第173話 龍皇ドラギスを探す試練
「さて、それともう1つ、いや2つ貴方達にある課題を出しますか」
「まだあるのですか」
「まずはドラギス、と言う存在と出会い稽古をつけてもらうのです」
「ドラギス?」
「この私にある計画を持ち掛けた龍人とも呼べる存在です。その者も龍因子を6種類全て宿しており、もしかするとヴィダールの始祖である可能性があります」
「んなのがいるのかよ。そりゃすげえな」
「龍人、ですか」
それからソラは、ドラギスについてわかっていることを全員に話す。それはどうも独自に龍因子を全て宿した存在であるように見え、人の体に龍の頭という正にドラゴンマンと呼べる存在であった。
ドラギスの目的、それは世界龍を封印し続けるために新たな龍王を生み出す必要があったからである。龍の制御と支配を目論み、龍因子を集めていたソラに対し介入し、そのやり方で世界龍を制御はできんと指摘したのち、全ての龍因子を宿した存在を生み出せばそれが全ての龍を倒せるという。
また、幻霊龍による大世界全体を揺るがす世界龍事変に注意するようにと言う。此処からソラは第3世代兵器から本格的に龍因子を使うようになる。また、一部の微生界人に対しても龍因子を宿らせる実験をしていた。そんな中保険をかけ、また原初の兵器をも制御できる存在を別に考え、あるガセリ菌の微生界人にその役目と龍因子を抱かせたのであった。
「ドラギス……しかし何処にいるのか」
「ドラギスは常にあらゆる世界を駆け回り、龍の幻影にして欠片、幻霊龍を倒していると。それに出会えればさらに強くなる方法を伝授してもらえるかもしれません。計画の立案者である彼はある力をハーネイト、お前に託したという。それを知り、使いこなせとな」
ソラは、しきりにその龍の頭を持つ人間、というか人の形をしたヴィダールの力を持つ者に合うようにと2人に伝えたのであった。それを聞きどうしたものかと思いつつ2人は承諾する。
「わ、分かりました」
「へえ、そんな大先輩みてえのがいるのか。まあ、あったらそん時はそん時か」
「それとシルクハイン、例の古文書の件は」
「既に話しておりますし、ウルグサスと彼らは出会い探すようにと言われています」
「ならば遺跡の地図を渡してやれ」
「はっ!」
それからソラは、2人に世界龍とは何かを改めて知ってもらうためにその手助けをしろとシルクハインに命令した。改めて、自分たちの今生きている世界の成り立ちを知ったうえで、どう行動するかは任せると彼女は2人にそう言い放ったのであった。
すると彼女はあくびをかき、こう話したのであった。
「では、私はドラギスの行方でも探るために眠るとしますか。ああ、それとドラギスに会うだけでなく、オベリスと言う青い結晶も探せ」
「オベリス、ですか」
「青い結晶でな、その中に我らが歴史の記録が刻まれておる。昔は1つの結晶だったがある事件で砕かれてな。それを集めることも試練であり依頼である。古文書の情報だけでは恐らく、お前らが真に知りたいことを知ることができん。それに、計画というのが気にならないか?」
「はい、確かに」
「なら、今は私の指示に従うがよい。全てを知った上で、この先どうするかはお前らに任せてもよいがな。しかし、眠たい」
ソラは2人に対しオベリスというアイテムも収集し、その中に刻まれた情報を読み解くことですべてを知ることができると意味深な言葉を発してから大きな欠伸をすると2人に対し休息をとると伝える。
「眠るのですか」
「精神を集中させないと、広大すぎる世界の監視ができないのでね。お前らが成長すれば、そのようなこともしなくて済むのだがな。よいか、先ほども遭遇しただろうが、実態無き霊龍による災いを阻止するためにお前らは生み出された。そのことだけは忘れるでないぞ」
そうして、ソラは改めて世界龍の活動を止められなければ旧世界が復活し、今ある世界がない物となると警告し、その場を去ったのであった。
「一体、世界龍って何なんだ」
「それを調べ、その幻影を倒せるようになる試練の旅が始まるっちゅーわけやな」
一応ソラは、ドラギスという存在を探してはくれると言うがそれ以外は自分たちでやれという感じであった。
それからハーネイトと伯爵は待合室の方に戻ろうとシルクハインにそう言われ、ついていったのであった。
「一体ドラギスって……何なのだ?」
「他に6つの龍因子ってやつを持って大丈夫な奴がいるんかよ、ホンマによー分からんことだらけやけど、放っておいていい奴じゃねえのは分かった。やろうぜ」
「そうだな伯爵」
「それにオベリス、か。おもしれえ、全部見つけて暴いてやるぜへへへ」
2人はシルクハインの背中を見ながら、そうこれからの意気込みを語り気合を入れていたのであった。