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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第二章 天神界の秘密と古代人&武器商人の不気味な盟約
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第199話 世界龍封印機関(ドラグシェールン)の座を継ぐ者

 

 それに対しハーネイトはDGは龍の力を宿したヴィダール以外の存在について質問し、その者たちこそこれからの未来を左右する存在だと言い、出来るだけ確保し保護すべきだと話したのであった。


「しかし、そうなると永遠にその龍というのが出てくるわけですよね」


「そうだ。封龍の一族の定めとして――永遠に戦う定めをお前らも、我も背負っておる。今のままではな」


「だから、今ある世界、つまり土台になっている龍を倒して別の大きな世界の器ってのを作るってのか?」


「その通りだが何か」


「そうなるとよ、今ある世界はどうなる?今あるたくさんの世界の土台として、その幽霊龍が存在しているならそれが消えると……?」


「残念だが無くなる。だが龍という存在自体がない世界を作れば、誰ももうそれと戦わなくてもよい世界になる。その方がいいのではないか?そもそも、今ある無数の世界なぞ、存在する価値などないに等しい。今を生きるあらゆる命は、このことを何も知らずにのうのうと過ごしているのだからな」


「そんなこと、ないです」


「せやなあ、思うところはあるけどよ、ワイも相棒と同じ意見や」


「ほう、何故だ。あいつらから聞いたが、酷い目に遭ったそうだな?それでもか?」


 ソラは今ある世界に果たして価値はあるのかと2人に問う。


 それは龍やヴィダールのことなどに関して感知できない者があまりにも多くあらゆる世界にいる中で何も知らずにハーネイトやヴァンに対し酷い仕打ちをしてきたものが多いのではないか、そんなものを護る価値はあるのかということであった。


 それについて2人は、少しの間昔のことを思い出し沈黙してしまう。けれども、旅の中で2人は大切なものを今ある世界に見出すことができた。それは自分たちを見て、受け入れてくれる仲間たちがいることであり、共に戦う中で育んだ友情は確かなものだということであった。


「確かに、数えきれないほどに死にたいと思うほどの過酷な人生でした。だけど、それでも私を私として見てくれる、怪物ではない、素の自分をきちんと見て接する存在はいる。それでいいのです」


「俺もやで。つーかアンタが面倒ってなら、俺らが代わりに戦うまでや。女神代行って言うたやろ?それでええ、あんたの代行やって、世界を維持できるなら、やってやるで」


「息子2人、共に同じ意見か、そうか。だが過酷な道のりだぞ。我ですら投げ出したいほどのことなのだがな」


「せやなあ、まあ俺も正直人間についてはひどい面をたくさん見てきたからあれやけど、でも護りたい奴も増えてきたし今ある世界を護りてえ、愛する者を護るためなら何でもできるで」


「後で音をあげても知らんぞ?フフフ、どこまでその意思を貫き通せるかが楽しみだな。まあ、その前にどこまで仕上がっているか我が最後に試そう。それで、どうするかを考えようかのう」


「行くぞ、伯爵!」


「ほな行くで!」


「ははは、いいぞ。全力をぶつけたまえ、どこまで調整できているか我が試してやる。龍を支配するに足りるかどうかを、見定めてやろう」


 ソラは挑発しながら、今出せるすべての力を出してこいといい、ハーネイトは早速黒翼斬魔に変身し無数の翼による攻撃を繰り出した。それに合わせ伯爵は菌で出来た剣で切り裂こうとするが彼女が展開した青く光る結界に阻まれる。


 しかもそれに対し反撃を行い無数の光の弾丸がハーネイトたちに襲い掛かるが龍翼と龍鱗鎧でこれに対処しつつ双方が力をぶつけ合っていた。


「どうした、まだこれからだぞ。私を相手に息を切らすようでは、あれらと戦う資格など、世界戦劇の舞台などには上がれはせん!」


「まだまだ!」


「ワイも更に飛ばしてやるぜ!微生物の力、なめんな!」


「――ふうん、我が生み出した存在、しかしまだ力が足りなさすぎるな。やはりあの試練を与えるほかないか。何より、2人とも自覚が足りん。それを促すには、フフフ、砕けたオベリスを」


