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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第一部EX:1 ブラッドル編
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第148話 諜報の結果と秘密工場潜入開始



「……!ザイオがカードのようなものを渡しよった。まさか、あの男までカードを」


 酒場にはほかにも飲みに来ている人が多く、全ての会話を聞き取ることは難しかったが少なくとも、ザイオとエンぺリルが何かの繋がりを持っていることと、エンぺリルが被検体としてカードの実験に参加していること、近いうちに何か事件を起こすこと、そして最後に、ハーネイトに関して何かを言っていたことだけは聞き取れた。


 しばらくするとザイオとエンぺリルは会計を支払い外に出た。追うべきだったのだろうが次に命の保証があるか分からない以上、追跡をハーネイトの仲間たちに託すためヴァルハはハーネイトに連絡を取ろうとした。


「あの男、ハーネイトと何か関係が……。彼に連絡を……」


「ハーネイトです。ヴァルハさん、何かありましたか?」


 ハーネイトはすぐに電話に出て、ヴァルハの話を聞く。その中でエンぺリルという男の名前を聞いた彼ははっとした顔をしていた。


「エンぺリル?まさか、あの男がザイオと?」


「ああ、確かにこの目で見たぞ。知り合いなのか?」


「ええ、昔ブラッドルをしていた時に出会いましてね。私のことをライバル視している男です」


「そのライバルという男、どうもお前さんを打倒するためにザイオと手を組み、何らかの力を身に着けているかもしれん」

 

 ヴァルハの証言にハーネイトは驚きを隠せなかった。彼と初めて出会ったのは7年程前にさかのぼる。ブラッドルが普及し始めたころに出会った、天性の肉体を持ったとても才能のあるブラッドラーだったことを覚えていた。生真面目で悪事を働きそうにない若者だと思っていたが、いつの間にかそのような事態になっていたことに憤りと困惑を感じていた。


「エンぺリル……そうか。わかりました、私の方は明日にでも例の工場を制圧します」


「思ったより早いな」


「情報が必要な数だけ集まりましたので」


「それならいいのだがな、だが気を付けてくれ。なんでも変な男たちが出入りしているという」


「そうですか、情報ありがとうございますヴァルハさん。ではお気をつけて」


 そういい連絡を切ったハーネイトは、明日の昼までに仲間を呼んでおこうと思いながらしばしの眠りについたのであった。


「……そろそろか、メッサー」


「恐らく明日来るかと」


「ハハハ、あのマーティスとやらにこの場所の地図を教えたのは吾輩だからなアーッハハハハ!」


「声が大きい、ヴァルター」


 ハーネイトが休息を取り始めたころ、ヴァルハやザイオのいた酒場から二人の男が外に出て、工業地帯の方へ足を進めながら話していた。一人はやたらうるさく大声で笑い、もう一人は話を聞きながらも終始平静を保ちうるさい男に注意する。


 この2人は形式上はザイオの部下であったが、どうも単純な話ではなく裏でひそかに手回しして裏切ろうとしていた。


「DGの本部がまだあった際に見たが、麗しゅう魔剣士だったのう、フハハハ!」


「確かに中性的な顔立ちだが、その戦いぶりはまさに戦神だ。なんとしてもユミロたちと合流し、あの腐れ武器商人どもを消し去る……!」


 笑い男は思い出しながら、顔をにやにやさせクールを保つ男は静かにそういい、明日こそ絶対にその探している人物に会うぞと心に決めて工業地帯の奥へと消えていったのであった。


 その翌日、既に仲間を集結させ目標である秘密工場の近くまで足を運んでいた。遠くから施設の外観を確認し、所持していた地図と合わせながら最後の打ち合わせをする。


 ゴッテスシティも中央街から少し外れるとこういった工場が所々に存在する。しかも無人となった工場もあるためハーネイトは以前から犯罪者などが拠点として使わないか懸念していた。


「ここが、秘密工場ってわけか」


「師匠、人の気配があまりしないっすね」


「確かになリシェル。機械音は奥の方からかなりしてくるが」


「先に偵察に行きましょうかハーネイトさん?」


「いや、みんなで入ろう」


 入口の警備を確認するも、工場はとても老朽化しているように見え、セキュリティなども特に働いている様子は見受けられなかった。


「入り口は3か所か、3つに戦力を分けていこうかね」


「大丈夫ですかねマスター」


「日之国の時よりはあれだろうが、問題ないと思う」


 ハーネイトたちは古い工場内へと潜入する。作戦指示に従い3手に分かれ作戦行動を開始する。作戦目標は工場の制圧と研究者の拘束である。リシェルとエレクトリールは施設の東側から静かに潜入して施設内に入る。どうも外の警備は手薄で、警戒用のセンサーなどもなく拍子抜けしていた。それでも気を緩まず奥まで進んでいく。


「道中の警備はそこまであれだな。だが嫌な予感がする」


「ええリシェルさん。先ほどから誰かに見られているような」


 その時廊下の先には、ある男が仁王立ちで構えていた。そして二人の姿を目で捉えると突然、大声を出して叫んだのであった


「ヴァアアアアアカアアアモオオオオンンン!気づいてないと思ったかあああ!」


「な、なんだ一体」


「侵入者め、この俺がじいいきじいいきに処分してくれるわわわ!なんてなフハハハハハ!!!」


 見るからに軍人のような、金髪で髪の毛がいくつも逆立った体格の良い男が、さらにやたらけたたましい叫び声をあげながら、体の各パーツが分離し頭部だけを二人のところまで移動させた。それに二人はお化けか何かかと思い自分たちも叫んでしまったのであった。


「うぁあああああ!」


「ゃあああああああ!」


 あまりの出来事に2人とも腰を抜かし、混乱していた。歴戦の戦士たちでさえ怯むこの状況、すぐに体勢を立て直そうとした二人は分離した体を元に戻した男の方を見て再度武器を手にし構えたが、頭は混乱したままであった。


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