プロローグ?
最初から長めです!
個人的には1話目は長い方が好きなので、作者の『好き』を読者皆様に押し付けてみました(笑)
「……ハァハァ、お、お前、やるな」
俺は汗を拭う。
「お、お前もな....んフゥ」
相手も中々消耗しているらしい。
気持ち悪く息を荒げる。
その小さな強敵は自分の手をスリスリと擦って、見た目に似つかわしくない低い声を響かせる。
「そろそろ....決めるか?坊主」
そいつは羽をばたつかせる。今にも羽ばたきそうな勢いでブーンと音を立てる。
「……フッ、俺も同じことを考えていたよ」
俺は両手をバッと広げる。
「行くぞ!坊主ぅぅ!!」
「来い!蝿ぇぇぇ!!」
ごめん。ついてこれてないよな。説明する。
────────────────────────────────────
その日もいつもと同じ。
不細工でのろまでちょいデブな俺は大量の焼きそばパンを手に全力疾走。
さて、そろそろか。
俺は鍛え上げられたパシリスキルを最大限屈しておよそ常人には真似できないパシリ力を今日も奴らに見せつける。
「高安どのぉ!焼きそばパン佐田スペシャルお持ち致しましたぁぁ!!」
焼きそばパンを上に放り投げると同時に背中に背負っていた大皿を用意。
大皿で軽く焼きそばパンを垂直に叩く。
袋から突き出てきた焼きそばパンを皿に乗せる.....前に空中で手早く焼きそばだけに分ける。
だがただ乗せるのではなく、先にマヨネーズを皿にかけまくってから焼きそばを乗せ、その焼きそばに絶妙な量のジャコ天を追加。
そして最後に一口大の半分ほどまで小さくしたパンをふりかける。
この間僅か2秒
俺はそれをスッと高安に差し出すと、感動のあまりか高安は震えだす。
「……だから!おまっ..!なんで毎回出来上がってる食品をアレンジしちゃうんだよぉ!!確かに美味しいけど、違うんだよ!これじゃあパシリさせてる感じじゃないんだよバーカ!」
高安は少し柄が悪く、いつも俺につっかかってくるが、別に根っから悪い奴じゃない。
結構からかうの面白いんだよね。
……そもそも、彼奴がつっかかってくるのは他のいじめっ子と違ってブスだから、とかキモいからとかじゃなくて他に理由があるんだよね。
「あれ?佐田君?何してるの?.....あ、まさか!また高安に虐められてたの!?」
高安の前に片膝をついていた俺に目線を合わせ話しかけてくる女子生徒。こいつの名前は春先鈴音。
この学校は他より美男美女が多いけど、その中でもずば抜けているのがこいつだ。
「あ、いや!ち、違うよ!」
高安は鈴音と仲良くする俺のことが気にくわないのだろう。まぁ、だからと言って酷いことを出来ないのが高安だ。
そんな高安は弁解が難しいと踏んで俺の方を向く。
「な!?佐田!俺たち仲良いもんな!?あ、アハハハハハ」
こいつはからかい甲斐がある。だからもう少しいじってみたい気もするが.....
「はい、そうですね。焼きそばパン奢ってあげるくらいには仲良しですね」
ここは高安とは....いや、鈴音とは離れよう。
……後ろでちょっと楽しそうな騒ぎ越えが聞こえたが振り向かない。入りたいけど入らない。
何故、急に態度を冷たくしたか。それはすぐにわかるさ。
「まぁさぁとくぅ〜ん?」
ほらな。
「どうしたんだ?みんなして寄ってたかって」
「どうしたんだ?ってこたぁないんじゃないか?」
何かこの喋り方嫌いだなぁ。腹がたつ。
「お前、何んだか鈴音と仲よさげだったなぁ?」
「それに、高安の事もうまく取り込んでるみてぇだよな」
因みに、相手は3人いて、全員クラスメイトなのだが.....名前は知らない。
興味ないしな!
「高安を?取り込むって何の事だ?」
「おいおい。とぼけちゃやーよ」
んぁあ!腹立つ!
俺は『人生楽しく生きる』がもっとーなのに!
「お前、高安を取り込んで俺たちに仕返ししようってことだろ?高安に鈴音。あの2人を取り込んじまえばこの学校じゃ敵なしだもんなぁ」
え、そうなの?
鈴音はわかるが高安もそんな人望あるの?
