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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第二章 天神界の秘密と古代人&武器商人の不気味な盟約
202/209

第198話 再びソラの元に


 その後しばしの休暇を過ごしていたハーネイトは海岸探索や新生物の発見など冒険家としての活動も行いつつ、リリエットやヴェスカトリポカ、オーダインらの元でより龍の力を制御できるようにする修行をしながらこれからの方針について考えていたのであった。


「相棒、最近ボーっとしてんな、どうしたんや」


「だって、DGの活動も収まって特にトラブルが起きていないもん」


「魔法犯罪もあれから目立ったのは起きていないしBKの人たちも対応しているもんね」


「そうだなリリー。これからどうしようか、うーん」


「ソラの言っていたドラギスって奴を探すのはどうするんだよ」


「ソラは古文書を集めさせた。そのおかげで色んな事を知ることができたが」


「DGはソラから逃げてきた存在の集まりであって、古文書の中のことを知らない奴ばかりだった。いや、正確には治療の際に記憶喪失が起きたみたいやけどその経緯が知りたいで。んで他にも前に会った時に色々違和感を覚えたがよ、つーことで相棒、もう一度あのババアに会いに行こうぜ」


「直に話をして、他の逃げたヴィダールともう戦うことなんてないことを伝えたい。皆、知らないから怖かったんだ。でもソラは龍のことを知っていたうえで私たちを生み出した、ってなら」


「だからよぉ、取り合えずもう一度行こうぜ、あそこにさ」


「え、もう一度天神界に?」


「そうだねエレクトリール。ヴィダールの件について話があるし聞きたいことができた。しばらくの間開けることになるがその間色々任せたい」


「はあ、それならばお任せください。ですが大丈夫ですか? 少し不安かもです」


 ハーネイトはリンドブルグから離れて各地で起きていた霊龍が起こす事件の討伐を仲間たちと行いつつ拠点があるミスティルトにて、事務所の屋上でエレクトリールたちに対してある話をする。


 それは今までのDG及びヴィダールとの接触等を含めて思ったことに関しての話が主であった。


「あの、師匠?何がしたいんですか?」


「もう一度ラー遺跡に行く。あの時次元融合装置を使ったがもう一度使って天神界に乗り込む」


「マジすか、俺たちもついていきたいところなんすけど」


「済まない、アーロンたちの話によると門自体が少し不安定であまり人の移動ができないのとどうも天神界に行ける存在自体が限られているみたいなんだ」


 リシェルとエレクトリールはハーネイトに詰め寄りながら自分たちも同行したいというが、遺跡にいるアーロンたちと連絡を取り大人数での移動が難しいなど幾つも問題があることが分かり仕方なく不満そうに2人は待機することになったのであった。


「DGも若の働きで活動を終えることができた今、何をしようと基本構わんが無事に戻って来い、わしはそれしか言えん」


「無事に帰ってこないと、末代から恨みますわ」


「ハーネイト様、どうかご武運を」


「お前がいなくても俺たちでやってやる。蹴りつけてこいや」


「俺もついていくから大丈夫やで。てことで、遺跡のほうまで行ってくるぜ」


「では行ってきます」


 そうしてハーネイトと伯爵はミスティルトを離れ、ゼペティックスに手配してもらった可変戦機フューリオンの輸送型に登場しゼペティックス社所属のアスハロ・ケーンが操縦しラー遺跡まで急行し遺跡内に入ると、アーロンとオーダインに出会い話をしたうえで、何時でもいけると彼等にそう伝える。


「私もまだ知らないことの方が多いな。ソラ様、何故私たちにも龍に関することについて話をしてこなかったのでしょうか」


「分からないが、それを確かめに行くんだろ?」


「その通りです、皆さんの疑問、私が解決してきます!」


「ちゅーことでな、装置の方頼むぜ」


「帰ったら他のヴィダールたちにもソラ様の考えなどを伝えてやってくれ。皆、お前らに賭けたんだ、破滅の未来を防ぐというその役目をな」


 薄暗い遺跡の中で彼等はそう話しながら、ソラという存在が何のために今まで龍の力を使った存在を生み出してきたのか、何故他のヴィダールに龍から生み出された存在であることを知らせなかったのかなど幾つも出てきた疑問を解消するためハーネイトたちは赴くと言い、絶対に戻って来いとアーロンとオーダイン、それに黙々と装置の調整をしていたBKの構成員等にそう言われ、次元融合装置の前にハーネイトと伯爵は立ったのであった。

 

「はい、では装置の方お願いします」


「っしゃ、何が何でも聞きだしたるわ! へへへ、待ってろよ」


「さあ、飛び込め!」


「行くぞ!」


 ハーネイトたちは前回と同じ方法で天神界まで移動し、出口を見つけるとそこを抜け、雲で出来た地面の上に降り立つ。しかしここで予想外の事態が起きたのであった。


「フフフ、ハハハ。なんのためにまたここに来たのだ」


 そう、いきなり目の前に強烈な閃光が走り、その直後にあのソラが現れたからであった。先にシルクハインたちに挨拶をしてからソラに会いに行こうとしただけに2人とも思わず距離を取ろうとする。


