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Grim Reaper Blood  作者: んご
8/62

8話 早朝の買い物1

宿屋を出てロータスと街を歩き幾つかの店を回る。

最初に寄った薬屋では遮光ジェルを幾つかと食料用に人血とアンデットポーション数本を購入した。

店を出たところで朝食をとっていないことを思い出してアイテムパックに買ったものを仕舞うついでに獣人の血を取り出す。


「なにそれ」

取り出した血液の入った小瓶を不思議そうに見るロータス

「獣人の血、朝食べてなかったから」


「なるほど、てかさっきの人血もそうだけど完全にただの血だよね」


「まぁ、実際血だしな」

言いながら小瓶の蓋を開けて中身を一気に飲み干す、獣の血とあまり変わらないが獣人の血の方が少しさっぱりしてて飲みやすい気がする。


「うっわ生臭いよベル君、本当にただの血だよそれ」

そういいながら顔をしかめるロータス、自分には甘い匂いしか感じないのだがそれは吸血鬼だからなのだろう、これからは人前では血を飲むのは控えよう。



「それで次はどこへ行くんだ?」


「服屋かな、初期の服ってただの布だし防御力ほとんどないから早めに買い換えた方がいいからね」


ということでロータスの案内で服屋へ、まだ日が出てから大した時間がたってないこともあり閉まっている店も幾つかあるのだが目的の店は開いていたようだ。


大量の服や布が棚に大量に並べられているがどれがいいとかはさっぱりわからない、そもそもこのゲームにおいて服の防御力や耐久値は数値化されていないのでフレーバーテキストが頼りなのだ、そのフレーバーテキストもいまいちピンとこないのだが…。


一人でフレーバーテキストを見ては頭に疑問符を浮かべてを繰り返しているとロータスに呼ばれる。

「ベル君、この辺のやつが防刃素材でできてるからこの辺から選ぶといいよ」


「防塵?ガス対策?」


「違う違う、そっちの防塵じゃなくて刃を通さない方の防刃、刃物とかの攻撃をある程度防いでくれるの、まぁ刺突とかに対してはあんまり意味ないけどね」


「あぁ、なるほど、そんなのがあるってことは防弾素材も?」


「あるにはあるけどゲームの時代設定的に繊維の防弾素材はないから全身を覆うものだと相当重装備になるよ、まぁ防弾用の防具を急所とか手足に着けるのはいいかもね、気になるんなら後で防具屋にも行ってみるかい?」


「そうだなちょっと見てみたいかな」


「じゃあ武器屋行った後で行こうか」


話しながら地味な色の物を探していると真っ黒のコートが目に留まる。

フードもついているので昼に外を歩くのにも困らなさそうだ。

詳細のフレーバーテキストを見ると防刃効果と遮光効果があるようなことが書いてある、はっきりとあると書いてくれればいいのにと思いつつもまぁそういうものだと無理やり納得して買うことにする。


「ベル君またそんな真っ黒なの買って、もうちょっとこう明るい色のとか選びなよ」

そう言ってロータスが手に持っているのは真っ白なコート


「やだよそんな悪目立ちしそうなの、てかそれ女物じゃん」

指摘した瞬間すごく残念そうな顔をするロータス、絶対着ないからな?そんな悲しそうな顔をしてもだめです。


「真っ黒っていうのも逆に目立つと思うんだけどなぁ…」

ロータスの残念そうな呟きは無視して自分の選んだコートを購入してさっそく着替える。

今まで着ていたコートは何かに使うかもしれないので取り敢えずアイテムパックに入れておく、というかアイテムパックのサイズ的に絶対に入らないと思うのだがなぜかすんなり入ってしまう、謎だ。


結局ロータスが選んだコートは自分で購入したようでロータスも購入したものにさっそく着替えたようだ。

同じデザインの色違いなので並んで立つと微妙な気分になるのだが、まぁそんなことを口にすると揶揄われるのはわかりきっているので黙っておく、それに気にしてもしょうがない。


他に買う物もないので店を出ると見知った人と遭遇する。

「あら、ベル君奇遇ね、そっちは彼女さん?」


「え?ソフィアさん、違います違います!!こいつは全然そんなんじゃ」


「そんなに必死に否定しなくてもいいだろ!!」

揶揄うように言うソフィアさんの言葉を否定すると急に怒り出すロータス


「別に必死ってわけじゃないけど…」


そんな僕とロータスのやり取りを見てクスクスと笑うソフィアさん


あぁ面倒なことになりそうだ…そんな予感に自然とため息が漏れるのも仕方がないと思う。



数分ほど横でロータスがギャーギャーと騒ぎそれに対して適当な返しをする僕とそれを見てクスクスと笑うソフィアさんという謎の組み合わせで歩いていたのだがロータスが急に落ち着く

基本的にロータスは勝手に騒いで勝手に鎮静化するから面倒と言えば面倒だが特に何もしなくても勝手に収まるのだから扱いに困るわけでもないそういう奴だ。


「で?この人は?」

急に落ち着いたロータスが少し真面目な顔で問いかけてくる。


「自警団の訓練所でナイフの訓練してくれたソフィアさん」


「ベル君、君NPCに訓練してもらったって言わなかったっけ?」


「ん?だからそのNPCがソフィアさん」



「ベル君…この人はプレイヤーだよ?」


「え?」

そんなまさかと思ってソフィアさんを見るが不思議そうな顔をしてこっちを見てるだけだ。


「訓練所のNPCが訓練所の外を出歩くわけないだろ!!」

なるほど!!…でも訓練所での会話はこの世界の住人そのものという感じだったのだが…。


「あー、訓練所の受付してるときはロールプレイでそれっぽく振る舞ってたんだけど…まさかNPCに間違われるとは思ってなくて…」

本当にプレイヤーだったぁあ!!





「ほんとすいません、あまりにも違和感がなかったもので…」


「いいわよ、初心者をだませるくらいには役にはまってたって事でしょう?」

そう言って笑顔で許してくれるソフィアさん

「そりゃもう、もともとこの世界にいた人みたいでした」


「まぁ、ベータテストからやってるからね、それより今日はナイフの訓練は?」


「今日も訓練所に行くつもりです」


「そう、私は昼からまた受付の仕事してるから私でよかったらまた声かけてね」


「はい、今日もお願いします」


「じゃあ私は買いたいものがあるからまたお昼にね」


「ええ、またお昼に」


ソフィアさんを別れた後ロータスが妙に静かなのに気付く

「どうした?」


「ベータテスターのソフィア…しかもナイフ使い…」


「おーい?」


「あぁ、いや何でもないよ、次の店行こうか」


そう言って歩き出すのだがそのまま次の店に着くまでロータスはどこかぼーっとしたままだった。




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