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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第1シーズン 宇宙からの侵略者DGvsハーネイト遊撃隊
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第28話 DG幹部ホールズVSハーネイト&吉田川


 部屋に突撃したハーネイトと吉田川の2人は、その目の前の光景に驚いていた。


 なぜなら何名もの人が、薄暗く老朽化している工場の中で古くなったり壊れたりしたカラクリを修理している光景を目の当たりにしたからであった。


 金属を叩いたり削ったり、火花の飛び散る音が辺り一面に響く。しかし、その作業を行っている人の表情はどこか疲れているようにみえる。もはや生気すらないほどのやつれ具合に、思わず2人は目を疑った。


 疲労からか作業している人たちは2人の侵入にも全く気付いていない。しかし八頭の葉組の幹部数人がこちらの存在に気づいた。


「ふぅ……貴様らは誰だ。ここは立ち入り禁止だが、看板が見えなかったか?」


 部屋の奥から、ぼさっとした茶髪の軍服姿の男がこちらに歩いてくる。右手にはマシンガンを持ち、煙草を口にくわえながらギロっと睨み付ける。この男はDGの下級幹部の一人、ホールズ・マクマインという。

 

 彼はこの星の人間ではなく、組織の中でも冷静かつ凶暴な、実力のある人材として名を馳せていた。


 ホールズはジュラルミン閣下を陰から操っているDGの大幹部、つまり例の魔法使いから依頼で、日之国の調査と技術の回収を行っていた。


 そう、彼は星にある独自の様々な技術をできるだけ盗んでデータを回収する任務の中で、日之国の反政府組織と出会い、互いの技術の交換を持ちかけつつ自身の手下にしていたのだ。


 しかし彼には裏の顔があるという。しかしそれを周囲に悟られないよう行動していた。


「特にそうとは外には書かれてなかったぜ。さあ、ここで何を企んでいる? 」


「いいだろう、冥土の土産に教えてやんよ。このカラクリってので城を壊滅させ、俺がこの国を乗っ取るのさ」


 ホールズが後ろを向き指をさす。その方向にはとてつもなく大きな金属の塊、いや巨大な兵器らしきものが存在している。建物内が暗くはっきりとは見えないが、全長は15m近くにも達する、大型の機械のようである。


「だからカラクリを整備するために、あんなに技術者を誘拐したな?」


「その通りだ。お陰であと少しだってのによ。計画の邪魔はさせねえ、ここで貴様ら命を終えろっ!」


 ホールズの怒号に追随し、武士の1人が刀を抜きハーネイトに素早く迫る。それをハーネイトは瞬時に刀で受け止めたあと力強く払い、勢いよく武士を吹き飛ばして壁にぶつける。


「力が強いっ。なんて馬鹿力だ、ごふぇ、うっ」


「他愛もない。この程度、剣技を使うまでもない」


 吹き飛ばされて鉄の壁に激突し沈黙した仲間の武士を見て、更に数人の武士が激昂しつつ2人に襲いかかる。


「うぁああああ! か、覚悟しやがれ!」


「数だけは多いな。だがっ!」


そう言いながらハーネイトは反時計回りに、刀を自身の前で回した後刀を構え、一歩前に踏み込む。


「孤月流・月天!」


ハーネイトは勢いよく、刀で逆袈裟斬りで武士を打ち上げ、有無を言わさず袈裟斬りへを繰り出し、2本の剣軌跡を生み出しながら素早く数人を斬り、屈強な武士たちをたやすく地に伏せる。


 それでも数人の武士が血相を変えて襲い掛かるも、今度は紅蓮葬送を展開し巨大な手のように動かすことで、数人をまとめて紅蓮の掌で捕縛すると豪快に壁まで投げ飛ばす。


「ごふぇああ! ば、化け物がおる……っ」


「まさ、か、ああ。紅の英雄、は、ハーネイト……か、勝てるわきゃ、ねえ、っ」


「この程度とはな、流石に物足りないという感じだ。面倒だからこのまま終わらせる」


 彼は自身の圧倒的剣術に軽く笑みを浮かべながら、ホールズに対し刀をくいくいっと動かして軽く挑発する。


「武士たちが一瞬とは、なんて力だ。しかしこれならどうかな? ハハッ!」


 ホールズは部屋の奥の扉のスイッチをカチッと押す。すると扉が開き奥から機械兵が数台、ハーネイトの方に向かってくる。激しい機械音をガシン、ガシンとゆっくり立てながら、二人に銃口を向け、威圧するようにこちらに足を進める。


「こ、これはカラクリ?」


「いや、機士国の一般機械兵か。モデルから見てもそうだ」


「ははは、こいつはただの機械兵ではない。こいつらはあの老人たちの手で改造された性能向上型だ」


 ホールズがそういい、今度はまた別の方向に指を指すとその向こうには、行方不明となっていた鉄蔵らが数人の武士に囲まれていた。


「おっと、動いたらこのジジイたちを殺すぜ。あれが完成した今、もう用済みだからな」


 ハーネイトと吉田川はその言葉に反応し、動きを止める。それを見ていた技術者たちは、ハーネイトに叫ぶようこう訴えかけた。


「む、お主はハーネイトじゃな! 儂等の事は構うな。こやつを倒せ!」


「俺らはこの輩に誘拐されて、脅されて対城カラクリ兵器の復元を行った。起動すれば大変なことになる、何としてでも計画をぶち壊せハーネイト!」


 2人の声を聞き、ハーネイトは吉田川に小声で鉄蔵らの保護を頼む。


「隙を私が作る。その間に吉田川、あの人たちを救出してくれ」


「わ、わかった。隙を見ていくぞ」


「何をごちゃごちゃ言うか。さあ機械兵よ、こいつらを撃ち殺せ! 」


 ホールズが機械兵に命令をだし、機械兵がキャノンアームを構えた瞬間、ハーネイトはこう叫んだ。


「解き放て、紫の魔閃(シュトラール)!」


 彼は藍染叢雲をホールズに向かって突き出すと、紫色の光線を素早く3発発射した。

 

