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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第1シーズン 宇宙からの侵略者DGvsハーネイト遊撃隊
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第71話 ハーネイト遊撃隊改めての顔合わせ


 ハーネイトは城の部屋の中に入ると、すぐに座るとすかさず大の字になって畳の上に仰向けに寝そべった。


 内なる炉の力を解放した反動からか、まだ慣れていない体は休息を必要としておりまだ呼吸がわずかに乱れていた。


 本来ならば力を完全に開放すれば不眠不休で戦い続けられる代物を体に宿しているが、彼が自分自身の影に恐怖している限り本来の力は発揮されないという。無意識に力を押さえつけてしまっているようでヴァンはそれを見抜いていた。


「帰って来て早々寝るとはな、だがよくやってくれた」


「まあ寝かせておきましょうよ夜之一さん」


「ふう、しかしあんなのとよく戦えますよね、ハーネイト師匠にヴァンさんはさ。自分の力が霞んでしまう。いや、ちゃんと貢献した、できたからいいはずだけど」


 リシェルは師匠の寝姿を見ながらそう言い、早速彼は使用した銃の手入れをしていた。魔閃を銃で撃つと、銃身にかかる負担が大きいため、破損しないように彼は丁寧に点検していた。

 

「果敢に挑むな、彼らは」


「あのくらい、単純に倒すだけならわけないが。ただ倒すにも方法が別にあるとはな。思い知らされた」


「その辺り、ハーネイト殿は本当に詳しい。後でいろいろ聞いてみるといいだろう」


 ヴァンは先ほどの戦いを思い出し、一筋縄にはいかない魔獣退治について話をする。それに八紋堀がヴァンに助言を出した。


「そうだな。しかしみんな思ったよりやるじゃねえか」


「そりゃあねえ。ハーネイトが認めた人たちですもの」


「みんな、歴戦の勇士って感じ。……私、ついて行けるかしら」


 ヴァンは全員の戦いぶりを認めつつ、ミカエルやルシエルもそれについて言葉を重ねる。ハーネイトとヴァン、リリーの戦いはあまりにも自分たちとレベルが違う。今までに森の脅威となる存在は撃退してきたものの、あれほどの存在を相手に戦ったことは今回が初めてだった魔女の二人は、内心恐怖を抱いていたようであった。


「大丈夫だろう、あいつが導いてくれるさ」


「そ、そうよね。……ヴァンさんね、これからよろしく、お願いします」


「改めて、私もよヴァンさん。ハーネイトを助けてくれて、ありがとう」


「いいってことよ。俺もあいつも、似た者同士さ。……早くあのDGとかいう奴を潰そうぜ、いやな予感しかしねえしよ」


 ルシエルがやや不安がっていたのをヴァンが気付き、大丈夫だという。そしてこれからが本番だと言いながら、早くDGを倒して元の生活に戻ろうと2人に対して言い、彼女らもうなづいていた。


「こうも人が多いと、誰が誰だか少しわからなくなってきたな妹よ」


「そもそも初めて見る人たちもいるし、ここで一応みんなに自己紹介でもしてもらおうかしら。改めてあのDGを止めるために集まったわけだし」


「私を助けるために、ハーネイトは自身が代表となり共に戦う仲間を集めてくれたのだ。全く、彼には頭が上がらない」


「アレクサンドレアル王、それは私も同じだ」


 一方別のグループで話していたルズイークの言葉に、アンジェルがそう提案をする。妹の言うとおり、ある程度共に戦ってくれる仲間が集まった。彼らの素性や性格を知る機会だと彼は思い、妹の発言に賛同した。


「そうだな、ここでお互い連携の向上なども図るために親睦を深めようではないか」


「それじゃあ、皆! こうしてともに戦う人たちが集まったのはいいけれど、ここで軽く自己紹介しない? 」


 そうして八紋掘やアンジェルの呼びかけに寝ているハーネイト以外が反応した。


「ああ、それもそうだな。俺の紹介もドタバタのせいでほとんどできなかったしな」


「それはいいですな、アンジェル殿」


 彼女の言葉にみんなが集まり名乗りを上げることになった。全員それなりにノリが良いというか、空気を読んで部屋の中央に集まり、エレクトリールから自己紹介が始まった。


「私はエレクトリール・フリッド・フラッガです。現在はハーネイトさんの部下として作戦考案などを手伝っております。メイドさんたちとは初めての顔合わせですね。ハーネイトさんにいろいろ助けられました。いいご主人に仕えることができるのはうらやましいですね」


