幸せなの」


 風魔は満面の笑みを浮かべ、嬉しいことを強調していた。

 

「おめでとうございます。風魔先輩の夢でしたからね」


「ありがとう。そういや才刃、零の噂は知っている?」


 風魔の顔がいつも通りの顔に戻り、まじめな顔になった。そして才刃に零について尋ねてみた。


「はい、中堅の忍が計五名死亡しております。彼の手によって」


「その後の行方は?」


「いまだ調査中です。彼の行方を掴む事すら容易ではありません。DGとの戦いで何かあったことは確かなのですが……」


「そうか、あれほどの人がなぜ……」


 南雲は昔のことを思い出していた。零は南雲の兄のようなものであり、幼くして両親を亡くした彼にとって零は血は繋がらなくとも本当の兄のような存在であった。


 そんな彼が今では行方不明になり、同じ忍の仲間たちを手にかけるなど信じることがいまだできずにいた。


「前に聞いたある任務の派遣後から様子がおかしいと言う話と関係があるのかしら」


「あの任務ですか。あのとき生き残ったのも零一人だけ。その時に何があったか調査しないといけないですね」


 零がおかしくなったのは機士国でクーデターが始まる少し前であった。ある小国で不穏な動きがあると独自に調査団が組まれたのだがそれに零は入っていた。だがその任務で帰ってきたものはその零だけであった。明るい性格の零が暗く陰鬱な性格になり、それから少しして行方をくらませたのである。


 その時に、南雲と風魔はちらっと零の首筋に何か紅く禍禍しい紋章らしきものを見たと言う。


「そうね、これは里の信用に関わる問題。早く見つけなければ」


「はい。そういえばハーネイト様とは今は一緒にはいないのですか? 」


「いまは自由行動だ。どうかしたのか?」


「彼にこれを渡してほしいのです。そろそろいかなければ」


 才刃は南雲に一通の手紙を渡した。それを後で読むと南雲は伝え、彼の活躍をねぎらいながら体に気を付けるようにとそういった。


「手紙、か。わかった。才刃も気を付けろよ?」


「先輩もお気をつけて。では」


 そういい、才刃は人ごみの中に消えていった。戦いとは無縁のこの古代人の街はいまだ人々の活気で満ち溢れていた。それは他の所、そしてDGの影響を受けているところでさえ。この星にいる多くの人々は、かつて襲来したDGのことを忘れている人が多かった。それと再びその脅威が迫っていることに気づいていない人が非常に多かったという。


 それはハーネイトたちの活躍やガルバルサスの奇策、エージェントたちの活躍によるものであり、今のところ北大陸の東側の領域では特に目立った戦闘は起きていなかったのである。


「同胞の者に出会えるとほっとするわね」


「そうだな。しかし敵は多いなあ。少しでも貢献できる方法を探さないとな」


2人はそういいながら偵察を続ける。その頃、ハーネイトは市街の中央部にあるホテル「ウルシュトラ」を訪れていた。ウルシュトラとは、この地域で語り継がれてきたある伝承の話に出てくる城の名前だという。


「お、お久しぶりですハーネイト様」


「いつもご苦労だな」


「いえいえ。このホテルの管理はお任せください」


「お久しぶりです。今日はどのようなご用件でございますか」


 ホテルの受付にいる男女はミランダとローレミッドという。このホテル「ウルシュトラ」の従業員であり、優秀な人材でもある。BKに属し、普段はこうして働きながらも常日頃から情報を入手し彼に伝えているという。


「連れを数名宿泊させたいのだが空き部屋はあるか?」


「確認します。…ありますよ。しかしそれでしたらハーネイト様専用の棟の方がよろしいのでは?」


「それもあったか。いや、こうしてこの拠点を守ってもらっている君たちにボーナスをあげたくてな」


「ありがとうございます。ですがフロアの方もいつでも使えますよ」


「わかった、別に特別手当て出しとくから後で来たときに案内してくれ。だがホテル内に不審な人物がいたら普通の部屋を案内してくれ」


 ハーネイトは2人に指示を出しながら周囲を見渡す。今のところ特に不審な人物はいないと確認した。


「わかりました。警戒を怠らないようにします」


「ありがとう。では一旦外に出る」


ハーネイトはホテルを後にし、広場の方に向かう。その途中で背後から突然声をかけられたのであった。


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