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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第一部EX:1 ブラッドル編
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第161話 ハーネイトの追撃とザイオの反撃




「幸いこのスタジアムの北側はすぐ街はずれだ。その周辺には広大な草原、そこに追い込む!」


 少しでも町への被害をなくすためには戦いの場所を移すほかないと考え、それに関して最適な道筋を計算する。


「街はずれまで逃げてくれたのは幸いだ、こちらも全力でやれる。ロイたちはうまく魔法結界を張ってくれているだろうか」


 そういい周囲を確認すると、既にロイたちがビルの屋上から魔法を発動しているのを確認し、安心したハーネイトは彼女に連絡を取る。


「どうやら杞憂だったな。流石6聖魔の末裔、その調子で頼みます首領!」


「ハーネイト、市民たちは地下に避難している。しかし建物への損害は極力避けるのだ!」


「わかっていますよ首領、ザイオを街の外まで追い出したうえで追い込む」


「わかった、4番道路が一番いいだろう、そこまで追い込んだら二人で魔法障壁を展開する」


 そうしてハーネイトはロイと合流し、強固な結界を街に張り巡らす。これで建造物への被害はほぼゼロになる。ハーネイトは彼らを目標地点まで追い込むためあえてスピードを落としながらも確実に追跡していく。


「おいお前ら、私をしっかり護衛したまえ!」


「わかっていますが、問題はわき道に入れないのですよ、目の前の道を強行突破するしか方法はないです」


「それで構わん、行くのだ!」


 ハーネイトたちに追われているザイオと彼と合流した傭兵たちは、結界により実質逃げ場を喪失している中で、目の先にある今は使われていない監視小屋の中に一旦避難することを決め一目散に町を出てそこに駆け込んだのであった。


「あそこの小屋に逃げ込むぞお前ら!」


「了解しました」


 こうしてザイオたちはひとまず身を隠すことに成功した。しかしそれが最大の罠だったことには誰も気づいておらず、少しの間だったが警戒を解いてしまっていた。



「予定通り、町はずれの監視小屋に身を隠したか」


 ハーネイトはロイに対しリリエットやリシェルたちの支援に回るように指示を出し一旦別れ、追い込んだ例の小屋へと四風迷彩を自身に素早くかけ、気配を殺しながら小屋の屋根までジャンプして、突撃するタイミングをうかがっていた。


「ふう、どうなることかとおもったわい、あの小僧……よくも私の邪魔を」


「何だって?」


 ザイオがほっとしたその時、自身の言葉に対する謎の返答と共に兵士たちの悲鳴が上がる。


「ぐぁああああ!」


「なん、だと!」


 ザイオは周囲を確認すると、次の瞬間目の前にハーネイトが立っていたのを見て腰を抜かし、急いで後退する。すでに何人もの傭兵たちが手足に剣を刺されその場で固定されていた。


「……!だがどれも効かないぞ」


「化け物かあれは!」


「怯むな、うち続けろ!」


 武器商人に雇われたと思われる残りの傭兵たちがすかさずハーネイトに対し発砲するが勿論効かない。今度はハーネイトが攻撃する。


「邪魔をするならば容赦しない。創金剣術・剣銃!」


「なっ、どこから剣がぁあああ、くっ、とんでもねえやつだこいつは!」


 ハーネイトはさっと手をかざし、周囲の空気を霊量子に、それを再度組み立て創金剣を形成し何本も射出した。それらは傭兵たちの手足に直撃しうめき声をあげながら倒れこむ。


「逃さん!闇に咲く 呪いの蓮花 邪気を纏いて散り行き舞う 無常なる風が行く先を示す!大魔法76式・花蓮黒嵐かれんこくらん


「ぐぁああああ!体がぁ!」


「なんなのだあれは!くそぉ、撤退だ!」


 ハーネイトは闇の大魔法を用いて小屋の壁ごと黒き嵐の渦にザイオたちを巻き込んで吹き飛ばし、外に全員追い出した。この一撃でザイオを守っていた傭兵たちの殆どがはるか彼方へ吹き飛ばされ、戦線は散り散りになったのであった。


「見た目だけで判断してはあれだな、思ったより耐久力はない」


「おい、貴様ら、私を連れていけぇ!ぐぬ、ぐぁあああああっ!目が、目がぁああ」


「っく、これはデスビリス……!ごるぁあああああああ八紋堀ぃ!!」


 突然ザイオたちがもがき苦しみ始めた。それはハーネイトも同様であり、すぐにその正体を理解した。そう、こっそりと八紋堀がついてきており、辺り一面に彼が栽培している最も危険で違法なトウガラシの粉末をぶちまけた結果であることだ。思わずハーネイトはブチ切れてどこにいるのかと大声を上げる。すろとひょっこりとどこからか八紋堀がにやにやしながら暗い草原地帯を顎元から懐中電灯で顔を照らし悪ふざけをしてやってきた


「けほ、ごほっ、ごほっ、それをばらまくなと今まで何度言ったか、この唐辛子変態魔人!」


「いやぁ失敬失敬、しかしザイオ殿もほぼほぼ動けねえだろう?」


 地獄絵図なその光景を終始笑いながら堪能した八紋堀は速やかにザイオの背後に回り手にした愛刀を首に当てて降伏勧告を迫る。


「どうだ?孤立無援になったのはそちらの方ですが」


「ぐぬぬっ、前々から恐ろしい存在だと思って居ったが、こうしてみると明らかに危険な存在じゃな。だが貴様も、ああ、これまで、だ」


 ザイオはまだ動く腕でポケットの中から何かのスイッチを取り出し見せつける。


「な、それは爆弾か、早まるな!」


「ちっ、そこまでやるか?」


「甘いぞ研究者ぁああああ!分肢縛っ!」


「遅すぎるな、貴様」


 ザイオが爆弾のスイッチを押そうとした時、いきなり腕が飛んできてそのスイッチを弾き飛ばす。それは空中であっという間に切り裂かれゴミになったのであった。


「ヴァルターとメッサー、ついてきていたのか」


「当たり前だぁ!こいつにはいろいろ吐いてもらわなきゃならんからなぁあ!」


「覚悟するんだな、武器商人のことについて吐け、でないと両腕を切り落とす」


 ヴァルターは両腕を分離しいつでも射出できるように、メッサーは腕に仕込まれた眩いほどに鋭く光る刃をちらつかせる。


「へぇははははは!今の内だぞ、こうしていられるのはな。私ら研究者は、DGのヴァイズモウズという男とその部下の仲間になったわけだ。力を使いこの星を支配するのだよハハハハ!」


「そんなことをしてなんとなるのだ。人を不幸せにするようなことはこの私が阻止するまでだ!」


 あっさりとザイオは背後についている人物の名前を挙げるも、降参したという表情を全く見せていなかった。それどころか不気味な笑みを浮かべ、ハーネイトは思わず構える。


「しまった、デモライズカードか」


 次の瞬間、強烈な力にヴァルターの右腕とメッサーの体が大きく吹き飛ばされる。八紋堀も寸前で回避し距離を取るが、一度始まった変身をだれも止めることができなかったのであった。



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