「まぁ。彼奴もイケメンだしなぁ」
「あ?ボソボソ何言ってるか聞こえねぇよ!」
はい、腹に1発。
「グフッ!」
勿論もらった側ね。
「言いたい事があるならはっきり言えよ!」
今度は顔面。
ゴッと鈍い音は響いたが、声は出なかった。
まぁ顔殴られりゃ声も出ねえか。
「お....まえ..ら」
「あ?何だよ?」
ニヤニヤと笑う奴らに俺も笑い返す。
「もう........授業始まってるぜ?」
「は?...うわっ!やべ!」
この学校は所詮お坊ちゃん達の集まりさ。勉強して入った俺みたいな奴以外は金で入ってる。
だが、かと言って好き放題できるわけじゃない。
というか寧ろ逆だ。好き放題したら親のメンツがある。
だからみんな良い子ちゃんで通ってるってことさ
「てめぇ!何笑ってやがんだ!!」
「おいやめとけって!....行こうぜ」
まだ続けようとする男子生徒を他の奴が止める。
「ちっ。今日の放課後。ここに来い」
止められた男子生徒はそれだけ言い残すと悔しそうに走って行く。
俺はというと実はその言葉のほとんどを聞いていなかった。
倒れそうだったからだ。
意識が朦朧とする中、1人の...いや、1匹の馬?
……あ違う。人だ。
同じクラスの鈴本君が俺を見るや否や慌てて走ってくる。
その姿は野谷をかける馬を彷彿とさせる....何言ってんだ俺。
まぁ兎に角、馬面の鈴本君は倒れる寸前の俺を受け止める。
「だ、大丈夫かい!?」
……返事がない。ただの屍のようだ。
その後、すぐに目を覚ます。
気絶というものは軽ければ数秒で目がさめると聞いた事がある。
馬に跨り..じゃなく、鈴本君に背負われ、保健室まえまで来たところだった。
「あ、気が付いたかい?」
「あぁ。ありがとう、鈴本君」
「良いってことよ」
「お詫びに...ほれ」
「何でニンジン!?」
鈴本君は面白いから名前を覚えてる。
面白いよ。主に顔が
「ちょっと待って」
俺は保健室のドアに手を伸ばす鈴本君を止める。
「え?どうしたの?」
「保健室には行かなくて良いよ」
「だ、駄目だよ!安静にしてなきゃ!!」
まぁ、心配してくれるのは有難い
……が
「大丈夫。そんなことより、授業に戻らないと」
「そんなことって....まぁ、そこまで言うなら良いよ」
「よしよし。偉いぞぉ...ほれ!」
「だから何でニンジン!?」
今ここで戻らなければ鈴音に心配して絡まれてしまう。それだけは避けねば....
キーンコーンカーンコーン
チャイムが響く。
俺、ドアを開けた所。
あ、アウトォォ
「あ、やっ違うんです。先せ───」
「あれぇ?早くないかなぁ?」
言われてみれば確かに早い。
まだ授業終了時間まで20分はあるぞ?
《はーい!レディィス、アェェンドジェンッッットルメェェェン》
うわっ!うるさっ
先生がその放送を聞いて黒板の上にあるスピーカに振り向く。
俺はその隙に席に座る。
俺は一番左後ろの最高の席に、鈴本君は右後ろの準最高席に、最初からいましたけど?という顔で座る。
ばれずに座れたことに安堵する余裕もなく放送は続く。
《えーっとぉ。皆さんはぁ...何?これなんて読むの?え?召喚?ん?だからしょう....あぁ、あってるの?そう》
何だろう。何かはわからないけど猛烈に残念な気分だ。
《コホン。それでは!皆さん!!皆さんはこれよりこことは違う世界、つまる所を異世界に行ってもらいまぁす!》
わー!と1人で盛り上がる声の主は少し高いが男性っぽい声だ。
と言うか俺達置いてきぼり何すけど....
