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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第2シーズン ハーネイト&DG連合VSヴィダール・ティクスの邪神
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第78話 追われる謎の男女


 そのとき、街の向こう側から叫び声がした。距離は遠くなく、それは低い男の声であった。


「な、何?」


「誰かが襲われたような声がしたわ」


「かなり近いはずだ、急ごう」


「ああ、ほらいくぜお前ら! しかし何だこの邪気は。ハーネイトが変身した悪魔のようだ」


 ヴァンとリリー、リシェルが先に声のした方向に走り出す。そしてヴァンとリリーは、ハーネイトが前に変身したあの悪魔のことを思い出していた。先から伝わってくる邪気がそれと似通っていたからである。


「3人はベイリックスのほうを頼んだ。残りは全員ついてきて。いやな予感がする」


「御意」


「ここの守りは私たちに任せてください」


「気をつけてくだされ主殿」


「ああ。頼んだぞ3人とも」


 ハーネイトはミロクたちに指示を出し、ヴァンたちの後を追った。


 街の外に出て、声のした方向を見ると1人の男が大型の魔獣とつばぜり合いになっている光景を目撃した。男の方は手を変化させ巨大な爪で魔獣の熾烈な攻撃をぎりぎり受け止めている状況であり、今にも押されて倒されそうな状況であった。


「あの腕、まさか!」


 そう、ハーネイトは男の腕を見て、リンドブルグで、迷霧の森で自身を襲ったあの悪魔のことを思い出したのだ。


「ぐっ、力さえ消耗しなければ。このっ!」


 男は背中から羽を生やすと距離を取り、変化した腕を突き出す。すると目に見えない衝撃波を連続で発射し魔獣の体に数発撃ちこんだ。


「ノオオオォォォ……」


 その一撃で一気に形勢が有利になり、急所を攻撃された魔獣はよろめく。そこに羽を広げ素早く接近した男が懐に潜り込み、確実に息の根を止めるため心臓を爪でえぐり掴んだ。


「はあ、はあ。まだ追手がきやがる」


「フューゲル! まだ大勢の機械兵と魔獣たちが、それに幹部も来てるわよ! それと、あ、貴方たちは」


「ようやく気付いたか。一体何が起きてやがる」


「あの男から改めて聞き出したいことがある。だが機械兵と魔獣。皆、応戦するぞ! リシェルとエレクトリールは後方支援を頼む」


「イエス!援護は任せてくださいよ師匠」


「任せてくださいハーネイトさん!」


 そう言うとハーネイトは藍染叢雲を鞘から抜き、静かに構えた。それに合わせエレクトリールやシャックスも武器を展開し、さらにユミロが気配を察しリリエットを連れて飛び出てきた。南雲と風魔、ミカエルとルシエルは上空や木の上に移動し敵の出方を窺う。


「敵の総数は、およそ200か。ほとんどが機械兵だ」


「確かに嫌でも耳に入ってくるぜ、機械が動く音がな」


「あ、あれはフューゲル。なぜここに」


「おい、聞こえるか! 俺らも加勢、する!」


 ハーネイトが探知能力を用いて迫っている敵の総数をおよそ把握し、リリエットやユミロがフューゲルの姿を見て声をかけた。


「それと、なぜ幹部たちがここに! 」


 リリエットは霊量子を感じて驚いていた。機械兵たちの中にまぎれて、2人の幹部の気を感じたからである。


「敵に手練れがいます。恐らく、シノブレードとブラッドね」


「それは敵の幹部なのか?」


「ええ、そうよハーネイト。2人とも執行官で、今のままでは彼らの力に太刀打ちできないわ」


「いや、やってみないとわからないさ。行くぞ…… 翻ろ、紅蓮葬送!」


 そう言い、ハーネイトは紅蓮葬送を展開しながら猛スピードでフューゲルたちの先に向かい、迫り繰り機械兵の前に立ちはだかるとその紅蓮葬送を勢いよく展開させ、紅蓮の幕を作り出した。


