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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第二章 天神界の秘密と古代人&武器商人の不気味な盟約
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第196話 DGの行動理由と離反したヴィダール


 その光景を見ていたヴァンたちは茂みから出てきてハーネイトの元に駆け寄ると少し呆然としている彼を見て大丈夫かと確認し、大丈夫だと分かるとヴァンはハーネイトの肩を抱きよせながら笑顔で彼の行動を評価していた。


「すげえな、お前はいつも敵だろうと包み込んで癒す。俺にはできねえな」


「そう、かな」


「しっかしよ、まさかDGってのがヴィダールと大きく関わっていた、いや、それそのものだとは思わへんかったで。やけど、残りのヴィダールってのにお前が大丈夫な存在だって示せば争いは収まる、そうやろ?」


「そうだと、いいんだけどね」


「何だか、聞いていると混乱しそうね。はっ、遺跡の内部に用事がありましたよね総司令」


「そうだった。急いで向かおう」


 ヴァンたちはDGという存在が思っていた以上におっかない存在であったことを知り悩みつつ、ルクルザインの言葉で古文書のことを思い出しハーネイトは猛スピードで湖の上に浮かぶ遺跡までジャンプで飛んでから内部に侵入し、10分ほどで古文書の回収を済ませたのであった。


「ということで、遺跡の内部はあまり仕掛けはなかったのですぐに回収できました」


「これで全部そろったか?」


「これだけじゃダメ、かもしれない。古文書で恐らくわかるのはあの霊龍がどうやって生み出され今存在しているかが中心だ。私が知りたいのは、ソラが隠している内容。コティナティクスが言っていた最後の計画についてだ」


 ハーネイトは手にした最後の古文書の中身を読みつつ、これを集めて分かることにはまだ限りがあり、他に自身が知りたいことはコティナティクスが言っていたオベリスという存在を見つけるかドラギスを見つけ出し話を聞くかしかないのではと思っていることを口に出す。


 そのあとゴルブレッジ村まで戻り、ミロクたちと合流すると4人から質問されハーネイトは一から経緯を説明する。


「回収はできたのか若よ」


「遺跡の方から凄い音と光を感じましたが何があったのですか」


「DGの幹部、いや、ヴィダールの1人と出会い、戦って話を聞いた」


 ハーネイトの話を聞いたミロクたちは驚くも、DGという組織の全貌が明らかになって来たなと思いつつハーネイトとヴァンが出会ったというソラの元を離反した存在がハーネイトを狙いに戦争を仕掛けてきたことに驚愕していた。


「マースメリアだけでなく、ほかの街でもあの霊龍が現れたのは聞いた」


「だがリリエットやシムカたちが倒したってな。しかしそのヴィダールっていう奴らか、古文書の話が本当なら元は1つであの幽霊龍を倒し続ける存在なんだろ?内輪もめしている場合っすか?」


「そうですよね、私も読みましたけど龍が出てきていること自体がまずいわけですよね、もう龍の力を使う存在、ってのを脅威に捉えるよりもその力で片っ端から倒す方がいいと思うのですよ」


「これは話を整理した方がいいかなと思います」


「そうですね総司令。ともかくそのDGという組織とヴィダールがどう関係しているのか全部洗いざらいにして明らかにしないと同様のことが起きるのでは」


「そうだなルクルザイン」


「あの、助けて頂きありがとうございました、マスターハーネイト」


「冷や汗をかいたぜ。しかしよ、俺たちもこうなったら総司令に手を貸すしかないよな」


「イグザルドの言う通りだ。他の仲間も召集する。総司令、もし私たちの力も必要な際はぜひ申し出てください」


「いつだって駆け付けるわ!」


「ああ、その時は頼んだぞ。魔獣戦線ガルマザルクの者たちよ」


 ガルマザルクのメンバーはハーネイトたちの前に集まると敬礼し、いつでも作戦に参加する意思を見せる。それにハーネイトは笑顔で返しルクルザインたちに連絡用の道具を与えてから森を抜けるためにミコーンたちの力を借りてオルヴァルク大森林帯の外まで移動するとベイリックスに搭乗し道中で魔獣や霊龍と何度も交戦しつつ撃破しながらブラッドラーの集まる街、ゴッテスシティまで戻って来たのであった。