《んでぇ、はっきり言って大体の人が才能ある人のおまけみたいな感じなんですけどぉ、我々には誰がどのくらい強い!とまで明確には分かりかねまぁす。ですのでぇ、全員異世界飛ばしますねぇ?》
「は?」
全然何言って良いか分からなかったが、誰かが振り絞ったような声を発したのがきっかけとなったのか次々と声を上げる。
「ふ、ふざけんな!」
「家族はどうなんだよ!」
「あ、それほんとね!うちにはまだ幼い妹とボケ始めた父さんしかいないのよ!?」
「え。衝撃のカミングアウト....そんな苦労してたのか....」
「異世界って....詳細を教えろよ!」
《じゃかぁしいわボケが!》
「にゅおっ!?」
今のは変な声先生だ。
先生、もう30近いのにぶりっ子してる変な先生何だよねぇ。
名前は確か....何だっけ。
《てめぇらうっさいんだよ一々一々ぃ。弱いってわかってるやつから殺しても良いんだぞ?あぁ?弱ぇ奴も一緒に行かせてやるってんだから破格の条件だろうぅがボケぇ!》
うわ怖っ。
めっちゃ一方的だ。どこが破格なんだよ。
「そ、そうだぞ皆!取り敢えず、一つずつ聞いていこう。あの人だっていくつもいっぺんに答えられるわけじゃないんだ」
《うん。わかってくれて嬉しいよ!》
へぇ。本当に高安人望あったんだな。静かになった。
「それではまず.....貴方は誰なんですか?」
ここに来て自分の質問ぶつけるのかよ。やっぱ抜けてるわ高安。
《僕ぅ?僕はぁ神様!》
ちょっとだけど先生と喋り方にてるな。この神様の方がイラッと来るけど。
「……って神様!?」
あ、やべ。声に出た
「は...はは.....神様ねぇ」
《まぁ、信じなくても良いよ〜それで?質問は終わりかなぁ?》
「あ、待って!」
高安は質問を続けるつもりだ。
《何かな何かなぁ?》
「家族はどうなるんですか?」
《君たちのクローンを出して代わりに生きてもらうよぉ!》
「「なっ!?」」
これは皆驚いちゃったね。自分の代わりに他の何かが生きてくっていうんだからね。
《もう良いかぁい?》
「あ、あと。僕たちのいく世界について、ある程度わかるように説明してください。簡単で良いので」
神様を名乗る何者かはうーんと深く唸る。
《ひとことで言うとぉ剣と魔法の世界!かなぁ?まぁ、他にもいっぱいあるけど、これが一番簡単に伝わるんじゃないかなぁ》
坊ちゃん、お嬢様学校で伝わるのか?それ。
俺は伝わるけど.....
「じゃ、じゃあ特殊な能力もあるんだろ!?」
あれ。高安じゃないのが騒ぎ出したな。
《勿論だよぉ。どれが勇者かわかんないから皆に鑑定スキルあげるね!》
暫く待つがなんの異変も起きない。やっぱりドッキリかなんかか?
と、そこで1人が叫ぶ。
「う、うぉおぅおぉぉぉお!!」
「なっ!?どうしたんだよ!」
高安は叫び出したやつの肩を掴む。高安、顔怖いぞ
「か、鑑定って唱えたら...ステータスが浮かんだんだ!」
「「っ!?」」
皆が声にならない声を上げ、各々で鑑定と唱え始める。
「まぁ、しゃあねぇ。俺も調べてみっか....」
とか言いつつちょっとテンション上がってます俺
そして、俺は自分の腕を見ながら心の中で鑑定を唱える。すると目の前に文字が浮かぶ。
まぁ、テンションも上がるだろう。だってこんなラノベみたいなてんか───
名前 佐田真斗
性別 男
種族 人間
【ステータス】
レベル 4
体 76
力 48
耐 98
速 64
魔 37
【スキル】
鑑定スキル
【称号】
運子
「え...」
ちょっ。え。
「わ、私全部の項目が100何だけど!」
「え!?スッゲェ!!俺なんか平均70くらいだぜ?」
「あぁ。俺もだわ」
何か.....半端。
強すぎるわけじゃなく、極端に弱すぎるわけじゃなく
ラノベのどの主人公にも当てはまらない半端枠。
モブキャラ達の1人。平均的ステータス。
そしてスキルは鑑定しかない。
これは最弱から成り上がれない、主人公の次に弱いモブポジだな。
「あれ?皆称号なんだ?」
「いや、鑑定って人の事も見れるぞ?」
「ん。マジ?」
「……だよなぁ」
暫くして高安は軽く頷く。
どうした?高安はなにか他の奴らとは違ったらしい。
どれ、ちょいと見てみるか。
名前 久保高安
性別 男
種族 人間
【ステータス】
レベル 7
体 470
力 570
耐 340
速 780
魔 120
【スキル】
鑑定スキル 月光斬 三日月切り 5秒出力
【称号】
勇者
あれ?おかしいぞ?
