第126話 ハーネイトの危機と紅儡を生み出す因縁の相手?
「さあ、我が眷属ども、遠慮なく醸し尽くせ! 」
「大気の怒り、風の憤怒。すべてを束ねその意思を形に変える!無彩の爆発よ万物を飲み込み爆ぜろ!大魔法64の号・大気爆葬っ! 」
今確認できる敵の魔獣および機械兵に対し、伯爵とリリーはとどめを刺すためそれぞれが得意な戦技と魔法で上空から制圧する。
「ラッシュよヴァン!雪の山 幾層の冷 自然の猛威牙をむき 怒涛の雪海がすべてを大地に返す!大魔法49の号・雪海崩山撃!(せっかいほうざんげき)」
「すべての命は、我が手中にあり!食い殺せ、我が眷属よ!こうなったら勢いで押してやらぁ!」
リリーが放った2つの魔法。大気爆葬は目に見えない大爆発を幾つも起こし敵を吹き飛ばし、それに続いて雪海崩山撃による怒涛の雪津波が逃げ場を奪い、多くの魔獣を飲み込んでいく。
それでも倒し損ねた敵を、伯爵は確実に眷属を使って溶かして倒し、自身の糧としていく。
2人の力は合わせればハーネイトを上回るかもしれない。それほどにこの2人の力は強大であった。ハーネイトが2人を認め傍に置く理由はそこにあり、敵に回すとどれだけ厄介かと常に思っているほどである。
「ふうう、これであの化け物連中も沈黙したな」
「あとは、ハーネイトよね」
「伯爵!師匠のほうはどうっすか」
「リシェルか、これからが本番だろうな」
戦いの様子を観察していたリシェルたちの下に伯爵とリリーが合流し、ハーネイトと魔女の戦いを遠くから見ていた。死霊魔導師セファスは既に、人の体をとどめていない状況にあった。
「魔法使い同士の戦い、こうなったら拙者らは見守ることしかできんな」
「もどかしいけれど、仕方ないわね。ハーネイト様!ファイト!!! 」
「おいお前ら!まだ終わっていねえぞ!遺跡のほうに西側からの残りの奴らが攻め込んできてやがる! 」
「ギリアムさん!了解っすよ、全部蹴散らすまでだぜ! 」
「そうだ、遺跡を守れ!でないと俺たちの負けだぞ」
まだ残党がおり、それが移籍に向かって進軍している。それを止めるため、彼らは遺跡に急いで向かうのであった。シャムロックとハルディナ、南雲と風魔も合流し、ほかの仲間たちが作った道をベイリックスで駆け抜ける。
その一方で巨大な遺跡の東側に見える邪悪な怪物を彼らは見ながら、ひたすらにハーネイトの勝利を願っていた。
もしかすると、と嫌な予感を感じるものも少なくない、それでも信じたい、信じなきゃという思いは後にハーネイトを大きく支えることになる。
「なにがなんでも、あの遺跡を破壊して、この世界を混沌の渦に巻き込んでやる!うぅ、お前は何なんだ!私はヴィダールが1柱、ヴァルナーだぞ!邪魔をするな」
「フフフ、そのヴィダールから生まれたのが、微生界人であり血徒なのだ!私たちは、お前らを倒し我らが理想の世界を作る。破滅の予言を、ウグッ、また頭が」
異形の姿と化したセファスの肉体をヴァルナーは操っているが、更にその主導権を握ろうとしていたのはかつてエヴィラと共にオベリス探索とある後継者を探し出し護る組織を作った紅儡を生み出す怪物、血徒こと血の魔人の一柱、イエロスタであった。
「ソラという奴が、我らに呪いをかけ、あるべき姿を歪めた!それを、私たちは許さない。そのせいで、苦しんできたと言うのに!それでも、あれを防ごうと、っ」
「っ、姉さんはそんなことをっ!まさかとは思ったがくっ、これを……」
「それを使うな、元に戻れなくなるぞ!っ、とんでもない事態だな」
