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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第二章 天神界の秘密と古代人&武器商人の不気味な盟約
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第172話 ソラの出した課題


「龍を助け、その依頼主からその龍と同じ気を感じたとな。それが邪神ヴァルナーの気とどこか似ていた。まさか、いや。既に封印が解けているオベリスクが……ウルグサスとセフィラ、やはりか」


「てことは、俺たちまさか」


「神様の背中の上に載っていたの……?」


「な、んだと!?」


 ハーネイトが言うそれは、あの巨大なドラゴン、ウルグサスのことであった。それを聞いた伯爵とリリーは目を丸くして、シルクハインは事実なら予想外のことが起きていると感じていた。


「……まだ確証はできんが、もしかするとそうなのかもしれぬな。しかしこちらと向こう側では何かの影響か、それらの気を感じ取れないのだ」


「そうなると、それについての調査も再度行う必要があるでしょうね」


「そうだな息子よ。できれば、その方面もお願いできるか。女神に対抗するには、おそらくその12大神の力も必要になってくるだろう。ほかにも、我らが生み出しその地に眠っているだろう幾つもの装備も使えるようにしておかなければならない」


 シルクハインはそういうと、他にも渡すべき資料がないか探してくるといい席を立ち部屋の外に出た。


「あのウルグサスさん、本当に大きかったわね」


「今までいろんなところに転移してきたが、ドラゴンに乗るってのはあれが初めてだった」


「それは私もだ」


 そう話していた時、突然全員が固まった。何かが体を駆け巡るような感覚を全員が襲ったのであった。


「な、何だ。この異常な寒気を覚えるこの感覚は!」


「なっ…………っ!目覚めた、目覚めたのか、女神!しかしなぜこの時に!」


「こいつはやべえんじゃねえのか。ただモノじゃねえ、これは」


「怖い、怖いよ……っ!」


 今まで感じたことのない、得体のしれない感覚、重圧感。リリーは思わず泣きだし、伯爵やハーネイトですらも体を自身で抱きしめて震えるほどに、今この空間で感じる重圧に恐れを抱いていた。


「とりあえず、女神の神殿まで急ぐぞ。何か起きているのかもしれん。ハーネイトたち、ついてきてくれ」


「はい」


 ハーネイトたちが街の外れにある巨大な神殿に足を運んだ時、既に女神は永い眠りから覚めていた。美しい金髪を風にたなびかせ、眩き白き衣を身にまとった、蒼い目の女性。


 しかしこれは他の生物が認識できるようにあえてこの姿でいる仮のアバターなのである。実態はエネルギー生命体ともいえるような、あらゆる生物を遥かに超越した存在である。


 金色の風を自身から放ちつつソラは彼らを見つめて、少し微笑んだのちやや不機嫌そうに話しかけた。


「なっ……!ソラ様!お目覚めでしたか」


「シルクハイン、か。ああ、永い眠りから目を覚ましたところだ。ほう、これはこれは。あの六界の龍の力全てを身に宿し、なおかつ安定しておるとは。よくやった。あの計画がようやく成就したか」


「はっ!」


 シルクハインはそう説明したが、女神は凍てつくまなざしで彼らを見つめていた。そう、すでに何もかも見抜いているような視線であった。


「しかし、1つ気に食わん点があるぞシルクハイン」


「え、あ、どういうことですか」


「大分人間らしい形に仕上がっていることがな」


「龍の力全てを解放するには、感情の力がないといけなかったのです。貴女の生み出した神具とその力を合わせれば、あれを倒せる存在に絶対になると」


「ふうん、まあそれは良いか。だがまだ心に目覚めてはおらぬようだな、あやつの後継者としての自覚も足りん、か」


 ソラは改めて鋭い視線で2人を見つめながら、まだハーネイトも伯爵も、真に力に目覚めていないことを確認した。


「これから彼らは修行を受けてもらいますゆえ、ソラ様も指示を出していただけるとありがたいです」


「フフフ、ならば私の計画に賛同しなかったヴィダールの神柱を捕らえ、その力を身に宿せ。そうすれば必要な源泉は集まるはずだ。世界戦劇の舞台に上がるためにな」


「っ、まさか……お前かぁああ!俺に変な物埋め込んだのは!」


 すると伯爵は、少しだけ昔のことを思い出した。そう、自信に何かを埋め込んだ犯人の顔である。それこそが、目の前にいるソラであった。


「まさかここにまでくると思ってはいなかったぞ、2番目に生み出した、龍制御用神造兵器。その中でもある任務のために生み出した存在が、フフフ、ハハハ!」


「何がおかしいんや!」


「済まんのう、しかしまだ原初の兵器の回収は済んでおらぬな?」


「原初の兵器だぁ?」


「お前には、それの確保を頼んだのだが、まさか忘れたとは言わせまい」


「血徒という連中に襲われる以前のことはほとんど覚えてねえ」


「何と、さあどういうことだ」


 ソラは伯爵に対し、ある任務のために生み出した微生界人の中でも最強に調整を重ねた存在が貴様であることを述べたうえで、それが果たされていない理由を尋ねた。


「ふうむ、暴走体がいるわけか。面白い、それを倒せお前ら。もしやすると世界柱に悪影響を与えかねん。それを止めつつ、霊龍の活動を阻止することがまず第一の課題だな」


 伯爵は事件のせいで記憶喪失になっていると言うと、その原因について話し、一通り聞いたソラはならばそれも引き続き行うのだと言う。


「っ!」


「しかし龍の力も解放せねばならん。シルクハイン、龍因子の在庫は」


「全色100セット分はありますが」


「良い、それではこの青髪の微生界人に持たせてやれ。他にも適合しそうなものがおるならばいつでも提供できるようにしておけよ」


「はっ!承知しました」


 こうして、ソラからも課題が出されることになった。龍因子の力を引き出すこと、そのためにエネルギーを集めること、それに関して眠っているほかのヴィダールから力を奪えば一番早いと言うことを話したのであった。



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