高安が勇者だぞ?
根は良いやつだけども、クラスメイトに焼きそばパン買わせるやつが勇者だぞ?
引くに引けないようなところがあったにせよ勇者ではなくないか?
しかもステータスたけぇ。
つえぇ。
何だよ5秒出力って....
《5秒出力》……5秒間だけ超人的動きが出来る。
ほう。鑑定スキル様々だな。
もう良いや。
俺なんかどうせ成り上がれもしないし勇者にも勝てないけどずっと皆についてって経験値だけ貰える寄生虫でいいよ。
ふ、ふん!そもそもまだ本当にあいつが神かわかんないし!ドッキリかもしれないし!
……ここまできてそれはないか。
《はぁい!皆さん静粛に!これより皆さんを異世界に送ります!では、良い異世界ライフを!》
神様が話し終わる前に教卓の少し前を中心に....俗に言う魔法陣が展開される。
俺はその様子を自分の席で座りながら見る。
魔法陣がより一層強く光る。
そこで俺はとあることに気づき席を立つ。
「え?あっ、ちょっと!!」
必死に魔法陣に乗ろうとするが時すでに遅し。
クラスの端にいた俺は円状の魔法陣から溢れていた。
つまり、四角い教室。前の方より半円状の魔法陣展開。角っこは余る。
俺、転移せず。
「なぁんでだぁぁあ!!」
俺は頭を抱えさりげなく横を見る。
あ、
「鈴本君....やぁ」
こいつも教室の端だった。
鈴本君は俺に向かって手を挙げる。
「……やぁ」
そのまま2人で軽く廊下を歩く。
見てわかったこと。この学校の皆が転移したわけじゃないこと、少ししたら俺たちの偽物ができたこと、ということなのだが、どういう事かと言うと、俺たちのクラスを含め、2クラスしか転移はされていなかったのだ。暫く見ていると、もう一つのクラスからホログラム映像のようにスーっと偽物が現れる。
鈴音の偽物も出てたからあいつも転移したらしい。
「ねぇ、今から僕が言うことを信じて聞いてくれるかい?」
「鈴本君?」
急にどうしたんだ?今なら何でも信じられるぞ?
「実は僕...上手く召喚出来なかった人を異世界に送り届けるための天からの使いなんだ」
「す、鈴本君?」
悪いものでも食べたか?
「つまり、僕は君のような人を異世界に導く天使なのさ」
鈴本君は少しジャンプすると、一瞬羽のようなものが見え、同時に眩しいほどに発光する。
「す、鈴本くぅぅん!」
帰ってきてくれぇ!今唯一俺に残された共感者じゃないか!
「まぁ、という事で。僕は神様ほど力が強くないため、どこに行くかわからないけど飛ばす係なんだ」
「え?」
茶番かと思ったけど確かに羽はある。
「まぁ、君が何かを秘めているのであれば、どこに飛ばしても平気だろうし、良いよね」
「良いわけあるか!」
でも、異世界には行きたい。
このまま今の日本にいても、家族にも腫物のように扱われる俺に良い事なんてない
……ことはないかもしれないが、きっと嫌なことのほうが良いだろう。
なら、変わってやるよ。俺が自分で自分を変える為の自分だけの決断。いや、英断だ!
「鈴本君!お前を信じるよ!」
「君ならそう言ってくれると思っていたよ」
鈴本君は先程のように発光する。
かすかに見えた鈴本君の姿は馬のような体に羽が生え、白い毛並みが美しく見えた。
鈴本君....君はただの馬じゃなくて────────
白い光を抜け、俺は一歩歩く。
「むぎゃぁ!」
「ん?」
何か足元から聞こえたな。
足元を見る。
と、そこには恐ろしい数の虫が
「うわぁぁぁ!?」
もう、プーンって音が被りすぎてブボボボボボって聞こえんだけど!何これ!?
そう。蝿である。
俺はひたすら蝿を叩き、踏み、潰しながら走り続けた。
それはもう走り続けた。
その場所は赤く染まった地面に、赤く染まった岩や石が転がってるだけで木などの植物は殆ど見えない。
5kmに一本木が生えているくらいかな?
なんか熱いと思ったらこんな所に溶岩が....