血徒イエロスタの圧倒的な意思に押し込まれながらもヴァルナーが激しく抵抗する。
しかし荒ぶる彼女は地面に向けて無数の光弾を降り注がせる。そしてさらに変異が進み、デモライズカードの力で彼女は完全な魔物、いや邪神に姿を変えた。無数の蛇のような足、巨大な腕と頭、そしてみるだけで気を失いそうなほどの威圧感。それを見た誰もが別の意味で見とれていた。
軽く遺跡の高さを超えた巨体、もし彼女が遺跡に倒れこめばおしまいである。
「っ、あれは何だ。今まで見たこともない魔獣、いや、これは魔王か何かか」
「おいおい、あれはなんだ」
「ただでさえ戦況が混沌と化しているのに、あんなのが出るなんて」
「姉さん、怖い……だけど、ここで負けるわけにはいかないわ!」
戦場を爆走するベイリックスに、空から魔女たちも合流する。もはや敵はあの巨大な怪物だけ。けれど、いやな予感がしていた。
そのころオーダインとミザイルはフューゲルとともに遺跡に向かっていた。そしてその途中でいったん地面に降りて敵の様子を確認していた。
「へっ、あんな化け物、どれだけいようと関係ない」
「……しかしミザイル、あれは古より魔界で恐れられていた邪神、ベルグア・ベルリスだ。おそらく彼女の体を媒体に顕現したのだろう」
「そうなると、対抗できるのは同じ力を持つあの神造兵器だけか。あれもあれでヴィダールの下級神だからな」
「だが、分析したところ妙なのが入り込んでいる。それに、血徒……?何だあれは。何故ヴィダールの力を?」
2人は冷静に怪物を分析していた。しかし構成している4つの力のうち、血徒というのが何なのか分からず彼らですらかなり戸惑っていた。あれも、自分たちと同じくヴィダールの力を持つ者だ。しかしどうやってそれを手に入れたのかが分からなかった。
「魔女とヴィダール神柱、血徒という謎の存在、それに魔界の化け物か。合体事故どころじゃねえぞオーダイン」
「今のハーネイトでどこまでやれるか、見るしかない。彼にとっても1つ大きな試練になるだろうがな」
その後ろに、伯爵とリリーが近づいていることを知らなかった彼らは意味深な言葉を発した。
「それってどういうことよ」
「ほう、こんな小娘まで戦いに参加しているとはな。なああの男、ハーネイトが龍の力を使ったのを見たか?」
「た、確かに見たわよ、ねえ、伯爵」
「ああ、あれは、明らかにな」
リリーはオーダインとミザイルの会話を聞いて詰め寄った。そして彼らは、伯爵と彼女にある事実を伝えた。
また、ミザイルは魔物、いや新たな邪神の出現を冷静に観察しつつ、ハーネイトが体に宿らされたと言うか埋め込まれた龍因子の力について質問した。
「ああなると、同じヴィダールの力を使っても差がありすぎるとはじき返されるだろう。お前も炉心をなぜか持っているのが解せんが、だがそれを使えばどうにかなるかもしれんがな」
「微生界人……か。もしや先ほどの話は事実なのか?それなら、この微生界人というのが炉心を持っている理由がわかる」
オーダインとミザイルは、集めた情報を即座に整理する。自分たちも微生界人という存在を今まで知らず、それによる被害が相当出ていたことを伯爵たちから聞き、伯爵も血徒という組織にハーネイト共々恨みがあると確認した。
「あのイエロスタは、確かにああいった。女神ソラに生み出されたと。不完全な姿で、作られたと。どういうことだ?私たちの知らないところでソラ様は何をしていたのか」
「何ぃ?イエロスタだと!げっ、エヴィラが追っている血徒17衆の中堅幹部やな。前に俺たちを襲ったメンツの1人や」
「知っているのか、あれを」
