53話 暗殺ギルドハーメルン支部拠点制圧作戦6 合流準備
階段の上からナイフを投げる、敵の眉間に刺さる。
一人撃破。
ロータスがショットガンの引き金を引く、散弾が敵の頭を吹き飛ばす。
一人撃破。
ロータスのリロードの隙をついて敵が階段を駆け上がってくる、レイピアを引き抜き眉間に突き刺す。
一人撃破。
これで全員片付いたかな?
「この後はどうする?」
ロータスがショットガンをこちらに渡しながら言う。
「アリスと先に合流するか、いったん上に戻って屋外の人と合流するか」
取り敢えずシグに相談するか。
無線を操作してシグに現状を報告する。
報告を聞いたシグは特に迷う様子もなく返答してくる。
「取り敢えず外の方は殆ど片付いてるから先にアリスと合流すると良い、全部片付いたら腕のいい奴を中に送る」
ありゃ、もう片付いてたのか思ったより時間がかからなかったな。
「それよりミスティの事の方が気になるな」
「というと?」
「マグスがミスティとまともにやり合えてるのが少し不思議でな、というか私の知っているマグスは人間だった」
「ということは、別人?」
「そうだな、マグスを名乗る別人と考えるのが妥当だろうな、その偽マグスがハーメルンでどういう立場なのかは知らないが」
ふむ、よくわからないが取り敢えず早いところミスティと合流した方がよさそうだな。
「分かりましたアリスと合流したらすぐにミスティと合流します」
「あぁ」
通信を終えてレイドパーティーチャットの設定を元に戻す。
さて肝心のアリスはどんな状況だろうか?
「あ、ベルさん」
「アリスそっちの状況は?」
「こっちは地下3階です、ただ人が多くてこれ以上上には……」
「そうか……やっぱり地下2階が問題だよなぁ」
何か方法は、と考えつつ地面に目を落としてあることに気が付く。
「ロータスちょっと離れて」
「ん?はいよ」
ロータスが僕の後ろに下がったことを確認してから地面に向けてショットガンを撃つ。
「うっそぉ……」
ロータスが呆れたように言う。
気持ちはわからなくもない、これはゲームとしてどうなんだろう?
それとも元々こういう事もすると想定したうえでの設定なのだろうか?
ともあれ僕の予想通り床板はショットガンに吹き飛ばされた床板の穴からは階下が見える。
ここの床は殆どが土が剥き出しだが一部だけ木材でできている箇所があった、天井に見えている風景も同様だ。
どうにか破壊できれば階段を使わなくても移動できるし階段そのものを破壊出来れば敵の足止めも出来ると考えたのだが、大抵のゲームではステージ系のオブジェクトは破壊不可能になっている。
正直なところ出来るとは思っていなかったのだが……。
何でも試してみるものだ。
「銃声が聞こえましたけど……ベルさん大丈夫ですか?」
「ああ、こっちは大丈夫だ、それより天井が木材になってる部屋を確認しておいてもらえるか?」
「ええ、それはいいですけど」
「それじゃあ頼んだ、また後で連絡する」
「わかりました」
アリスに確認してもらっている間にこちらの準備も済ませておこう。
「やるよ」
「はーい」
ロータスに声をかけ返答を確認してから手に持った紐を引っ張る。
直後連続して数回の爆発音が響く。
少し遅れてギギギと木のきしむ音が響いた後大きな音を響かせて地下2階へと続く階段が崩れ落ちた。
コルヴォさんとの一件の時に回収した爆薬がこんなところで役に立つとは……。
僕には構造物をピンポイントで爆破できるような知識はないのだが罠師の補正のでどこに設置すればいいのかは手に取るように分かった、知らないことのはずなのに分かるというのはなんとなく奇妙な感覚だが。
具体的には階段のとこの階の床の継ぎ目部分にレイピアで数か所に穴をあけそこに爆薬を仕掛けた。
さっきの作業でレイピアを結構酷使した気がする。
刃こぼれなどは見当たらないが、戦闘中に折れたりしないか?
まぁそれはともかく後はアリスの確認待ちだ。




