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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第2シーズン ハーネイト&DG連合VSヴィダール・ティクスの邪神
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第82話 シティに向かう車内にて


「シャムロック、引き続き運転の方を頼む」


「任せてください主殿。あと数時間もすればミスティルトには着くでしょう」


「そうか、くれぐれも警戒を怠らずに。私も気を張っておく」


「わしらも警戒しておくぞ」


 シャムロックは時折鼻歌を交えながらもハンドルを切りアクセルを踏む。たまに路面が荒れている場所で衝撃が走るものの、それ以外は静かに、しかし猛スピードで車が走っていた。


「ひゅう、あれだけスピード出してこれとは驚きだぜ」


「そうでござるな。おかげで快適だ。車酔いとやらを心配していたが杞憂でござる。これなら各地への移動も楽勝ですな」


「しかし敵幹部との接触、悪魔……謎が深まってまいりましたぞマスター」


「舐めてやがるな、こちらのことをな」


「そうね、私も計算が狂ったわ。フューゲル、端から仕組んでいたというわけ?」


 確かに、そろそろ敵側にこちらのことがばれてもおかしくないと覚悟はしていたものの、それを上回る出来事の数々にハーネイトは、いや、その場にいた人全員が戸惑っていた。


「だが、その猶予の間に、機士国を開放し工場などを制圧しながら敵の兵力や足を削いで、ガタガタにしたところを一気に叩くなんてこともできる」


「なかなかいい案ね。エレクトリールもそう思わない?」


「そ、そうですね。だいぶ調子出てきたんじゃないですか?私の支援ももういらなさそうですね」


 ハーネイトの発言に、リリエットとエレクトリールが顔を合わせながら期待に胸を躍らせていた。大胆かつ確実に、相手を混乱させながら勝ちをもぎ取ろうとするその作戦。エレクトリールも同様のことを考えており、自然と笑みがこぼれた。


 しかしエレクトリールの言葉に対し、ハーネイトは自身だけではだめだと考え言い返す。


「いや、これからもエレクトリールにはしっかり立案の方をやってもらうさ。大きい場面を考えるのはできても、細かい単位になるとどうしても粗さが出る。適材適所。こんだけでこぼこしたメンバーを揃えたのも、互いの長所短所を補いながら攻め立てられるようにねって」


 ハーネイトはエレクトリールの作戦立案力に触れながら、自身が感じた人材運用の大切さについての話も行う。


「そうですねマスター。先ほどの件もありますが、貴方は前線で強敵と戦って損害を減らしつつ、相手を挫くやり方が一番でしょう。今までのやり方からしても、それが一番確実に勝てる方法でしょうね」


「そんでリシェルとシャックスだっけ、貴方たちは後方支援、私たちも上空からの後方支援、南雲と風魔、メイドさんたちにユミロとリリエットは前に出る感じでいいわね」


「おーい、俺たちのこと忘れてるぜ」


 南雲とミカエルが役割分担を考えてみて、そう提案した。そしてヴァンとリリーが不満そうな顔をしながらハーネイトたちに声をかける。そしてハーネイトは悩んでいた。


「ヴァンか……。何でもできそうなところが難しい。エレクトリールもそうだけど」


「俺も正直ハーネイトと同じポジションがいいぜ。相手に恐怖を与えるなら俺様大得意~!ってね」


 このヴァンは近距離から遠距離までそつなくこなす万能型であり、どこにおいても活躍は見込めるのだが、本人は前線で相棒と戦いたいという意思を示した。


「私はみんなの間、つまり中距離がいいかしら」


「各自その役割を守りつつ、当分はその陣形でよろしく頼む。我が愛弟子よ、その力を見せてやれ」


「はい師匠、できるだけのことはします」


 リリーも自身の役割をみんなに教え、当分その陣形で行くようにとハーネイトは指示を出した。


「それから、シティについた後のことだが……」


 ハーネイトは全員に今後のことについて改めて指示を出した。


 彼は全員に対し、全力で行方不明になった住民と、研究者ボルナレロたちがいるガンダス城の攻略にあたること。その後ボルナレロの支援の下ハーネイトは機士国奪還作戦を、ヴァンたちは残りの敵拠点を別動隊と協力しすべて破壊することを伝えた。