「俺はリシェル。リシェル・トラヴァコス・アーテンアイフェルト。後方支援が主の仕事でハーネイト師匠に解決屋としてのイロハを教えてもらっています。魔銃士としてこれからも精進し、早くこの戦いを終わらせたいです」


 エレクトリールとリシェルが一番先に自己紹介をした。するとエレクトリールはリリエットたちの方を見てからあまり目を合わせないようにしていた。また、リシェルは名乗った後立ち上がり全員に礼儀正しく一礼をした。


「そうか、孫も覚悟を決めたか。魔銃士の力に目覚めるとは嬉しいな」


「頼もしくなりましたよお孫さんは。最初に出会った時とはまるで別人です」


 アル・ポカネロスとルズイークはリシェルの表情を見ながらそう話をしていた。ルズイークの元に配属されたころの彼は素行が悪くかなり生意気な人物であったという。割と温厚なルズイークでさえ、リシェルという不良少年は手を焼き時に怒りの形相を見せていた。


 しかし今では立派で礼儀正しく、底抜けに明るい頼もしい男になっていたことに安心していた。彼の狙撃の腕は本物だ、うまく活かしてほしいと願っていたルズイークは、ハーネイトの側で活躍している彼に期待を寄せていた。


「エレクトリールに、リシェルか」


「流石ハーネイト様ですね。しかし足手まといになるような真似だけは慎んでくださいね。2人とも」


「了解です」


そういい、エレクトリールとリシェルはメイドたちに一礼した。ミレイシアはそれにややツンとした表情を見せながらもどこか微笑んでいた。


「それじゃあ次は拙者からだな。私は南雲・星影流星と申す。霧の里出身の忍でござる。イジェネート能力による攻撃と忍法による拘束術で支援を行うであります。マスターの実施した試験に合格し、今回正式に雇われております」


「よりによって機士国を襲った悪夢までいるとはな。だがハーネイトが試験をして連れてきたのならば、実力はあるだろう。あの時もすごかったからな」


 南雲の自己紹介を聞き、昔のことを思い出していたルズイークだったが国王の話を聞き、確かにそうだと納得していた。まだ戦力差がどれだけあるのかが不透明な点があったため人材が必要であることは理解していた。


「とにかく今は少しでも人手が欲しいのだルズイーク。この際過去のことは水に流すのだ。なんでも忍の方でも犠牲者がおるようだしな」


「は、はい。国王様」


 アレクサンドレアル王がまだ少し納得していなさそうなルズイークの表情を察しなだめる。彼も同意し、落ち着きを取り戻した。


「え、えーと。次は私ね。私は風魔かざま・蓮・彩奈と言います。かつてハーネイト様に助けられ、それからずっとお慕いしております。私も試験の合格者で、霧の里忍総隊の一番隊隊長という役職に就いています。どうか、仲良くしてくださいね皆さん?」


 風魔がやや恥ずかしながらも自分の紹介を行った。実は彼女、忍者部隊の隊長でもあり、実力でその座を勝ち取った経歴を持っていた。そしてハーネイトと試験で戦ったことを思い出し顔を赤くしてうっとりしていた。


「改めてよろしくね、風魔ちゃん」


「ええ、リリーちゃんもね」


 風魔は一見、目つきが鋭く近寄りがたいが、実は人と仲良くなることは得意で行動力も十二分にあるため愛されやすい存在であった。ただのヤンデレではなく、どちらかというと彼女は一途すぎて人の話をあまり聞かないだけであるのかもしれない。


 女性陣と話をしながら、風魔は終始にこにこしていた。忍の里でも女性の忍は数えるほどしかおらず、ましてやそれ以外の人たちと仲良くなれたことが彼女にとってうれしい出来事であったといえる。


