62話 戦女神からのお知らせ
お久しぶりです。
1年ぶりぐらいでしょうか?
長い間放置していて申し訳ないです。
これからちょこちょこ投稿していければと思いますのでよろしくお願いします。
どのくらい時間がたっただろうか。
あまり進んでいるとは言えない英語の参考書を閉じて時計に目をやる。
午前11時半過ぎ、まぁ時間的には切がいいと言えなくもない。
蓮華との約束は午後1時、少し余裕をもって昼食を済ませてしまおう。
決して集中力が切れた言い訳ではない……多分。
それに蓮華の事だから予定を早めてログインするとか言ってきそうだし。
昼食は冷凍のうどんと卵を茹でた物に粉末のうどん出汁を入れるだけ。
冷蔵庫に刻みネギのパックがあったのでそれも入れておこう。
10分足らずで完成。手抜きと言えば手抜きだが自分一人のご飯なんてこんなものだろう。
一人で黙々とうどんを啜っていると蓮華から電話がかかってきた。
「おはよ~雛くん」
「おはようってもう昼前だけど」
「私は今起きたからおはよう」
「春休み初日からだらけすぎじゃないか?」
「えへ~、それより雛くんは今何してるの?」
ここは照れるところじゃないだろう……。
「昼ご飯食べてる」
「ふーん、じゃあ予定より少し早めにインする?ちなみに今日の昼ご飯は?」
「まぁ予定もないしいいよ、昼ご飯はうどん」
「おっけーじゃあ12時半からで、うどんかー私も昼ご飯うどんにしようかな、それじゃまたあとでー」
「了解」
うん、予想通りだった。
昼食の片付けも終わり自室に戻る。
12時半まで数分、ゲーム内では1時間半程度あるが街で消耗品等も買っておきたいので先にログインしてもいいか。
目を開くと宿の天井、それとウィンドウに幾つかのログ。
・知識の祝福によりサブ職業で制作可能なアイテムが追加されました。
ふむ、一応目を通しておこう。
追加されたのは改良された爆薬や圧力で作動するスイッチなど。
地雷が作れる?
まぁ前からリストにあった物との組み合わせで作れるものもあるだろう。
消耗品の買い出しついでに考えるのもいいかもしれない。
読み終えたウィンドウを閉じてベッドから体を起こす。
「やっと起きたか主よ」
「ッ!?」
声に驚き咄嗟にベッドから転がり降りてナイフを構える。
「起き抜けから元気だな」
ナイフを構えたまま声の聞こえた方を見ると、どことなく呆れたような表情をしたブリュンヒルデが窓辺に腰掛けていた。
よくよく考えてみれば宿の中は戦闘ができないのだから警戒する必要はなかったが、それだけ驚いたのだ。
それにしても何かのイベントフラグか?よくわからない。
取り敢えずナイフを腰のシースに戻し用件を聞く。
「えっと、何か用?」
「用がなければ出てきてはいけないのか?こんな美女を相手に随分と素っ気無いのだな主は」
全く感情の感じられない声音で淡々と話すブリュンヒルデ、話し方のせいで冗談なのか本気なのかもよくわからない。
「まぁ、用があって出てきたのだが」
あ、あるんだ。
「それで、用件は?」
「ふむ、主をからかっても反応が薄くてあまり面白くないな、人付き合いとか大丈夫なのか?」
NPCにコミュニケーション能力を心配されたよ、余計なお世話だ。
「それで用件についてだが、蒼の血清集めるにあたって1つ警告しておこうと思ってな」
思ったよりもまじめな話っぽいな
「血清を使用するには体や精神に負荷がかかるが、それは使用した本数が多くなるほど大きくなる
今の主の状態では今使っている2本が限度だ」
「つまり別の血清を使うには経験を積めと?」
「簡単に言うとそういうことだ」
なるほどシステム的な制約のお知らせイベントって事か?
タイミングが謎過ぎて驚いたけれど取り敢えず当分はクエストをこなしてレベル上げという目標ができた。
まぁレベル上げが目標というのも悲しいけれど、具体的な目標が何もないよりはいいだろう。