「あれだけの猛攻に笑顔で返していくだなんて、タフすぎるな」


 それから約一日もの間、両者とも無数のやり取りを繰り広げ周囲がそれに応じて破壊されていく。


「はあ、はあ、この私をここまでとはな。だが!」


「っ、まだ立てるのか」


 2人でようやく攻撃が届くかどうかわからないほどにソラは強く、勝てる光景を思い浮かべないハーネイトとヴァンであったが、ソラは少し離れた場所で不敵な笑みを浮かべると、ある提案を出したのであった。


「我もこの程度で倒れる物か。だが、猶予をやろう」


「どういうことだ」


「前にも言ったが、私に計画を持ち掛けたドラギスという者を探し出し、修行をつけてもらえ。その中で砕けたオベリスを集め解読して見せろ。そうすれば、お前が何のために我らにより生み出され、こうして存在しているのかも全部わかるだろう。今まで、過酷な思いをさせてきたがここからが始まりだ」


 ソラは静かに、2人に対しこれからやるべきことを告げる。それは彼等のさらなる成長を促すために必要な試練であった。


「そうだ。古文書を集めさせたのは、お前が龍を倒す存在であると自覚させるため、世界の成り立ちについてまず知って欲しかったのだよ」


 ソラは解放していた力を静めると、2人の元に歩み寄り両腕を広げ抱きしめたのであった。


 それに驚く2人であったが、その後の話にさらに驚かされたうえでハーネイトに関して何故古文書を集めさせたのか理由をきちんと伝えた上で、本来は他の逃げていなかったヴィダールや自身が生み出した存在に世話をさせる計画はなく自身の手で育てようとしていたことを打ち明け、自身も寂しい思いをしていたが結果的に立派な姿で現れ力も運用できていることを知り安堵したことを率直に話したのであった。


「だが、まだ力に恐れを抱いておるな。特にハーネイト、お前はそうだ。それとヴァルドラウンか。お前は手にすべきものを手にしておらん。それを手に入れて初めて真の力を手に入れられる。それをハーネイトと協力して探し取り込め……それと、己を恐れるな。力あるものがすべてを護らねばならん。恐れを乗り越え全ての龍の力を自身に、完全に纏えるまで、この地に足を踏み入れることを禁ずる」


「なっ!」


「お前は6体存在している龍の力を1つにまとめる力を宿している。それを我に証明出来ると分かるときまで、この地に足を踏み入れるな。これは修行にして試練だ。この先、お前にはある不幸が降りかかるがそれも糧にして進むほかない。これは避けられぬ定めだが、周りを信じることで乗り越えられるはずだ」


「それまで、ここには来れないと」


「ああ。しかしここから我はお前らを見守っておるぞ。今度は、6つの龍の力をすべて支配し纏う姿を見せられるように修行をドラギスにつけてもらえ。そうすれば、その時は座をお前らに渡して隠居しようか、ハハハ、今ある世界を護りたいというならば、その証を見せたまえ」


「ソラ……はい、その目標、何が何でも成し遂げてきます。だから、どうか見守っていてください」


「ああ、それとオベリスには破滅の未来を防ぐ予言があった。予言の神子、それがカギを握る。それが何者なのかを調べ、連れてこい」


「予言の神子……はい、調査してきます」


 ソラはハーネイトと戦った上で、恐怖から力を万全に扱えず過度に抑え込んでしまっていることを見抜いたうえで今のままでは破滅の未来を防ぐ力がないと伝え、恐怖を乗り越え力を再度運用できるようになり、その果てにある6つの龍の力を全て1つにした姿を手にするまでこの天神界に足を踏み入れることを禁ずると伝え、それにハーネイトは目を丸くしていたのであった。


