55話 暗殺ギルドハーメルン支部拠点制圧作戦8 ボス戦前
という訳で本人に連絡を送ってみる。
「何ですか!今取り込み中なんですけど!!」
無線がつながった瞬間ミスティの怒声と共に破砕音と蒸気の漏れるような音が響く。
「状況は?」
「最悪です」
短い返答の後に立て続けに破砕音が聞こえる。
いったいどんな戦闘になっているのか……。
「合流するにしても室内じゃ人数が多いと逆に戦いにくいよな」
呟いたところでレイドパーティーチャットからシグが割り込んでくる。
音量を最小にしていたから存在をすっかり忘れていた。
「じゃあ外におびき出せばいい、外の敵は全部片付いてるぞ」
「簡単に言いますね……やるだけやってみます」
シグの言葉に苛立ちを隠さずに答えるミスティ。
「それじゃ正面の入口付近に精鋭を付けておくからベル君達はそっちで待機しててくれ」
「わかりました」
そうだ、階段を潰したことを伝えておかないと
「地下1階から地下2階の階段は倒潰させてあるから使えない、南西の角の部屋に地下1階から地下3階まで縦穴を作ってるからそっちから移動してくれ」
「了解」
ミスティの返答を聞き通信を切る。
さてこっちも移動しておこうか。
シグの言葉通り外の敵は片付いていて正面の入口は死体の山が出来上がっていた。
見える場所にヤタガラスのメンバーはいないがどうやら隠れているようで視界の至る所にレイドメンバーを示すマーカーが表示されている。
何とも心強い事だ。
さてマグスとの接触に備えて装備の確認をしておこう。
アイテムパックから戦闘中に紛失した分の投げナイフを取り出してナイフベルトに付けておく。
アンカーショットの火薬を補充してワイヤーと鏃を交換する。
レイピアはだいぶ酷使しているがもう少し頑張ってほしいところだ。
途中で折れたりしないよね?
ショットガンはどうしようか、持っている装備の中では断トツで重いのだ。
それに近接戦では邪魔になる場面も多い、それに混戦になると使いにくいだろう。
思い切ってアイテムパックの中にしまってしまおう。
アリスとロータスの準備も整ったようだ。
パーティーメンバーだけなら勝てるかどうか怪しいがヤタガラスの精鋭の支援がある。
数で押し切れば勝機は十分にあるだろう。
後はミスティがマグスをおびき出すのを待つだけだ。




