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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第一部EX:1 ブラッドル編
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第158話 伝説にして元祖のブラッドラー・ハーネイト


 最初はエンぺリルチームがボールをリードし、まだ体が温まっていないボガーたちを翻弄するかのように選手たちが間を駆け巡りパス回しをし進軍する。


「ったく、他は知らない選手ばかりだが、動きは悪くない。流石ってところか」


「どうした!そんなものか先生!」


「なめられてはあれだな、じゃあこいつを食らえ!ライジングアッパー!」


 そんななかエンぺリル側の選手の一人、アーグンのボールを秘かに奪取したハーネイトは、エンぺリルにそういいながら彼のブラッドルにおける得意技、ライジングアッパーを放つ。これは手で投げる系統で、地面すれすれを高速でボールが飛翔し、ゴール手前で急に上昇し一番狙いづらい3点のゴールに入れるキーパー泣かせの技である。


 黒きボールは光を帯び、まさにアッパーカットを浴びせるかのごとくゴールに吸い込まれ、ハーネイトチームが先制点4点を手に入れた。


「くっ、先生の十八番だ。あれを防ぐのは至難の業だ」


「だがよ、弱点はあるんだろう?」


 MFのヴィープスはエンぺリルにそう尋ねる。その返答はYESであった。大技を出すときにどうしても一瞬のスキが生まれる、なおかつ投げ技の殆どは空中からの一撃であるためそれを潰せれば勝ち目はあると分析していた。


「エンぺリル、貴様ぁ!」


「リヴァイル、とレイジオか」


「なぜ力に溺れやがった!」


 ボールがエンぺリルのもとにわたり、素早い身のこなしで駆け抜けるもかつての同胞であるリヴァイルとレイジオが前方から迫り二人がかりでボールを奪おうとする。


「お前らに俺の気持ちがわかるか!!俺は勝ちてえ、誰にも勝ちてえぇええ!」


 その気迫は一瞬だが二人の動きを鈍らせ、エンぺリルはその隙をついて猛進する。


「させるか!」


 ハーネイトは高速移動でエンぺリルの目の前に立ちはだかると、まさにボールを盗むかのように奪取しすばやくブラッドに渡した。


「やってやるぜ、覚悟しなお前ら!」


 そういいブラッドは空中にボールを飛ばすと自身も飛翔し、渾身の蹴りをボールに入れエンぺリルのゴールまで一気にぶち抜いて見せた。


「リリエット、右からきているぞ」


「嘘でしょ!なんて早いの!」


「こっちに回せ!」


「頼むわよヴァン!」


 ゴールの後ボールは相手チームにわたるが、さり気にシャックスが近づきボールを瞬時に奪うとリリエットへ投げ、彼女は選手たちの猛追を退けるように走るが勢いに押されかけていた。ボールをヴァンの方に渡そうと投げた時、ボールを奪おうとする選手が忍び寄っていた。


「させるかよ!」


「パスカットか!だが甘いぜ坊主!」


 ボガーはとっさに気づき、ヴァンへのボールを奪取しようとしたATウェンダンの行動を邪魔するかのように飛び上がり、パスカットをさらにパスカットしさっと着地してから陣地を突破しようと走り出す。


「ッ!なんだこの男は。見かけによらず素早いぞ」


「そりゃな、伊達に戦士やってるわけじゃねえぞ」


「それを回せやボガー!」


「へいへい!」


 ボガーはフリーになっていたブラッドの要請でボールを素早く投げ、しっかり手で受け止めると加速しながらエンぺリルチームのゴールへ猛ダッシュした。


「俺様を止めてみやがれやあ!」


「3人で止めるぞ!」


「了解、トリクフォース!」


 エンぺリルの仲間であるラグニ、バニア、ラドビアが3角形の陣を形成しながらブラッドに対し突進してきた。彼らをかわしぬけようとするブラッドだが、急に3人はフォーメーションを変化させ取り囲むかのように逆三角形の陣で襲い掛かられてしまった。


「なんだと、ルートが見えねえ!」


「まだまだだな!俺たちの方が上に決まってんだろう!」


 ブラッドはすかさずかわそうとするが、3人の包囲を抜けられずボールを奪われてしまった。


「そう思うのは構わんが、上空警戒を怠るなよ」


 ボールを奪った三人が陣形を崩さずハーネイト達のゴールに迫ろうとしたその時、地面に影が走る。と次の瞬間、空からハーネイトが獲物を狩るかのように急襲し、ボールを奪うな否やその場で回転蹴りを放ちボールをゴールへシュートした。


「わしを忘れてもらっては困るぞアハハハハ!じゃあぶっ飛べ!」


 ゴールに向かうボールを、更に八紋堀が蹴ることで威力を倍増させた。キーパーであるエンぺリルチームのキーパー、グラソンがその巨躯で飛びながらブロックしようとしたが、あまりの衝撃に耐えきれずボールとグラソンが両方3点のゴールに入っていった。ハーネイトの投げた場所が2点エリアだったため合計5点がハーネイトチームに入った。

 

「これが、伝説、そして創始者の技かよ……!勝てねえ、あの一撃、人間業じゃねえよエンぺリル!」


「やはり伝説に勝つのは……っ!」


「てかあの侍何なんだよ!色々おかしいだろ!」


「そうだ、先生はいつもそうだ、俺たちがいくら血のにじむ努力をしても追いつけねえ……っ」


 ボールと共に着地したグラソンはエンぺリルにボールを渡しながらそういい、傍にいたDFのガフも先生であるハーネイトの一撃を恐れていた。


 エンぺリルを始めとした11人の選手は全員、ハーネイトに一種の嫉妬心を抱いていた。それはどうしても彼に追いつけないという諦めも合わせたものであったが、それでも彼に認められたい、そういうところも垣間見せていた、しかしどうすればよいか悩んでいたさなか、ある研究者にエンぺリル達が出会った。それがザイオであった。


 超人的な力を得られるアイテム、それの実験と引き換えに協力することになった彼らは今こうして、悲願を果たそうとしていたのであった。


「……私が人とは違う何かだとわかった今、彼らとの差がこうして理解できてしまう。今まで以上に」


「それでも、やるしかないんじゃねえのか?貴様が明らかに何か違うことは事実だ。あの悪魔みてえな奴らにいろいろ言われただろうが、それも抱えたうえで、前に進むしかねえだろ」


「迷ったら、負けよハーネイト。あの人たちを元に戻すことだけを考えましょ?」


「リリエット、ブラッド……ああ、そうだ。今は彼らを止めないと」


 ハーネイトは二人の言葉で奮起し、更に動きを良くしボールを奪いまくる。ハーネイトチームVSエンぺリルチームの戦いは最初こそ経験者たちであるエンぺリルの方が上回っていたが、段々試合に慣れてきたボガーたちやハーネイトの猛襲で一気に得点差は32対14となっていた。


「おいお前ら、時間だ!」


 エンぺリルはそういうと周りの仲間に合図を出した。すると全員がカードを取り出したのであった。


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