「知っているも何もな、あいつら血徒のせいで俺たちも被害被ってんだよ。おもしれえ、敵幹部直々のお出ましかよ」
「この私たちですら知らない、情報があるのか……そうか、ようやくあの凄惨な事件を起こしてきた犯人の手がかりが」
「なんや、その素振りやと今一知らへんようやな。まあ、どこかに記録でもあると思うで。オベリスって奴でも探せばな」
「っ、やはりソラ様は危険だ。このような情報は聞いてないぞ」
「なら、どうするかだな」
それと、今見えている血徒イエロスタというのは血徒17衆と呼ばれる猛者たちの1人であり、それらはより強力な力を求めあらゆる場所で暗躍していると伯爵から事情を聴いた。
更にミザイルは、聞こえた話からハーネイト及び自分たちの他に、ソラという存在から生み出された存在がいることを確認した。そうなると、勝負の行方が本当に分からないと憔悴した顔を見せた。
それと、まだこの星に文明が栄えていたころも、数年に一度異世界からの侵略者がここを襲うことがあった。
その一つが業魔界の悪魔や邪神であり、かつて世界を恐怖に陥れたベルグア・ベルリスもその一つであった。どこでこの力を彼女が手に入れたかは不明だが、非常に厄介な相手であることに変わりはない。
それは弱点箇所こそ多いが、それを触手や目から放たれる光線をかいくぐり攻撃しないといけないし、6属性中炎属性以外に対しかなりの耐性がある。それでもやれるのはごく限られた猛者である。
「へいへい、俺が相棒のサポに回ればいいんだろう」
「私も行くわ」
「そういうことならば、俺らは奴らに迫る脅威を撃ち滅ぼすまでだぜ」
しかし伯爵はその特殊な能力でそう言った効果を打ち消すことができる。形ある限り、彼にとってはあくまで食事の標的でしかない。しかしミザイルの言った再生能力が気になり、速やかに倒すため伯爵、リリーは連携攻撃することにした。
いくら彼の力が凶悪でも、幾度となく再生されれば日之国でのヴァンオーへイン戦のように浸食速度が追い付かない可能性を考慮したが上の選択である。
するとオーダインはハーネイトにそのことを伝えるようにと二人に指示を出して、空中から地上の人間に攻撃している邪翼竜バーザの群れに突撃する。
「うおおおおおおお!ぶっ飛ばすぜ! 」
「どきなさい!邪魔よ! 」
黒いワイバーンの群れをたやすく蹴散らし、全速力でハーネイトの下に駆け付け声をかける。
「ハーネイト!聞こえる! 」
「リリー、伯爵!どうした! 」
「あのね、あの巨大な怪物はあの変身能力か、霊量士でないともうと攻撃が入らないの。血徒の力も持っている以上、血徒に対抗した時のことを思い出して戦って」
「そうか、だったらそうするまでだ……なっ!あの距離から!……みんな、私の後ろに隠れろ!翻ろ、龍翼! 」
リリーたちから話を聞いて、もう一度戦形変化を行おうとした矢先、セファスは巨大な4本の触手を豪快に振るい、広範囲をなぎ倒す衝撃波を彼らに向かい打ち出した。
それを龍翼・紅蓮葬送で防ぐハーネイト。しかしその瞬間、彼の身に異変が起きた。
「……がはっ、やって、く、れる……っ。この私に、まともに傷が入ったのは、いつぶり、だろうか、がはっ……っ! 」
「ハーネイト!!! 」
「嘘だろ、相棒……! 」
次の瞬間、目を開いた2人はその光景に絶句していた。そう、目の前でハーネイトが、無数の触手に体を貫かれ拘束されていたからである。
傷一つつかない男に、かなりの深手を与えた怪物。2人は大きく戸惑っていた。あの戦形変化中ならもしかすると耐えたかもしれないが、まだ彼は長時間の変身ができずそこを突かれた形であった。
