58話 暗殺ギルドハーメルン支部拠点制圧作戦11 吸血鬼の死
向かってくるマグスに射手達は射撃を続けるがマグスは撃たれるのも構わずに一直線に駆けていく。
その背中を追うのだから当然いくらかの弾丸や矢がこちらにも飛んで来る。
頬を掠める弾丸に冷やりとしながらも間に合えと願う。
マグスは射手達の中で一番近くにいたロータスに狙いを定めて拳を振り上げる。
間に合わない
そう思った瞬間マグスの背中から銀色の何かが紅い血液をまき散らしながら飛び出る。
次の瞬間には蒼い炎が背中の傷を塞ぐように燃え上る。
ロータスと入れ替わるように前に出たアリスがレイピアを突き刺したのだ。
「ベルさん!!」
アリスの叫び声が響く。
この状況はチャンスだ。
吸血鬼のマグス相手に正面から吸血を仕掛ければこちらも吸血されるだろう。
そうなれば後はHPの奪い合いになるがレベルが上であろうマグスに分があるのは明白だ、その上蒼の焔の回復力がHPにも作用する物ならこちらに勝ち目はない。
だが背後から取り押さえてしまえば話は別だ。
胸元に刺さったレイピアから逃れようと後ろに飛ぼうとするマグスの背中に飛び掛かりナイフを突き刺す。
「グァッ」
アリスに伸ばそうとした腕を背中に回し動きを封じる。
首に噛みつき吸血すると同時に視界が蒼い炎で覆われる。
炎に口元が焼かれるが吸血による回復ですぐに再生する。
口の中に血液とは思えない甘い香りが広がると同時に警告音と共に視界にウィンドウがポップする。
・警告:非敵対者に吸血行為《同種》を目撃されました。
吸血行為を目撃したアンデットとの交友ボーナスに一定時間ペナルティが発生します。
重要なことが書かれている気がするが今はそんなことを気にしている場合じゃない。
尚ももがくマグスを地面に押さえつけ血を啜る。
「クソがぁあああ!!」
叫びながら尚も僕を引き剥がそうともがくが遂にHPが尽きてきたのかその手足が次第に灰へと変わっていく。
首元まで灰に変わり血も吸えなくなったところでマグスから離れる。
「お前は……必ず殺す」
完全が灰へと変わったマグスは怨嗟の言葉を残して一際強く吹いた風にその形を崩され塵となり彼方へと飛ばされていく。
やったか?なんてお約束を言う奴もいない、今度こそ本当に終わりだ。




