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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第2シーズン ハーネイト&DG連合VSヴィダール・ティクスの邪神
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第81話 作戦会議とバイザーカーニアの動向


「行っちゃったけど、正直まだ頭の中が混乱しているわよ」


「そうですね姉さん。ハーネイト、確かに父さんとどこか似ているわ。でも血は繋がっていない。首にあるあざがないもの」


「でも私たちの跡を継いで、魔法の研究と発展に貢献し続けた姿は正にジルバッド、父さんの姿だわ。やだ、なぜか涙出ちゃった」


 ミカエルとルシエルは、2人の悪魔から聞いた話から父のことを思い出し、特にミカエルが泣きそうになっていた。やはり父さんは父さんであったと。最後まで信念を貫き通した人だとわかり、無性に彼女は涙が込み上げてきたのであった。


「どんどん謎が深まっていくな。あの悪魔たちが私を道場に連れて行った男の息子とは、えぇ……」


「本当に、お前といると色々面倒ごとばかりだが……まあ、俺自身のことも少しづつ分かってきたことやし、どうするよ」


「どうするって」


「俺たちがどうやって生まれ、誰が力と炉心を埋め込んだか調べる話だぜ、ウルグサスのあれだ」


「早く調べたいところではあるが、DGの活動をまず止めないといけないだろ?」


 ハーネイトは、正直ヴァンと同じくあの霧の龍ことウルグサスの言う自分たちの生まれた理由と生みの親の正体などに迫りたくて仕方なかったが、それはDGを止めるための作戦と並行するべきだと言う。


「せやな、まあDGにはその、ヴィダールの力ってのを宿した奴らがまだいるんだよな? リリエットさんよぉ」


「そうよ。その人たちも、こちらに迎え入れれば安心かも」


「俺たちも、そんな奴らを相手にするなら力をつけるしかねえ。師匠、どうしますか?」


「まずはDGの各拠点を潰しながら霊量士をこちらに迎え入れ、なおかつあのブラッドの言っていた大拠点までの侵攻ルートと攻撃チームの作成を急ぐ必要がある」


「せやなあ、ちゃちゃっと潰してやろうぜ」


「私も全力で戦います。ハーネイトさん、最高の作戦でDGを叩き潰しましょう」


「言われなくてもだ。早めに蹴りを付けないと、いやな予感がしてきたのでね」


 ハーネイトはそう説明しながら、DGの活動を放置すれば今の状況が覆る危険性に言及しつつ、より全体の能力向上のためにもリリエットたちの力を改めて使う必要があることも話す。


 話を聞いた全員が賛成し、意見はすぐにまとまった。やるべきことが分かったなら走るだけだと思い、全員車に戻ろうとした時、ハーネイトはシャムロックたちの姿がすでにないことに気づいた。


「あれ、シャムロックたちは?」


「あの人たちはすでに車の方に戻っています。ハーネイト様」


「そうか、急ごう。さて、ユミロは一旦戻ってほしい」


「うむ。あの中、入らない、俺の体。大きいのは分かっている。後で、また出してほしい」


「分かったよユミロ。協力してくれて、本当にありがとう」


 ハーネイトはそうしてユミロをペンの中に戻してから、全員を連れてベイリックスに戻った。そして全員が乗り込んだのを確認して、彼らを乗せたベイリックスは今度こそミスティルトシティに向かうのであった。



 彼らが移動を開始する少し前、古代人が作り上げた都市のひとつ、ゴッテスシティにあるバイザーカーニアの本部において、ロイ首領とその部下が話をしていた。


「これがあいつらからの報告書か、ほほう、危険な魔法に手を出したうつけがDGにおるとな。しかもあの元師であるジルバッドを倒した女。これは粛清対象じゃな! しかも、血徒の可能性もか。呪血に魅入られたのか、それとも単に依り代に成り果てたか、うむむ」


「ロイ様。その魔法使いの行方は完全には掴めていません。申し訳ありません」


 綺麗で物が少ない社長室のような部屋に、1人の幼い少女と、やぼったい眼鏡を付けたセミロングの女性が話をしていた。


「仕方ない。ハーネイトでさえもてこずる相手じゃ、な。各地からの報告も、思わしくないものが多い。西大陸関連が特にそうだが、北大陸でもDGの活動は活発になりつつある。もっとも、いくつかの研究拠点が壊滅状態だというのが解せぬ」


 ロイは神妙な顔をして、報告書の文章を目で追いながら何が起きているのかを瞬時に頭に叩き込んでいた。


「血徒……血の災厄を起こした紅儡を生み出す謎の存在。未だに正体が掴めていない正に恐るべき悪魔人だが、何故魔法協会の連中に……」


「そうですね。マースメリアの件では私たちも作戦に参加しましたが、あれは怖いです。ええと、それと最近何でも謎の白い服の戦士がその近くで目撃されてますね」


「ハーネイトとは違う何かか、気になる。こんな時に魔法協会の連中は無能か、まったく」


「だからこそ、私たちが動かないとですね首領!魔法革命を成功させたハーネイト大先生、私たちも魔法と機械の融合で更に魔法界を牽引していけるように奮起しないとですね!」


「そうじゃなあ。どうせ協会の時代遅れ爺どもは使い物にならん。そういうわけで、引き続き頼むぞ」


「はい、ロイ様! では行ってきますね」


「頼んだぞ」


 眼鏡をかけたロイの部下である女性、フラフィナの言葉を聞き、ロイは命令を出した。それを聞きフラフィナは元気よく返事をして退出した。


「さて、どう動こうかね。ハーネイトちゃんよ、古代人としての力、最大まで引き出して見せるのじゃ。ジルバッドの代わりにお前を見届けると約束したからには、な」


 心の中でロイは、ハーネイトのことを思いながらこの先の行方を心配していた。この先魔法界はどう変遷していくのか雲行きが見えず戸惑いながらも、好機は決して逃さないと不敵な笑みを浮かべる。


 BK首領とハーネイトの関係はとても深い物であり、付き合いもかなり長い。だからこそ、人一倍彼の性格や人柄を理解し、その上で心配していたのであった。


 


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