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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第二章 天神界の秘密と古代人&武器商人の不気味な盟約
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第175話 新たな試練と課題


「座標ごと特定して襲ってくる輩もいる」


「ふぉ!!なんやて?わざわざそっちに来る奴もいるんか」


「わざわざこんなところ狙わなくていいのにね、伯爵」


「二人とも、何か勘違いをしておらぬかね」


 二人とも見合いながら、なぜアクシミデロにそんな存在が来るのかを疑問に思い話をしていた。それを見たシルクハインは、ため息をついてからアクシミデロがいかに重要な位置にあるかを事細かく説明した。


「……つまり、フォーミッドを抑えればどこの世界へも行きやすく、侵略の大きな助けになる。だから狙う価値のある世界、ということですね」


「さすがじゃの、ハーネイト。それでこそ我が息子だ。ふぉっふぉっほ、まさにその通りじゃ。もしフォーミッド世界が別の世界の住民に占拠されれば、恐ろしいことになるのじゃ。それを、研究中に知ることになったのだよ」


 ハーネイトは話を聞いていた中で、フォーミッドが交差点、いや、バイパスのようなものであることからそう推測し口に出した。それは見事当たり、シルクハインをうならせた。


「そうなのですか。……フォーミッド、実は恐ろしく安全ではない場所なのか」


「そういわれると否定はできないな」


 オーダインはややうつむいていた。昔から争いの絶えない星。DGでさえも、うかつに近づくことさえできなかった苛烈な場所。自身らの行ってきた研究はすべて、そんな過酷な環境で生き延びるためのあがきであった。


「少なくとも、現実の地球とは別次元で危ないところは分かったわおじさま」


「うむ……力を更に身に着けるのだ。血徒についてもようやくどういう存在かが分かってきた。これも伯爵のお陰だ。血徒もまたフォーミッドを起点にあらゆる世界に侵攻を考えているかもしれん。その活動がもしかすると世界龍の封印を弱めるかもしれない」


「そうならないように、戦うわけですか……強くならなければ誰かを守れない。けれど強くなれば大切な何かを失ってしまう、そう予感してしまう」


「だがよ相棒。……最初に抱いた思いってやつを忘れなければ、失うことはないぜ」

 

 力を得るたびに、何かを取り戻す感覚を身に覚えた。そして同時に、何かが体の中から抜けていくか感覚も感じずに得られなかった。それが彼にとって不安であった。このまま戦うばかりで、自分のことを見失いそうになりそうで、ましてや世界の命運が自分らの手にかかっていることに対するプレッシャーと合わさり苦しそうな表情を見せていた。


 それに伯爵は、最初に思ったこと、なぜ誰のために、何のために剣をとって戦ってきたか、自身が何を成し遂げるために、ここまで苦難に耐え生きてきたのかを忘れないことが大切ではないかと彼に諭した。


「初心を忘れるなってことかしら、伯爵」


「……そんなところだ」


「息子よ、己の抱く力が怖いか?」


「……まだ、戸惑いはぬぐい切れません。力さえなければ、皆と同じように幸せを享受できたのかなと思うと……」


 力さえなければ、周りのみんなと同じように幸せを感じることができたかもしれない。力が故に迫害されずに済んだのかもしれない。心の奥底でその思いがぬぐい切れなかった彼は、先ほど思ったことがこれと関係があることを再認識することになった。


「しかしだ、ハーネイト。強き者、時代の流れを変えるものは誰もが孤独を味わい、それを乗り越えていく定めを負う。人とは違うことに戸惑いを隠しきれないのは私も同じだ。しかし、自身にしかできないことがある。そう思うと少しは違うだろう?」


「……自身にしか、できないこと、龍の幻影を倒し続けること?」


「お前をその運命に縛り付けてしまったことは、この先も含め謝るしかない、いや、それでも足りないだろう。だが、私の息子ならばその運命も切り開いてみせる。そう信じておる」


 シルクハインは、息子にすべての命運を託したことをずっと謝っていた。本来ならば自分らがそれをなさなければなかった。それができなかったのも、運命なのかもしれない。残酷なものだと思いながら、せめて彼らが全力で戦えるように助ける。そう彼は決意をしていた。


「……やるよ、ああ、やってやるさ。伯爵、リリー、力を貸してくれ」


「言われなくてもだぜ」


「勿論よ、私たちは仲間でしょ?」


 ハーネイトの言葉に2人は快諾し、改めて女神の試練を乗り越え龍の力を手にする、その目標を掲げた。


「父さん……また会いに来ても いいですか?」


「ああ、いつでも来い。息子よ、この先待ち受ける困難にも、くじけるでないぞ」


「はい、父さん。ではしばしの別れです」


「んじゃ早速帰って対策会議だ」


「DGの残党の件もあるし、急ぐわよ!」


 ハーネイトたちはそうして、オーダインに案内され例の紫色の門まで足を運び、その亀裂の中に入り足早にAM星へと帰還したのであった。

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