スズキさん(異界転生推進課 異世界転移事故対策係 係長)と俺(???)
「………………さ…」
ん?
「……き…じ…さま。」
ん~母さんじゃない?
「黒木 一様!」
耳元で大声であげられて漸く意識が繋がる。自分の寝起きの悪さを知らないと言うことは少なくとも友人よりも親しい人間では無いだろうと当たりをつけながら返事を頑張って返すハジメ。
「ふぁ~ねむ。もう30秒ほど待って下さい。」
一度カクっと頭が下がって丁度30秒で顔が上がり眼もしっかりと開いている。
「それで此処は何処なのでしょうか?確か俺は友人達と帰宅途中だったと思うのですが?」
ハジメは質問しながら辺りを見渡すと第一印象はまるで市役所のようなところだと感じた。
「それは担当者からお聞きください。15番のお部屋へどうぞ。」
素っ気なく言ってくるお姉さんもやはり市役所の職員さんのような格好をしている。
ん~忙しそうなのに時間を取らせた事で印象が悪くなったのかな。等と思いながらお姉さんが差し示した15番の部屋に入る。
「御足労頂き有難う御座います黒木様。私はこう言う者です。」
部屋で出迎えてくれたのは優しそうなおじさん。如何にも市役所でデスクワークをしていそうな格好をしている。そのおじさんが名刺を渡してくるので受け取りそこに書かれた文字を読むとつい声に出てしまった。
「………異世界転生推進課 異世界転移事故対策係 係長 スズキさん?」
「はい、地獄界閻魔大王直下機関異世界推進課異世界事故対策係係長のスズキでございます。
この度、黒木様は駄目神の異世界転移陣に巻き込まして命尽きようとしています。私共としては黒木様の様な高潔な魂の持ち主を此処で朽ち果てさせて輪廻に影響を与える事が無いようにせめて異世界ででも天寿を全うしていただきたいと思いお呼びいたしました。」