「って溶岩じゃん!?」
この時、俺は気づかなかった。
何故そんなに走り続けても平気なのか。
何故、5kmに1本の木をいくつも見つけられているのか。
俺はある程度の虫どもを殺した。必死こいて殺しまくった。
と、そこで気づく。
「あれ?蝿がいなくなった.....?」
そして疲れ切った俺はその場に大の字に転がる。
「勝った!俺は勝ったぞ!あの虫どもに!あの蝿どもに!」
ふはははと笑い叫ぶ俺の元へ悪魔のメロディー...プーンと虫の羽ばたく音がする。
「またかよ....」
だが、今度の蝿はやばかった。
「で、でけぇ!?」
いや、あくまで蝿にしてはでかい。と言う大きさなのだが、ちょっと大袈裟に反応してみた。
20cmくらいかな?
「おい、坊主。うちのチビどもが世話になったらしいじゃねぇか」
しかも喋った!?
「あ、あんた...あいつらの親玉か?」
お、落ち着け、俺。あくまで平然を取り繕うんだ。
「親玉っつうか親だけどな」
「え?あれ?お父さん?」
やべ。変なノリでてしまった。
「誰がお父さんじゃコラァァ!」
「ぬぅわぁぁ!?」
────────────────────────────────────
そして、暫くの格闘後、今に至る。
俺は思いっきり両手を閉じ、蝿を叩き潰す。
パン、ではなくドヴァン!!となんとも言えない音がなる。
「うぇ。なんか手に感触が残ってるぅ....」
手を開けると中でグチャグチャになった蝿が喋り出す。
「おう、小僧。よく俺様を倒してくれた....」
「お前その状態でも喋れんのかよ」
そう言い俺は再度手を合わせようとする
「ストォップ!!え、なんで?なんで語り出そうとしたのに殺しちゃうの?え、違くない?なんかすごい事言おうとしてない?」
「え....だってキモいし」
「よくない。キモいからってすぐ殺しちゃうの良くないよ?」
「……お前死にかけの割に良く喋るな。言いたいことだけ言え。聞いてやるから」
蝿は悲しそうに俯きながら語りだす。
つか、ぐちょぐちょすぎて顔どれかわかんないから本当に俯いてんのかはわからないが、悲しそうな雰囲気だけは伝わる。
「あの、もうすぐ死んじゃうから端的に言うけどね?俺様、蝿の王ベルゼブブって言って超強いわけよ。んで、蝿の王は....って言うかこれは他の王にも同じなんだけど、死んだ場合は自分の子供に王の力を渡され、殺された場合その殺したものを王にするんだよね。だから、俺様を殺した坊主は蝿の王になったわけでね。俺様が名前を授けると正式に王になってお前は王の力を得るんだよね。所詮蝿の俺様が持っててもそんな強くないけど、坊主が持てば馬鹿みたいに強い生物の出来上がりって事なんだ」
なんか長々と喋ってるけどなかなか死なないな。もう殺そうかな
「で、坊主、俺様がお前につける名前はベルゼラブr───」
「エイっ!」
俺は蝿を握り潰す。
ん?話聞いてなかったのかって?聞いてたよ?でも、蝿の王の力ってもらっても大した事ないでしょ?
だから、名付けられる前に殺した。
さて。蝿どもを殺して少しはレベル上がったかな?
名前 ベルゼラブル
性別 男?
種族 蝿
【ステータス】
レベル 1200
体 74000
力 53000
耐 2000
速 100000
魔 9340
【スキル】
鑑定スキル 魔王覇気 高速移動 吸血 万能耐性 変身 統合性
【称号】※選択必須
運子
蝿の王 魔の王 蝿を統べるもの 魔を統べるもの 大魔王 人間っぽいな、あいつ
「おおっと!?」
ん?ベルゼラブrはベルゼラブルとして捉えられたのか?ん?
俺蝿の王になったのか?あれ?失敗した?
「でもまぁ。弱いとか言ったけどパッと見めっちゃ強かったから結果オーライ?」
同時進行で書いてるもう一つの連載作品では、R15を付け忘れてそういう描写を書けなくなってしまったので、こっちにはきっちり付けておきました!
今作はめちゃくちゃ作者の趣味なので、人が見てくれるとは思ってません。ですので、誰も見ていなくても続けます。投稿はかなり遅めです。
……あ、プロローグや何章と話を分けるのはやり方がよくわかりませんでしたので一々前書きで書きます。