「爆ぜろ、千手火音砲!」


 そう叫ぶと、ハーネイトの紅蓮葬送の内側から無数の腕が現れた。それらはすべて機械兵を捕らえると、手のひらから無数の魔閃を勢いよく斉射した。


「うわわ!師匠、そこからも魔閃撃てるんすか!」


「これは、無数の腕か。マスター、容赦なさすぎっす!」


「まだ知らない攻撃手段があるのですか、本当に貴方は面白いですね」


 リシェルは背後から、南雲は上空からハーネイトの大技を目視で見た。そしてその一撃は機械兵たちの集団を一瞬で蒸発させた。それとともに大地も焼け焦げ、視界が大きく開けた状態となった。


「さあ、最も多くあれを倒した人に何かご褒美でもあげようか?」


「私は遠慮しとくわ。というか、もう半分しか敵残っていないわよハーネイト」


「まさに鬼ね。流石、無慈悲な魔法探偵。あれ、なんで探偵が戦っているのかしら?」


 ハーネイトが皆を奮起させるために言った一言がミカエルとルシエルの指摘を誘った。


「なっ……こっちだって好きで戦っているわけじゃ」


「おっと、話している間に勲功はいただくぜ相棒!」


「もう、待ちなさいよ。それにしてもすごいわねハーネイト。惚れちゃうわ」


 ハーネイトの隙をついて、今度はヴァンとリリーが空から強襲を仕掛ける。


「おい、まだ怪しい奴らがいるってさ、リリエットの話を聞いていたのか?」


「っせえ! 先にザコ倒しとかねえと面倒くせえだろ。さあ、我が眷属よ、醸せ。醸し尽くせ! 遠慮はしねえぜ、ハハハハハ!」


「魔を穿つ杭 影縫う針、力奪い封じる呪いの黒柱。雨のように、無慈悲につき貫け! 大魔法が23号・魔柱鉄杭まちゅうてっくい

 

 ヴァンが話を聞かず、背中から複数の菌でできた触手を展開し、機械兵たちの装甲を食い溶かしてボロボロにする。それをアシストする形でリリーが23番目の大魔法で空から無数の黒い柱を雨のように降らせて敵の進軍を足止めした。


「1人1人が桁違いの能力者。なんて集団なの」


「流石に、これは引きますね」


「2人とも、魔獣、横からくる。フューゲルとリシェルたちを守る!」


「そうね、ここは私たちも見せつけないと! 」


 ユミロたちは魔獣の接近に気づき、支援砲撃を行っているリシェルたちを守るため左側から迫ってきたオルガべスやムロミロ、イルゴルたちを迎撃する。


「展開、っ! 四刃旋風」


「フルンディンガー!ガーンディーヴァショット!」


桃色嵐塵斬ロザード・トルメンスパーディアこれでお終いよ!」


 ユミロが手にしていた武器を天に掲げ、4枚の出刃包丁みたいな刃が展開し、扇風機のように高速回転しだした。それを前面に構え突撃する。そして魔獣の群れに飛び込むと激しくその回転斧槍を振り回しながら、その肉体を削り取るように切り裂き命を奪う。


 そんなユミロの邪魔をしようとする魔物たちに、シャックスの幾多に分かれ飛翔する霊矢とリリエットの竜巻のような衝撃斬が襲い掛かる。


「この程度なら、憑霊武装を使わなくてよさそうね。しかし幹部たちの気配が近い」


「そういえばリリエットちゃん!」


「ちゃんとは何ですか、馴れ馴れしい」


「いや、リリエットたちはなぜ魔法使いの洗脳に引っかからなかったのだ?」


「そ、それは」


「フフフフフッフ、死ねええい!」


 リシェルがリリエットたちにそう質問を投げかけたその時、急に上空から2本の剣を持った紳士が叩き切るように彼らに襲い掛かってきたのだった。




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