「次は私たちよ。私はミカエル・ドロシー・ステア。中苗字は違うけれどあの黒羽のジルバッドの実の娘です。大魔法と召喚獣による攻撃が専門です」


「私はミカエルの妹の、ルシエル・ドロシー・ステア、と申します。回復と、砂や水を使った魔法に自信が、あります。ど、どうかよろしくお願いします」


 ミカエルは元気よく、ルシエルはやや恥ずかしがり小声になりつつも紹介をした。


「魔法使いも今では数が少ない存在だ。しかし南の方にいるとは思わなかった。2人ともよろしく頼むぞ」


「魔女の森出身者か……一応気を付けた方がいいかな」


 夜之一は2人に声をかけて軽く一礼をした。まさか魔女まで仲間になるとは予想していなかったが、あのジルバッドの実の子供であるならば腕も立つはずであり、それにハーネイトも認めているなら問題ないと彼は判断し、笑顔で歓迎していた。


 一方でいつの間にかいたアリスは、ミカエルとルシエルが魔女の森メンバーであることに警戒していたのであった。それは魔女の森という組織がハーネイトと因縁があるからというのが理由であった。


「ようやく俺様か。改めて紹介しよう。俺の名はサルモネラ・エンテリカ・ヴァルドラウン。通称はヴァン三世だが、ヴァン呼びでいい。名前で呼ばれるの嫌なんや。んで微生物を用いた探知から治療まで何でもできるのがウリやねん。ハーネイトの仲間は俺の仲間だ、そう思ってるからよ、改めてよろしく頼むで」


「えーと、私はティンキー・リリーことエレナ・エリザベス・リリーと言います。機士国王とルズイーク、アンジェルさんは私のことは覚えていますよね? 1年間ハーネイトのもとで魔法の修行を受けていました。元は別の世界の人ですが、今回の戦い、私もヴァンとともに参加します」


 サルモネラヴァンとリリーがようやくかと言う感じで自己紹介をした。それにミカエルが質問をした。


「リリーちゃんだっけ、ハーネイトから魔法を習ったって言うけれど、大魔法はどのくらい使えるの?  」


「0から110番まですべて使えますよ。一応、ハーネイトから冠名を頂いているわ。協会寄りじゃないけどね私」


「嘘、でしょう? 私たちより上だなんて。ハーネイトはともかく、貴方まで。自信なくなりそう」


「まさか星属性も? 月陽天体光砲や地壊震裂もいけるというの?」


「え、ええ。少し不安定ですが撃てはします。もっともあれは禁術ですからね……星の力を魔法として打ち出すのは危険ですし」


 ミカエルとルシエルは目の前にいる小悪魔みたいな、自身たちよりも10歳は下に見える少女が想像をはるかに超えた力を持っていることに驚嘆と恐怖を抱いていた。


 数少ない魔法使いの中でも、大魔法を使えるのは現在30名程度であり、その中でも90番台の回復補助系、100番台の星属性と地属性は習得が非常に難しいため、そこまでたどり着いた人は両手で数えるほどしか存在しないのが現状であった。


 また大魔法は集団で使うのが望ましく、1人が拘束、1人が補助、残りが攻撃と打ち分けることで、3行になったとはいえ長い詠唱の隙を補えるので使い手が増えること、そして柔軟に多くの魔法を使える存在は大きな戦力であった。


「本当にハーネイトは実力者を集めることに関しては優秀過ぎますな」


「ええ。戦力的にはこれだけでも十分勝算があるとは思いますがね。相手がかわいそうなほどだ、ハハハ。何せハーネイトの部下だけでも大国を落とせる特急戦力なのでね」


「正確には、星を滅ぼせそうというべきか。しかし、これで風向きも変わってきたな。そもそも機士国の方も動きが鈍いようだからな、この機を逃さずに行きたい」


 彼らの言葉を聞きながら団子を食べつつ、アレクサンドレアルと夜之一が戦力の再評価を行った。ユミロからの情報で敵が少数精鋭かつ、残りを魔獣と機械兵で補っていることは把握済みのため、残るは敵の本拠点の位置とそこにいる戦力についての情報だけだと彼は考えていた。


 


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