「取り合えずゴッテスシティまで戻って来たが」


「一度元DGの者たちも集め改めてどういう組織なのかを明らかにしないといけない」


「ああ。BKの施設にて話を整理しましょう」


「最後の文書も手にしたことだ、全部読んで確認しようぜ」


「そうね、私たちも気になるわ」


 その後ハーネイトたちは各自解散し休息をとり、2日後の昼にハーネイトと彼の部下たち、BK、元DGを合わせた会議をBKの管理する施設の中にある大会議室にて行っていたのであった。


「コティナティクスから話を色々聞き、DGという存在が本来どういう組織なのかを知ることができました」


「今までなかなか話が出来なかったのは申し訳ありません。私もヴィダールの1柱なのですが、実はハーネイトを警戒してもいました。そのためどう話をすればいいか分からなかったのです」


「シャックス、一体昔何があったんだ。コティナティクスから聞いた話が本当なら、その」


「コティナティクスですか、彼は先日私の元に来ました。それで話を聞いてようやく思い出せたと確信したのですが彼の言う通り、昔も昔にそういうことがありました」


 シャックスはくつろぎつつハーネイトに対し、真剣な表情でコティナティクスと同じ内容の話をしたうえで霊界というところこそ天神界であり、本来のDGはハーネイトのような存在を監視、あるいは抹殺する組織であったことは間違いないと述べつつもスプリィーテスやフューゲルなどDGに潜入していた者達の影響でその方針に疑いを持つ者が出始めたという。


「まさか、アンタがねえ」


「わしは第一次DG戦争の際にハーネイトたちを守るために戦ったのだ。ジルバッド、それにフューゲルたちもだ」


「え、皆が、私を守るために、それで」


「気を負うことはありませんぞ主殿。しかしDGというのがそういう存在だったとはな」


「俺も知って驚いたぜ。んでよ、古文書の内容について整理してたんだろ、ちょいちょい断片的に聞いてはいたが、きちんと整理できたんだろうな?」


「ええ、では今から分かったことについてまとめて話を……」


 ハーネイトが改めて夜通し古文書に書いてあったことを整理しまとめた内容を口に出そうとしたその瞬間、建物全体、いや街全体が大きく揺れ衝撃音も響き渡る。


「何だこの衝撃は!」


「都市防衛システムに高エネルギーの何かが着弾し、一時的にシステムダウンが起きているかもしれん。出るぞ!」


 ハーネイトたちは街を襲った衝撃の原因を調べるため急いでホテルを出ると、上空に2人の白い羽を生やした銃器をもつ人らしき何かを見つける。


「ほう、コティナティクスの言っていた存在か」


「龍の力を感じる。DGの本来の役目を今果たす時だ」


 その者たちはハーネイトを見つけると地面に静かにおり、彼等の前に立ちはだかり問いかける。


「貴様だな、ソラにより生み出された、禁忌そのもの!」


「龍の力を使うこと自体が危険だ!」


 背の高い黄緑色の短髪の男性と、橙色の長い髪で白いローブを纏う若い女性はハーネイトに対し武器を向けながらそう言い強くにらみつける。


 しかしハーネイトは毅然とした態度で2人の方を見ると、古文書に書いてあったことをまとめたその内容について口に出しその場にいる物全員に聞かせたのであった。


「でも、貴方たちはこの古文書について知らないのですか?この中には、ヴィダールとコズモズという存在がこの前戦った霊龍の本体から生み出されて反逆し封印したと、書いてあるのですが」


「何?」


「それを見せるのだ」


 ハーネイトはヴィダールという存在についてその正体を古文書で理解したが、そうなると龍により生み出された存在なのに龍の力を使うのが怖いというのがどうも意味が分からなかったという。


