5. 日常の二コマ目(友人とオレ)
「よう、ハジメ。さっきはすごかったな。芝センのヤツ、タジタジだったじゃん。」
「コーヘイ君、それはワザと言ってるんですか?こっちは失敗したって落ち込んでいるのに。」
どうやら昼休みと同時に教室から出てきたハジメを追いかけてきたらしいコウヘイのセリフに返答するハジメ。
「そんなに気にするなって。何かあればこれでも生徒会役員なんでって答えておけば問題なしだって。それよりハジメ、メシはどうするんだよ?いつもは弁当だろ、どうしたんだ?手に持ってないって事は学食か?」
「嫌な言い訳ですね、それ。でもそれで通じるんだろうなぁ。
えっと、お昼ですか?お弁当は母さん、締め切りが近いので断りました。そうですね、購買でパンでも買おうかと思って出てきたんですけど。」
「あ~多分無理じゃねぇかな。うちの購買って安くて美味いから昼休みが始まって10分くらいで完売っすっから。」
「それなら多分大丈夫ですよ。コーヘイ君も何か買って食べるつもりなんでしょう?では一緒に行きましょうか。」
「???
お、おい。ハジメ?」
困惑するコウヘイだったが、それでもスタスタと歩いていくハジメを追いかけるのであった。
「えっと、ハジメ?」
連れて来られたのは購買の裏手のスペースで本来は誰も来ない場所だ。しかし、そこには確かに規模は小さいがカウンターが設置されていて看板には生徒会役員専用とあるのに困惑するコウヘイ。
「すみません。焼きそばパンとアンパン、飲み物にカフェオレを下さい。コーヘイ君も一緒に頼んで下さい。それなら此処で買えますからね。説明なら後でしますから。」
「あ、あぁ。じゃあ、カツサンドとメンチカツバーガーとカレーパン。」
学食の窓際の何故か空いている一番良い一角に座るハジメに続くコウヘイ。
「で、アレは一体なんなんだよ。それになんでこの辺には人が近付いて来ないんだよ。それにメッチャ見られてるんだけど。」
「一言で言うと全部会長の我儘ですよ。この学校の理事長、つまりは会長と会計のお祖父様は孫にとても甘いそうなので彼女達がお願いすれば大抵の事は叶えてしまうそうです。」
「でも、あの二人には購買のパンなんか必要無いだろう?」
「ええ、だからこれは俺の為ですよ。俺が断る時に挙げた問題のひとつに役員の活動で昼食が食べられなくなると言ったらコレです。」
「そ、そうか。」
ドン引きしているコウヘイにハジメが溜息をつきながら
「ふぅ。こうやって断る手段を次々に潰されて役員にされましたから開き直って色々と利用させて貰ってます。コーヘイ君も何かあったら言って下さい。色々と助けになると思いますから。」
「あ、あぁ。」
「囲い込みのやり方が少し酷かったのですから多少は此方も利を得ないと割に合わないですよ。それよりも俺に用があったんじゃないですか?」
「そうだった。実は魔剣が取れなくてよ。手伝ってくれないか?」
「魔剣ですか?どの魔剣です?ん~コーヘイ君の進み具合ならクラレント?コーヘイ君のステータスなら聖剣の方が良いんじゃ?」
「いや、それは勇者がウザい。」
「まぁメインクエストの勇者はウザいですけど、アロンダイトくらいが妥当だと思うよ。魔剣なら採取や諸々で釣ってメンバーを集めないと。」
「え?ハジメだけじゃダメなのか?」
「無理です。どの魔剣のクエストも最低5名以上でないとチャレンジすら出来ないんですよ。ん〜壁役にコウさんが来てくれるのなら楽ですけど、生産厨のあの人が望むモノが取れそうに無いからGen-JiとO-JIを呼ぶのは確定でMANATOさんとAkiさんが居れば、狂君、凪さんも連れて行っても裏でもクリア出来るかな。一応は前クエで連携を確認してからだけど…」