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神造生体兵器 ハーネイト 二人の英雄王伝説  作者: トッキー
第1章 第2シーズン ハーネイト&DG連合VSヴィダール・ティクスの邪神
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第111話 本作戦始動!「敵拠点電撃強襲破壊作戦」


「各部隊、展開は完了したか?」


 ボルナレロからの通信を聞いた攻略軍の臨時リーダーとなった伯爵ことヴァンは、彼の通信を聞いて返答していた。


 ハーネイトの魔粒子探知システムとボルナレロのRTMGISの組み合わせが奏を講じて、敵の隠蔽結界を逆手に取りそこから発せられる魔力とその質を観測、それを地図上に逐次反映させハーネイトでさえ単独では探すのが困難であった敵の本拠点をたった2時間で見つけ出すことに成功した。

 

これを持ってハーネイトは伯爵に拠点制圧の総指揮をとらせる大役を命じ、それと手紙や連絡で招集したかつての仲間たちも合わせた連合軍を陽動に使用し、その背後から機士国を奪還、解放したハーネイトとウルグサス、その後霊量士たちによる挟撃と包囲攻撃を巧みに使い分けることにより、敵の戦力をずたずたにすばやく引き裂く作戦を考案し、ハーネイトは全員にこれを伝えたのであった。


 これはのちに地図と魔法を最大限に利用した戦術であると高く評価され、ボルナレロとハーネイトの株がさらに上がったのだがそれはまた別の話である。


 ハーネイト自身、場所さえわかれば1人で乗り込む算段であったが、当時過労からくる体調の絶不調により、どうしても一人だけでは限界があったため全員の力を借りてここまで来たのであった。


 フューゲルやシャックス、ウルグサスにリリエットなど、自身の内なる力の秘密に通ずる情報を持っていた者との出会いがなければ、彼は体を更に壊し戦う事すらままならなかった可能性が大きく、結果的に以前より強くなった彼は自信をもって敵を倒せると思っていた。


その後分析の結果分かったことがあり、敵の巨大な隠蔽結界の周囲に5つの巧妙に偽装した施設があり、そこから中央の結界に向かって何かの配線、パイプが通っていると地図分析でボルナレロが指示した。結界を破壊するにはそれを攻略しなければならないことを伝え、伯爵がそれについて部隊の再編成を行ったのであった。


 当初の3軍による包囲網だけでは攻略が難しいのではないかと彼が考え、ハーネイトとボルナレロに連絡を取った所、作戦内容の変更が認められ、急遽管理塔制圧作戦になったのである。

 

本来急な作戦変更は多くの軍勢を率いる状態では難しい。しかしハーネイトらの考案したいくつかの技術が大規模な部隊の、円滑な運用を可能にしていた。


 そのため残りの部隊も早急に合流し戦力を再編成し、ゼぺティックスの巧みな輸送戦術と組み合わせて、5つの部隊に分かれて展開がすでに終わっていた。


「こちら特に問題なし。全員軽々と山を越えやがる。頼もしいねえ。敵の拠点があると思われる場所に先ほど到着、ほかの連中も指定の場所でうまく待機しているさ」


「よし、ではこれより敵拠点制圧作戦を行う。ハーネイトはあと2時間ほど到着に時間がかかる。それまでに5つの防衛拠点を破壊するんだ。他の方面にもハーネイトが連絡をしていつでも指示可能だ」


 ボルナレロの通信を聞き、伯爵はリシェルたちに急いで伝達し、リシェルやエレクトリール、そしてハーネイトの手紙を見てアンジェルとルズイーク、八紋堀、そしてアポロネスも無事合流し作戦の手はずは整っていた。


 作戦の内容は、5つに分かれた各国より選ばれた、そしてハーネイトの連絡に応じ駆け付けた戦士たち、540名。その1人1人が対多数戦闘、または一騎打ちにおいて桁違いの戦力を持つ猛者共が、魔法使いが巧妙に隠した5つの外部魔力供給塔を攻略し破壊、本拠点の結界能力を完全に削いだ後全員で乗り込み制圧、魔法使いを捕獲または討伐するという電撃的な作戦であった。


 少数精鋭、それによる奇襲と強襲である。


 また今作戦は、魔法使いに対し宣戦布告の返事を未だ彼は返しておらず、ハーネイトの機士国開放による混乱を重ねて敵の選択能力を殺す算段であった。


 ハーネイト自体、本来は計略も力押しで攻めるのも得意とする面もあるが、今回の作戦は魔法使いらしく合理的で手段を選ばない。そんな一面を垣間見えさせていた。それは、BKからの報告で魔法使いが血徒と関係があるのではないかという情報が上がっていたのと関係があるかもしれない。