 そのうえでこの先ある不幸が襲うと予言じみた話をしつつ、乗り越える術を教えながらヴァンに対してもソラはある重要な話を伝える。それはヴィダールが恐れを抱いている存在、Pに関しての話であった。


「嬉しそうやなあ相棒。まあ、ワイはどうしよっかなあ」


「それとお前、いやヴァンと名乗る者よ。Pを解放し手に入れ、ハーネイトとともに旧支配者と戦え。それがお前への課題だ」


「……なあ、俺が生まれた背景ってのもさ、オベリスってので分かるのか。俺も、あんたが生み出した存在なんだよな。つか、Pってあいつらが言っていたおっかねえ奴だよな。俺がそれを手にして大丈夫なんか?」


「ああ。元は1つだったそれを、何者かが砕いて散らばってしまっているが集めれば、な。己の手で真実を見つけ、受け止めた上でどうするべきか、判断するがよい。それとヴァルドラウン、お前はPを管理するために私が生み出した。しかしその経緯は話そうにも難しい。だからこそオベリス、それを全て集めるのだ」


「ふざけてんのか、今知りてえんだよ!ってか、やっぱお前か!てことは、俺とあいつらは何が違うんや!」


「全ての龍の力を統べ、我が認めるに足りるその日が来るまでしばしの別れだ。それと、もう1つお前らにはやってもらわんといけないことがある」


「まだ、あるのですか?」


「これはドラギスを探すというのと関係があるが、世界龍を封印する組織、世界龍封印機関の4代目として、ハーネイト、お前を任命する」


「え、何ですかそれは」


「言ったとおりの話だ。この先増加するであろう旧支配者たる霊龍の分霊が起こす事件を解決し活動を抑え、世界龍危機という恐ろしい結末を防ぐための組織だ。お前には初代龍葬長であるドラギスを含め今まで座につき行方が分からん代表2名の捜索も合わせ、現代表であるが臨時でそれを務めていた私の代わりにそれを引き継いで代行という形で活動してもらうぞ」


「先ほどから何回も言葉に出ていた女神代行、ってこと?」


「そうだ。オーダインたちに詳細は追って伝えさせる。良いか、お前らの働き次第で今ある世界は変わることになる。護りたいならば、戦え。それと、今までの働き、感謝しておるぞ。さあ、行くがよい我が息子たちよ!」


 ソラは最後にそう伝えると、2人に対し離反したヴィダールに古文書を通じて事実を伝えたことに感謝していると告げその場から姿を消したのであった。


「ちょ、肝心なこと……ちっ、それも自分たちで調べて理解しろって話か、ホンマ骨が折れる話や」


「え、最後に何を、息子たち、って、もしかして」


「俺たちは、ソラから生み出された何かかもな。微生界人、それについても謎が多いがオベリスってのを集めればわかるやろ。計画がどうのこうのとかあれやし、俺たちにまつわる計画って奴の全貌を解き明かすのも、大切なことやろな」


「何で今全部話さないんだろう?」


「俺も分かんねえよ。なんか訳ありな感じだけどな。だからこそ真偽を確認するしかねえ。だが、これからどうするべきかは分かった。あの幽霊みたいな龍が破滅の未来ってのをもたらすんなら、止めなあかん。さあ、世界龍封印機関って組織の代表になるんやろ?俺が支えたる」


「そう、だね。ありがと、ヴァン」


「へっ、ここからが本番やで、さあいこや!」


 そうして、天神界を去ったハーネイトとヴァンは元来た道を利用しアクシミデロに戻ると、エレクトリールたちを集め起きたことを説明し、新たな組織の立ち上げに関する大会議を始めたのであった。


 この後に起きる世界龍危機こそ、彼等が真にあらゆる世界の存在証明を賭けた戦いになるのだが、まだそれを誰も知る由はなかったのであった。




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