「え、いきなり?」


「マジかよ、でも手間省けたんやないか?」


「我が息子たちよ、まずは古文書の件、それと離反したヴィダールに関しての件はご苦労だった」


 もしかしてソラはこちらが来ることを分かった上でここに来たのではとハーネイトは思い、何を言われるか分からずヴィダールの討伐どころか逆に古文書の話をして理解させソラを倒すために動こうとした者たちを抑えたことについてどう説明しようかと焦りの表情を見せるがソラの言葉は意外な物であった。


「あの、離反したヴィダールの討伐とかしていないのですが聞きたいことがあって、ここに来ました」


「言われなくても分かるぞ、まあ、そうしないだろうと思っていたがな。古文書の内容を伝えたのは、ある意味で感謝している。私がせねばならんことだったがな、女神代行としての力は、確かにあるか、面白い」


「女神代行……確かに。あの、それについてなんですが、離反したヴィダールの皆さん、ほとんどヴィダールの成り立ちに関して知らないと言っていました。自分たちもまたあの龍があって生み出された存在だと知らないようで戸惑っていました」


 ソラはハーネイトの行動の全てを見通したうえで、自分のある意味臨んだ形になったことを喜んでいた。


 それから彼の話を聞いたソラは、少し表情が曇るも昔のある出来事を思い出し納得した上で独り言のようにあることをつぶやいたのであった。


「何と、それは……そうか。だから我とドラギスが立ち上げた計画に関して理解できていなかったのだな。薄々、そんな感じはしていたのだが、これで理解できたな。やはりオベリスの崩壊が……」


 何故自分の元から去ったのか、それについて思い当たる節が幾つもありお互いに問題があったなとソラは自覚したうえでハーネイトの目を見つめていたのであった。


「それがよ、どうもあんたが昔治療したヴィダールの連中ってのが記憶がおかしくなってたみたいでよ、その矢先に色々あって逃げたみたいなんやが」


「何だと?私がほぼ命の灯が消えかけていた同胞を助ける際に使用した力が、そのような結果を……やはり、我にはU=ONEの力は完全には扱えぬのか。いや、その前にもあれの影響はあったのかもしれん、それを悪化させたのが我か」


「U=ONE、それは何なんですか?エヴィラという女性もその力について言及していましたが、詳細は分からずただ使うなと言われたもので」


 伯爵の話を聞いたソラは驚きながらも自分がかつて同胞たちに施した治療がどうも悪い影響を与えていたことに動揺しつつもそれを治療して見せたハーネイトに対し、お前はその力をさらに磨くためにもドラギスに何が何でも会うしかないと強く伝えたうえで感謝していたのであった。


「奇跡を起こす禁断の力、だ。だが我も詳しくは知らん。まあ、言えることはその力は本来ドラギスが持っていた力だ。だからこそその真意を確かめるため、力の使い方を学ぶために彼に会うべきだとな。済まないが、これに関しては教えられることはない」


「分かりました。ますますドラギスのことが気になるな……あの、では別の質問ですがあの古文書は一体何なのですか?」


「……いいだろう、そもそも古文書を集めさせたのは散らばったオベリスの中にあった一部の情報を私が抜き出して記録していたものだ。それを利用すればオベリスがない今の状況でも龍の話を伝えることはできると考えていた」


「つまり、それを集めさせることで私たちに裏で何が起きていたのかを分からせて、ほかのヴィダールにもそれを伝えたかった?」


「龍の力を恐れずに、自分たちは使うべきだと言いたかったんか?」


「察しがいいな。そうだ、おかげで、私の考えも少しは分かっただろう。我も今の状況を憂いておる。だからこそ散らばった龍を封印する一族を再度まとめたかったのだ」


 ソラはやけに上機嫌な感じで2人に対し自分の代わりに話を聞かずに逃げたヴィダールに対し自分たちが本来どういう存在かを知らせてくれて嬉しかったと素直な感想を述べ、計画通りにならないことばかりであったが最後が良ければとりあえず良いかと彼女は不敵な笑みを浮かべつつ話せるだけのことは今ここで話してやろうと言ったのであった。


「封龍の一族……あの時見た幽霊みたいな巨大龍、それを封印し続ける、それがヴィダールという存在なのですね」


「その通りだ。古文書に書いてある通り、我らヴィダールはもともと旧支配者が生み出した存在であり、6体いるその旧支配者たる霊龍たちは他にも同様の存在を生み出し競わせていたとな」