 だからこそ、先に不安要素である機士国の状況を改善し、自身が西から攻め、伯爵たちが東から、そして手紙を出した戦友たちが来たから南下して攻めることで、南に展開している機士国軍と包囲し、逃げ道を無くす算段に出たのであった。多少計画の変更は余儀なくされたものの、それでも戦力を想定どおりに配置することができた。


「それと伯爵、貴方たちにはもう1つ。そこに見える巨大な2つの塔の制圧、または破壊を行ってくれ」


「それは5つの供給拠点の破壊後でいいんだな?」


「そうだ」


 そしてボルナレロのもとに各方面から魔法通信による連絡が続々と入っていた。無論ハーネイトとボルナレロ、ホミルドたちにより会話の内容は暗号化されており敵はそれを聞いても理解ができない状況であった。


「ナマステイだ。弟子たちと5番塔の制圧に来た。任せておけ」


「こちら、フリージアだ。4番塔が見えてきた。兄貴たちを連れてきたぜ、好きに暴れさせてもらうぞハーネイト」


「3番塔担当のキースよ、ああ、いいわねあの巨大な。んじゃなくて、これより作戦に入るわよん」


「2番塔に到着した。これより私、神威と一殺、紅月さんとで塔の破壊を行います」


「リシェル、エレクトリール、南雲と風魔は俺に続け、ミカエルとルシエルは2番と4番での魔法支援。あとリリーは俺の援護を。一番塔の破壊後、門に突撃する。ボルナレロたちの指示をよく聞くんだ」


「了解したわ」


「さあ、何がいようが撃ち落とすぜ」


「今までの分、挽回する!」


「上空から見てくるわね」


 そしてミカエルとルシエルは他の方面への魔力供給塔の結界破壊任務のためいったん離れ、空から隠ぺい魔法を用いて使い魔と共に秘かに待機している軍勢の多さに驚いていた。


「すっごい大軍勢。問題は、あの幹部たちね。ハーネイト、早く来てくれないとどうなるかわからないわ」


「とにかく、やるべきことやる。行くわ!」


 そして伯爵が時間を確認し、正午になったその時命令が下された。


「各員、敵拠点電撃強襲破壊作戦開始!」


 伯爵たちの号令で各部隊は一斉に、魔力供給塔への進軍を開始した。


 恐るべき戦闘力を持つ集団の突撃、魔法使いに操られていた警備兵たちはその奇襲に誰もが対応できていなかった。


「伯爵、始めやがったな。まあいい、彼らは陽動だ」


 ハーネイトはウルグサスの背中でボルナレロからの通信を聞き、考え事をしていた。今のところ順調に事を運び、予想よりも短く、そして損害も少なく彼らを追い詰めている。機士国の解放も済み、アレクサンドレアルもエージェントたちの護衛の下、ゼペティックス社が手配した飛行艇で出発の準備をしていた。


 しかし彼は、そこはかとなく不安を抱いていた。彼らの真の目的がまだわからず、ウルグサスの言った遺跡の話も含め、あらゆる事態に対応できるように身軽くしておかなければと彼は考えていた。


「どうした、あともう少しでつくぞ」


「ええ。しかし何か嫌な予感がすると言いますかね」


「ううむ、それは同じことを考えていた。だが、お主がうろたえない限り、あきらめない限りどうにでもなれる。いざというときは、偉大なるアルフシエラ様の力をお借りなさい。私たちの親でもある彼女に」


「そ、そうですね。はい。しかし、霊量子の操作もまだおぼつかないのにやれるのだろうか」


 ウルグサスはハーネイトの不安を紛らわそうと話しかけ、彼もそうだと考えた。しかし敵の幹部を相手に今の状態でどこまでやれるか、彼にとっての問題の一つがそこにあった。


「力は、戦いの中で開放しろか。ん、あれは一体。ウルグサス、高度を下げて、確認したい」


「よかろう、掴まっておれ」


 そうしてウルグサスはハーネイトの指示のもと高度を一気に下げ、彼が地上を視認しやすいようにした。


 そこには、多くの魔獣に追われる研究者らしき男が息を切らしながら走っている姿があった。

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