「ぐぬおおおおおおおお!殺す、殺す!何もかも! 」
「そうか、奴め、邪神ヴァルナーの力も強引に使っているのか」
「ああ、確か伯爵とハーネイトに埋め込まれた無限動力機関、無限炉には適合者に女神の力と、龍因子を制御する力を分け与えるというが、同族同士は……!防御が意味を成さないのか」
貫かれたハーネイトを見て、すぐにフューゲルとオーダインたちが駆け付けた。そして以前聞いた話をフューゲルが彼らに話す。
本来無限炉と体が適合した存在は同じ力を持つ以外の者の攻撃にはまず傷1つすらつかず跳ね返すほどの力を得るという。しかし女神及び、同族の神との戦闘ではその圧倒的防御が無効化されてしまうのである。
正確には、霊量子を操れる者は操れないものからの攻撃は完全に無効にできるが、同じ能力者同士だと場合によっては霊量子の濃度、出力などで龍素陥象という現象で防御と攻撃の対消滅及び突破が発生、それにより鉄壁の守りが破られるケースがあるとオーダインはそう判断し説明した。
「あの同化した化け物と戦えば、俺様も普通にダメージを負うってのか。ああ、道理であの時俺の体に傷を入れられたわけだな、相棒……。でねえと、普通は分解できるのによ。無敵じゃねえな、ったく」
「何感心しているのよ。今の話が本当なら、ハーネイトが! 」
その話を聞いたリリーがうろたえる。そしてさらにセファスは邪神の力を解放し、無数のレーザーを周囲に放ち攻撃する。激しい攻撃に大地は割れ、雲は切り裂かれ収拾がつかない状態であった。
「さ、ああ……とどめ、とどめを!!! 」
「そうはさせるか!!我が友の危機に駆け付けぬような、そんな薄情な男ではない。これを食らえ、皇帝剣私も、古代人の血を継ぐ者だ!勝負しろ、怪物! 」
邪神ヴァルナーセファス。いや、もしかすると血徒イエロスタ・ヴァルナー。今の彼女はそう呼んだほうがいい。
そうして彼女は邪魔をしたハーネイトの息の根を止めようと、触手の津波を起こして全員を飲み込もうとする。誰もが覚悟を決めたその時、遥か彼方から光の一閃がその触手の群れを断ち切り、攻撃を防いだ。
そう、友であり配下であるハーネイトを助けるため、アレクサンドレアル6世が魔法剣技「皇帝剣」でどす黒い無数の触手を巨大な光剣で真っ二つにして破壊したのであった。
今までどれだけ彼に助けられてきたか。ならばもし彼の身に危機が迫るなら、今度は助ける番だと。そして、彼に教えてもらった剣技が見事に決まったことで王の中で何かがはじけた。
「さあ、邪悪なる魔法使い!今まで大層なことをしてくれたな!だが、貴様の野望もここで潰えるのだ!それと、血徒に感染している以上容赦はせん!友であり、恩人であるハーネイトからすべてを奪った、怪物がぁあああ! 」
「国王、一旦離れますぞ」
「敵の意識を彼から逸らさないと!みんな聞こえる?全力で囮になるのよ! 」
「あれは、なんだ一体っ」
アンジェルが全員に呼び掛けたその時、上空から何かが落ちてきた。それはハーネイトの体を貫く触手の群れに向かって落ち、着弾の直前で空中爆発し、無数の白い泡をもくもくと生み出し彼女の体を包み込むように散布する。そしてそれを浴びた触手はもがき苦しんでいた。
「ぐおおおおおお、ぬおおおおおお! 」
「空中で何かが爆発したぞ」
「おおう、なんだあの泡は」
一体何が起きたのか、戦域にいる全員が理解するのに時間を要した。しかし彼らにいきなり通信が入ったことでだれが行ったのかが分かった。