 以前ハーネイトがフラフムでの襲撃の際に使用した「魔閃(ません、またはシュトラール。魔銃士はディステロと呼ぶ)」は魔法使いになるうえで基本となる術式の一つである。


 魔力を凝縮、収縮しそれを一点に放つものであり、術者の魔法力が高いほど威力が向上する。


 その技は極めれば、軽く大山を一撃で消し飛ばせる威力を持つ。またハーネイトはこれを日本刀から打ち出すこともできる。こうすることで収束率を上げ攻撃力が通常よりも跳ね上がる。


 しかし彼の魔閃は魔銃士の放つ物とは何かが違っていた。


「がああああっ、な、なんだ、目が見えないっ、あぐっ、痛ってえええ! は、反撃しろ機械兵!」


 ハーネイトはそうして魔閃を数発放ち、閃光によりホールズの視力と行動を一時的に奪う。しかし機械兵がこちらに向かってキャノン砲を連続で撃ってきた。重い弾丸が素早く部屋の中を突き進む。それに対しハーネイトは予測していたかのように魔法を詠唱する。


「7の鎧 14の帷子 28の甲鬼 56の無念! 此処に集いて7反の誓いを立てろ! 大魔法14の号、甲反七陽(こうはんしちよう)!」


 そして詠唱を素早く終わらせると7枚の盾を召喚し、砲弾を受け止めはじく。「甲反七陽」は防御系の大魔法であり、物理系限定で攻撃を7回まで無効にできる。


 そうして攻撃を防いだ隙に吉田川は素早く回り込んで鎖十手を巧みに飛ばし、武士らを一網打尽にすると、捕らわれていた計8人の技術者たちを救出することに成功した。


「まだだ、貴様には聞きたいことが山ほどある。剥奪の光章 五式の牢鍵 肯綮(はいけい)穿つ閃光の帯 止まりて問え汝の罪を! 大魔法83の号・五絞篭(ごこうろう)


 吉田川の活躍によりホールズはわずかだが隙を突かれ動きを止めた。その数秒を逃さずハーネイトは片手で印を組みながら詠唱し、光の大魔法「五絞篭」を発動する。


 するとハーネイトの周囲に5枚の光刃が展開し、それがホールズに向かって全て飛翔し彼の体に突き刺さる。この大魔法は捕縛、拘束系に該当する魔法でもあり、刺さった対象者は結界に覆われ身動きができなくなる技である。


「ハーネイト、誘拐されていた人たちは全員助け出したぞ!」


「分かった。早く建物の外へ避難を! 」


 吉田川は急いで8人を連れて扉の外に出る。それから全員が脱出するのを確認し、ハーネイトは押さえつけていた力を一時的に開放する。


「これで心置きなく。創金術に屈するとよい。紅蓮葬送・紅蓮落陽クリムゾンフォールンサン


 ハーネイトは瞬時に深紅のマントを首から展開し、マントすべてを使い右から左へ凪ぎ払うように機械兵をマントの先端で捕らえ、それらをすべて捕まえると、そのまま飛び上がり、地面に捕らえた機械兵を激しく叩きつけた。


 それと共に凄まじい打撃音が地面を揺らし伝える。その衝撃で、叩きつけられた機械兵はすべて、機能停止しその場に崩れ去った。それはまさに一瞬の出来事であった。


「さあ残りは貴様だけだな。足から頭の先までたっぷり尋問の時間だ。五絞篭を破れるものなど、ほんの一握りだ。諦めるんだ」


 ハーネイトは、首から伸びた紅蓮のマントを器用にたなびかせ、余裕のある表情を見せる。


 彼の使う、攻盾外套(こうしゅんがいとう)紅蓮(スカーレット)葬送(バインドクロス)は彼の得意技であり、創金術を用いてまるで翼の様な紅いマントを自在に操ることができる。


 フューゲルを相手に使って見せたこの戦技は、汎用性の高さと破壊力、それに飛行能力の付与などハーネイトの戦闘術に大きく貢献している。


 実はこの力、彼に眠っているある旧支配者の力によるものだと言うが、当然本人は全くそれを知らず、ただ使いやすいと言うだけで様々な場面で使ってきたと言う。

 

 そんな中頼みの機械兵を一瞬で失い、魔閃と大魔法により行動を一切封じられたホールズ。しかしまだ戦う意思を見せている。瞳はハーネイトを鋭く睨みつつ、痛みに耐えながらどうにかその場に立ち留まる。


「他に楽しませるものはないか?」


「何て、強さだ。とても人とは思えねえ……っ! 使いたくはないが、どうしてもこれを、うっ……がはっ!」


「ないなら、捕らえて吐かせるしかない。覚悟するんだ。って、それはやめるんだ!」


 そう言い彼が近づくと、ホールズがわずかな動きで服の中から何かを取りだし体に張り付けた。それを見た嫌な予感からハーネイトは身構えたのであった。その予測は的中することになる。そう、またあの悲劇が始まろうとしていた。

 ハーネイトの使う紅蓮葬送には、ある重大な秘密の1つが隠されていると言う。その間にボールズは、あのカードを使い……

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