「単騎、だと? どうやって侵入するのだ相棒」


「ウルグサス、あの龍の力を使えば上空から強襲できる」


 その言葉にヴァンは納得した。確かにあの霧の龍こと、ウルグサスならば強硬な手段に出てもどうにかやれそうだと直感で感じていた。


「別動隊って、前に言っていたかつてのお仲間さんたちのこと?」


「そうだ。レイフォンの騎士団やバイザーカーニアの構成員などで構成された、各古代人の都市に集結中の凶悪な面子だ。すでに暴走族隊は機士国周辺の敵拠点と思われる場所は制圧できているというし、城塞都市の戦線を押し上げる感じでやってほしい」


 ミカエルはハーネイトに質問し、その返答を聞いて納得してから紅茶を飲んでいた。


「もうそこまで手を打っているとは」


「リリエットさん、師匠は恐るべき人脈の持ち主でしてね。そりゃもう、かつては各地で暴れまわって……」


「リシェル、余計なことを言ったら、あれを使うよ?」


 ハーネイトが一番の大魔法を使うとリシェルに少し脅しをかけて、リシェルが師匠であるハーネイトの伝説について延々と話しだした。


「私がここを離れている間に、ハーネイトは大出世したのね。お姉さんびっくりよ」


「リリエットさん、ハーネイトさんより年上か?」


「出会った時から、只者ではないと思いましたが、桁が違いすぎますね。英雄も大英雄じゃないですかもう」


「流石、戦いだけでなく、あらゆる地域の文化も経済も立て直すとは、なんと美しい。はああ、いい」


 リリエットとシャックスはそれぞれリシェルの説明に感想を述べた。このやや頼りなさそうにも見えるハーネイトという人物の意外な一面を理解し、2人とも驚きを隠せずにいた。


 またエレクトリールも、改めて命の恩人が、どれだけ桁外れな存在かを理解した。


「はあ、なんで私の周りには変わり者しか……」


「俺からしたら師匠が一番それと言いますか……」


「まあ、我らも含め変り者とは言われますなあ」


「あらゆる面で規格外で、最高の存在です」


 ハーネイトが思わず本音をぼやくと、リシェルと風魔はそれぞれそういった。リシェルは師匠の今までの功績と旅路について、風魔は昔のことを思い出して興奮していた。しかし彼らの言葉に悪意がなく、むしろまだましな言われ方だとハーネイトは感じ、苦笑いをしてやれやれだと頭をかいた。


「そうか、これも運命という奴なのか。しかし驚いたな、シャックス。てっきりただの変人かと思いきや、かなり役に立つ」


「フフフ、ただの変人と侮ると危険ですよ」


 シャックスが目をわずかに開きながら不敵な笑みを浮かべた。このシャックスという人物はDGの活動中に美術品の保護活動を行っていたらしく、彼のおかげで多くの星の貴重な品々が無事であったという。


 更に博識で、考古学や神話、美術品の鑑定など美しさに関する事柄については軒並み高いレベルというか、ハーネイトよりも詳しい面もあった。特にハーネイトは無神論者だったため神話系にさほど興味がなかったが、シャックスに聞けばあらゆる神話の話を聞けるという。まさに、見た目に反してと言ったところである。


「なんか見た目に反して性能高いなお前ら」


「フフフ、見た目によらず、ですよそこの魔王さん」


「へいへい。そうですねこの変態」


「どうも、ヴァンとシャックスはどこか似たもの同士かもしれないね」


 ハーネイトは冷静に分析し、ヴァンもシャックスも、見た目こそ真反対だが、心の在り方がどこかで似ているからこうなるのではないかと考えていた。


「シャックス、ホテルに着いたらそのティクス神話について話をしてくれ。内容によっては早く蹴りが付く可能性もゼロではない」


「了解しました。友よ」


「妙になれなれしいのが私も少し不安だが……。まあいいか。シャムロック、そろそろつくだろ?」


「はい、あと20分ほどで到着しますぞ」


「さて、ミスティルトは儂も久しぶりだな。どうなっているか」


「うーん、あまり変わっていないっすよ」


 シャムロックとミロクが話をしていた中にどこに隠れていたのかダグニスがひょこっと現れ話に割り込んだ。


「いたのかアリス」


「ええ、いましたよもう。ホテルの方も問題ないですし、早く行きましょうよ兄貴」


「ああ。早く休みたいね」


 そうして、彼らは古代人が作り上げ、大消滅後に一度無人の街になった未来都市とも呼べる街、ミスティルトに到着した。広大な砂漠の中にある、至高の街とも呼べるその場所は、ハーネイトにとっても重要な拠点でもあった。




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