「悪いが、友であり先生でもあり、後輩でもある英雄王を死なせるわけにはいかない。グランドタイタン、第2射発射準備!目標はあの化け物だ、泡で視界を奪え!煙幕代わりにはぜいたくな代物だがな」
「了解だぜ社長! 」
民間救助会社ゼペテイックスの社長、ハイマン・ロジャーがボルナレロと連携し消化弾道ミサイルをヴァルナーセファスに対して発射して打ち込んだのであった。本来広域火災用の消化弾であり、無数の泡のカーテンで炎を封じ込め消す用途で使うものである。
しかし彼はハーネイトを助けるため、その泡の性質を利用して彼女の攻撃を妨害したのであった。しかしもう一つこれには細工が施されており、八紋堀がこっそり消火剤に自身の栽培した危険なトウガラシの粉を入れていたのである。そのためかセファスは悶え狂うように激痛に耐える。
「あの泡に何が入っているんだ?っ、これは刺激性の!まさか、あの唐辛子侍のあれか?前に味見をして悶絶したがよ」
「とにかくあれで視界が一時的にダウンしたはずだ。相棒を助けるぜ! 」
「ええ、今のうちに」
すぐさま伯爵は両手を菌の剣に変え、相棒を貫く触手を瞬時に切り裂き、リリーは落ちていくハーネイトの体を受け止めた。そしてすぐに寝かせ傷の状態を見た。
「大丈夫か、相棒! 」
「が、っ………まともに、受けちゃった……ぐっ……確かに一撃、防いだはずなのに、っ……! 」
「おい、しっかりしろ! 」
「なんてことなの、さっきまで優勢だったじゃない。起きてよ、起きてよ、ねえ! 」
傷を負うことなど、伯爵と戦うまでなく、それ以降も負うことがなかった彼があの一撃でここまで深いダメージを負った事実。銀色と赤色の血が傷口から流れ出し、このままでは助からない。そう2人は分析した。
それはその場にいた伯爵たちだけでなく、それを遠くから見ていたリシェルたちにも彼の負傷という動揺が感染する。
もしかすると、向こうの方が霊量子を操る力が強く、格の違いで負けているのかもしれないと、そう見ていたのであった。
「嘘だろ、師匠が、師匠が!! 」
「うろたえるな!しかし、あの男なしにあの巨大な化け物を倒せるのかのう」
「ええい!少しでも時間を稼ぐぞ!主はまだ生きておる。治るまでの間、私たちが代わりにあれを引き受けるしかないぞ! 」
リシェルはひどく取り乱していた。無敵だと思っていた憧れの英雄がここまで傷を負うなど考えたこともなかったゆえに、銃を持つ手が震えだした。
しかしシャムロックはあの程度の攻撃で主が死ぬことはないと信じ、他にも不安を覚えていた仲間たちに叱咤する。
「んな無茶な! 」
「いえ、それしか方法がないのでしょう。皆さん、やりましょう!危険なかけですが、あのままでは距離の離れた5人を助けることができません」
「……そう、よね。……やろうルシエル。かわいい弟を助けない姉なんてみっともないじゃない」
「ええ、姉さん。私たちが先に囮になります。シャムロックさんたちはベイリックスから攻撃を加えてください」
ミカエルの言葉にルシエルも反応し、冷静になるように、そして恩人の命を助けるのだと周りを奮起させる。それを聞いた彼らは平静を取り戻し、すぐさまセファスの気を引くため全速力で向かうことにした。
「よくいうではないか。娘よ、やるぞ! 」
「クロークス父さん、ええ、今こそ私たちの力を! 」
「諦めなきゃ、どうにかなるんだよな。師匠……!やってやるよ、魔銃士の誇りにかけてな」
これで終わらせる。異星人、異世界人までも巻き込むこの戦いに終止符を打とう。誰もがそう考え、ありったけの勇気を振り絞っていた。