「何だか、改めて話を聞くとマースメリアに現れたのも含め、とても放置できるようなものではないですね」


「周囲の建物や地面が少しずつ光になって消えていくのを見たけどよ」


「それも霊龍の力であり、それは我らも使える力だ。龍の力を持たぬ者にとってはどうやっても抗えない死の宣告といえようが」


「それを止められるのも、私たちだけ、ですよね」


「そうだ。それともう一度言うが古文書の内容は我がオベリスという代々伝わる秘宝にあった情報を覚えている限り書き示したものだ」


「という事は、そのオベリスというのがあれば古文書以外の内容も把握できると」


「やけど、そのオベリスって奴はどこにあるんや」


「残念だが、我が大昔にオベリスに触れある情報を見た後に砕け散った」


「えぇ……どういうことですか」


「推測だが、未来を見すぎて、未来を刻めなくなって自壊したのだろう。つまり、それ以降の未来はないに等しい、まあ滅びの未来、だな」


 ソラは残念そうに2人に対し、オベリスという情報集積記録結晶があればすぐに見せてやりたいがある事情でそれが敵わず、それに関しての女神代行としての依頼を出すためその内容を告げる。


「お前らはこれからオベリスを集めて、その中にあるヴィダールの霊鎧殻のデータを利用すれば内なる龍の力をさらに制御することもできよう。しかしそれについての情報を先代が代々受け継いでいたオベリスから抜き出そうとした矢先に先述した自壊し砕ける事件が起きたのでな。その後に生まれたヴィダールたちは龍の力を持ちながらもそれを認識していない、成り立ちを知らない者も多いだろう」


「では、なぜ集めてそれを教えなかったのですか?時間はあったはずです」


「確かにお前の言う通りだがそもそも遥か昔に出てきた龍との戦いで多くのヴィダールは散っていった。しかし力の残滓をどうにか集めリビルドしたのが今のヴィダール。力もまだ取り戻せていない者が多い。その後で私は倒した龍の力を集め、あるものを作り上げた」


「記憶が今一戻っていないというか大体のヴィダールはリビルドした際に記憶も大分喪失していたのがまずかったのか」


「てことはよ、皆一度ソラから生まれた経緯についての話が聞いたけどオベリスが砕けたショックと龍が襲ってきた事件で傷付いて治療もミスって記憶喪失になって、それで龍の化け物みてひっくり返って逃げて、記憶が滅茶苦茶になった中で恐怖から龍に関するもの全てを壊そうとしていたんやな」


「本当に、不幸が重なっている感じだよね」


「Pってのが怖いと言ってたけどよ、封印したときの話を聞かせてくれや」


「Pの封印のために、我の親は命を賭して力を貸してくれた。私は自身の不甲斐なさに打ちのめされた。だからほぼ命の灯がなかった先代のヴィダールにして親であるアルフシエラとソラリールを無限炉に納めてどうにか生かしていたのだが、Pに関しては私も流石に反省しておる。その事件があった矢先にドラギスという放浪していた先代のヴィダールが現れて、ある計画を持ち掛けたのだ」


 ソラは2人に対して静かにそう言いながら、事件が重なりそれに対応しきれずその間にドラギスと出会い助言を受けつつある依頼を果たすために活動していたことを話したうえでPという龍の力を集めた存在にまつわる話も行ったのであった。


「時系列的には、Pという龍の力を集めた兵器の運用に失敗して、アルフシエラとソラリールが封印のために力を使いすぎて、それを見た前の戦いで力尽きソラの手で蘇ったヴィダールが恐怖を抱いて逃げてしまって、ってことですか」


「話が複雑やけんちょいちょい整理せなあかんなこれはよ」


「しかし大体の事情は把握した。ふうむ、我はシルクハインの話を聞いて最初は怒りに満ちたが、感情により龍の力を支配することが出来るとは驚いた。だが、その中で辛い思いをし続けてきたのもお前らが戻った後でオーダインたちから聞いた」


「はい、正直何でこんな思いをしないといけないのか分からず、自害したいと思うことなんて幾度となくありました」


「せやなあ、ワイも辛い思いはしてきたが相棒の方がひでえしな」


「今のお前たちになら、話そう。古文書の中にも書いてあるはずだが、破滅の未来につながる話をしてやろう。今ある世界の成り立ちとそれが消える時、それを再度確認するがいい」


 ソラはそれから、2人に対しある恐ろしい未来の結末に関して話をし始めた。今は眠りし6体の、世界の土台となっている龍の目覚め、それを許した時世界は上書きされ全てが存在しなかったことになる。という恐ろしい話を聞いた2人は顔が引きつっていた。


 しかしそれを打破する方法がある。それは近い内に出会うかもしれない、龍の力の1部を宿した者たちを見つけ出し鍛え上げ、龍の分霊と戦い続け勢力を抑えるというものであった。


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