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カップルの日常〜宅飲み編〜

作者: 03


「今日はお酒飲まないの?」

「ん?飲みたいの?」


「うん、飲みたい」





と、満面の笑みで返答された。



夜も更けてきて、まあまあいい時間だ。

晩酌タイムといこうか。







「わかった。買ってくるよ。何が欲しい?」

「んー、柚子のお酒がいいなー」

「いつものね。氷は作ってあるっけ?」

「あるよー。あ、後氷結。」



2人ともお酒は強くないので、基本的には数本のお酒で事足りる。

彼女の注文にビールを追加したのが今日のメニューだ。




「おつまみは何がいい?」

「んー、スルメソーメン、かにかま、ラーメン丸は欲しいかな」

「おっけー」




おつまみもいつも通りの注文だ。


ちなみにかにかまとラーメン丸は俺の影響で好きになったようだ。

実は、俺も彼女の影響でスルメソーメンが好物になっている。








「行ってきます」

「はーい」











と言っても家のそばにコンビニがあるので、そこで買うだけである。


こういう買い物は俺が行っている。

家事とかしてもらっているから、こういうことは俺がすることだと思っている。










「いらっしゃいませー」













言われたものも買ったし、そろそろ戻るかな。




「あっ」








アイスを見つけた。

彼女の好きなのでも買うか。











「ただいまー」


「おかえりー」


と、彼女が部屋の奥から顔をのぞかせる。




ふと、こういう結婚生活もいいなー。

家に帰ったら妻がいて、おかえりと返してくれるなんて幸せだろうなー。



なんて思う。






そんな資金力は現状ではないが、いつかくるであろう未来のためにあまり浪費はしていない。





なお、今日の出費は、必要経費です。脳内では領収書を切っています。

今の楽しい時間のための出費なら、未来の妻も許してくれるでしょう。














ビニール袋をテーブルに置き、買ったものをテーブルに並べていく。





「あ、だし巻き卵じゃん。買ってくると思ったー」

「アイス!お風呂出たら食べよ!冷凍庫に入れてくるね」

「やっぱりかにかま2袋買ってきたんだねー」






と、俺の戦利品に対する感想を言っている。




毎回嬉しそうに言うから、たくさん買ってきちゃうんだよね。

だいたいいくつか残ってしまって、次の日に食べることが多い。








それでも無駄遣いだと思わない我が社の経理部は優しい。

過剰な出費などとは言われない。

顧客のための必要経費なのです。











俺の一杯目はビール。

彼女の一杯目は柚子酒。





特に乾杯の音頭も取らず、飲み始める。



ビールの一口目は本当に美味しい。


このために生きていると言っても過言ではないだろう。













いや、過言か。

と、おいしそうにお酒を飲む彼女を見る。





「酒弱いんだから、一気にたくさん飲むなよー」

「だっておいしいだもんー」


若干表情がふわふわしている彼女が答える。




俺もあまり強い方じゃないが、彼女は俺よりもアルコールに弱い。

アルコールパッチで赤くなるほどだ。



だから、一緒に飲むと自分が酔うことよりも彼女のことを心配してしまう。

一緒に飲んで俺がしっかり酔ったことないかもな。









彼女の飲むペースをセーブさせつつ、飲み続ける。


つまみも少しづつ無くなっていく。



そして彼女はげっ歯類みたいに、かにかまを食べている。

ハムハムして少しづつ。












なにこれめっちゃかわいい!

飼いたい!









なんて見ていると、俺のかにかまの袋から一本盗んだ。



「おい」

「…」ハムハム

「おい」

「…」スッ、ハムハム



「堂々と2本目盗むんじゃねぇ!」



「な、なんのことー」




こいつ、とぼけてやがる。

自分のかにかま残っているくせに。



隣の芝生は青く見えるってやつか?








実は、構って欲しくてやってるのを知っているけどね。







俺はやり返しを試みる。




しかし、こいつは取られないように身体でガードしてやがる。






さっきのは訂正だ!

こいつ、食い意地がすごいだけじゃねぇか!










結局、かにかまを返してもらえずにお酒とつまみが無くなった。





すると、彼女は床で寝始める。


「ベッドで寝なよー」

「うーん」




何度言っても、一向にベッドに上がろうとしない。









「んー、よいしょ」








仕方ないので、お姫様抱っこをしてベッドに上げた。




自分の筋力と彼女の体重に感謝だな。








そして俺も眠り、宅飲みが終了するのでした。












後日聞いた話だが、どうやらお姫様抱っこを気に入ったらしい。

酔ったときじゃないと恥ずかしくてねだれないとかなんとか。





そんなのいつでもしてあげるのにね。












我が社の企業理念は、彼女の喜ぶ姿を見ること。

給料は彼女の笑顔。



そんな企業があったらいいな。

酔っていつもと違う姿を見て、キュンとする時ってあると思います。

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