 そこで試しに持っていた古文書を2人のヴィダールに貸して読ませつつ解説も交え10分ほどその場で3人は話をしたのであった。


「旧支配者たる6体の龍、6の命を紡ぎ競わせ世界を管理し、2つの命に反逆され永遠の眠りに封じられその体を礎に無数の世界を内包する入れ物を生み出した。ということは、


「どういうことだ、私たちも、あの龍の一部のようなものだったのか」


「信じがたいが、いや、そもそも1つ気になっていたことがある。あの霊龍は私たちの攻撃以外は効かなかった。それも、私たちがあの龍により生み出された存在、だから同じ力を持って通るとすれば」


「オーダインさんも同じことを言っていました。でも、何故その事実を知らないのですか?ソラの部下だったのですよね?」


「ああ、かつて彼女と共に戦ったからな。しかし、その前後の記憶がどうも思い出せない。他にも大事なことを、忘れているような気がする」


「え、ソラと貴方たち、それにコティナティクスさんたちも龍と戦ったことが?」


「ええ、だからこそ龍のことが怖い。それに、その力を利用して生み出したある存在が暴走し、それを見て怖くなった。だから、そういう力で動く存在は脅威なのだ。だが、この古文書とやらを読むと、うっ、頭が」


「な、何だか思い出せそう、っ」


 2人のヴィダールは読みながら話をしていたが段々と表情が苦しくなり頭を抱えて錯乱しそうになるも耐えて、霞んでいた昔の記憶を思い出すことができた。それはソラと共に龍と戦いつづけた日々のことであり、オベリスや古文書のことも思い出したことであった。


「そういう、ことか。あの時俺らは」


「龍の一撃により深手を負った、そうだ、思い出した」


「なあ相棒、やっぱこいつら、昔何かあったんやないか?様子おかしいで」


「かもしれない、深手を負った影響で記憶とかに影響が出ているなら、本来知っているはずのことも思い出しづらい?その状況で龍の力を集め作った存在が暴走したのを見れば」


「思い出すか出来ずに恐怖を抱くか、ってことかしら。それで離反したわけと」


「そうかもしれないな、ふう。そうだ、確かに我らはこれに書いてある通りの存在だ。しかし、あれ以降記憶がおかしかった。それで、Pという存在を見て暴れているのを見て」


「恐怖を感じて逃げた。……私たち、なんてことをソラにしてしまったの」


 ヴィダールの2人は全てを思い出し、酷く動揺していた。それもそのはず、ソラに対しひどい仕打ちをしたのではないかというその事実についてどうすればいいのか分からなかったのであった。


 ハーネイトはそれを見て、もう思い出したなら自分たちも龍から生まれた存在であり、龍の力を恐れることなんてないし自分はそれを完全に制御するために生まれたと伝えた上でヴィダールなら協力して事件を解決して、ドラギスを探すのを手伝ってほしいと懇願したのであった。


「あの、今一よく分からないのですが、もう私たちと敵対する理由、無いはずですよね?」


「その通り……だが、果たして本当にそういう存在である貴様が安全かどうか、この目で確かめる。そうすれば、他のDG、いやヴィダールも納得するだろう」


「さあ、武器を構えなさい。貴方は確かにソラの手で生み出された存在。しかし、あまりに邪悪さがない。フフ、私たちのために動いて、思い出させるきっかけを作ってくれたお礼もしたいけれどその前に、ソラが描いた理想、計画のその力を見せて欲しいわ」


「1ついいですか?」


「何だ」


「この街の外で、力を見せたいのですが」


「そうだな、では場所を映そうか」


 ハーネイトに対し改めて本当に龍の力を制御できているか、コティナティクスの時と同様に力を見たいと武器を向ける2人に対しハーネイトは少し呆れながらも街中でそれは無理だと伝えつつ、このヴィダールたちも話を理解してくれる方でよかったと安堵し、全員ミスティルトの外にある荒れ地まで20分ほどかけて移動し、少し寒い風が吹き抜ける中ハーネイトと2人のヴィダールは距離を取り対峙していた。


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