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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第一部EX:1 ブラッドル編
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第157話 試合開始の刻


「ここがゴッテスAスタジアム、だな。いつぶりだろうか。シャムロックとサイン、リシェルとエレクトリールは遠方及びスタジアム周囲の監視及び迎撃をお願いします。風魔と南雲はスタジアムの屋根の上で待機していてくれ」


 通信で連絡を取り命を受けたシャムロックたちが順次配置につく。ザイオはエンぺリルらに対し実験の協力関係を結んでいた、ならばこのスタジアムの近くに潜伏して、自身らの戦いを見ている可能性があるとハーネイトは考えていた。


「了解しました、ハーネイト様」


「怪しい奴らがいたらぶっ飛ばしますんで任せといてください」


 サインとリシェルがそれぞれ了承し、一旦通信を切る。


「では、フィールドに入っていくぞ。しかし予想に反して何もないのが不気味だ」


「そうね、だけどそういうときこそね」


 そうして試合を行うフィールドにハーネイト達が到着すると、既にエンぺリルとその仲間たちが待ち構えていた。


「果たし状はきちんと読んだようだな、ハーネイト」


「言っておくが、改めてこれは何の真似だ、エンぺリル!」


「何もどうも、俺たちは貴様をブラッドルで倒す、それだけだ」


 エンぺリルはハーネイトをぎろっとにらみつけながら、指を指し打倒ハーネイトを誓う。それに合わせ周りの仲間たちも声を上げる。


「大将さんよ、やはり素直にボコって拘束した方がいいんじゃないのかね」


「私は、彼らの心の奥に秘めるブラッドル魂にかけているのだ」


 ボガーは彼らの言い分など無視すればよいとハーネイトに言うが、それでも彼の考えは変わらない。

 

「意外と精神論信じているんだな、まあ分からなくないが」


「あ、ああ。彼らも始めてブラッドルを体験した時、純粋に楽しいという感情も体験したはずだ。私の弟子たちは全員そうしてブラッドラーになった」


 何事も始めるときに誰もが抱く、感動や好奇心、純粋に楽しいと思える心、それを彼らはおいてきてしまったのだろう。ハーネイトも同様の体験をしたことがあるため、彼らにそれを取り戻してもらい、デモライズカードの力を振り切ってほしいと願っていた。


 使用者の精神力が強いほど、カードの影響を受けにくくあるいは乗り越えて支配できる可能性がある。ハイディーンから聞いた言葉が本当ならば、作戦はある。


「だからね、こうして試合を通じて彼らに初心に帰ってほしいってわけだ」


「そういうことなら早く言いなさいな、どうもあなたは変に口下手というか、あれなんだから」


「自分でもどう説明したらいいか、わからなくて。でも今は、彼らがどうして力に溺れたのかよくわかる」


「さあ、御託はそのくれえにしてやろうや、先生」


「まだその呼び方をしてくれるか、よかろう、全力で相手になってやる」


 ハーネイトはエンぺリルを真剣に見つめながら啖呵を切る。しかしここで、誰が試合の審判をするのかという問題が起きた。


「だが審判はどうするんだ」


「あそこにいる。問題ない」


 エンぺリルが指さすと、そこに3人の審判がいた。どれも公式に登録されている審判であり、ハーネイトはあえて自身に有利な審判を置かなかったことにまだ可能性があると思っていた。だが審判の表情がどこかぎこちない。違和感を覚えながらも今はエンぺリル達を元通りにする、それだけだと思いフィールドに落ちていた黒いボールを手にする。


「さあ、始めようや」


「来るぞみんな、全力で取り掛かれ!」


 こうして夜のゴッテスシティを舞台に、ブラッドルの試合が始まった。

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