52話 暗殺ギルドハーメルン支部拠点制圧作戦5 地下2階撤退戦。
このあとのことは考えていない、だけど3人で敵う相手ではない。
だから可能性のある方に掛けるのだ。
部屋の外から足音がする。
これだけ騒いでいたのだから気付かれて当然だろう。
ドアの方へと振り向きながら肩にかけているショットガンのスリングをずらして腰だめのままドアに向けて撃つ。
木製のドアはそれだけで吹き飛ぶ。
背後ではミスティを吹き飛ばしてマグスがこちらに向かってくる。
「逃がすわけないだろう?」
後ろで声がするが気にせずに絶影を発動して思い切り踏み込む。
空いている左腕で前を走るロータスを抱えさらに踏み込む。
「後ろ任せた!!」
「了解」
ロータスは何処か楽しそうな声で落ちないように僕の首に腕を回すと僕の肩越しにその手に持った拳銃の引き金連続でを引く。
動く前にロータスは拳銃の弾丸を入れ替えていたから中身は銀弾だろう。
耳元で射撃音が3連続、突然の大音響に左耳が麻痺するが問題はない。
「ぐぁっ」
ロータスの射撃が命中したかどうかは振り返らなくても今僕が後ろから攻撃を受けていないことを考えれば明白だ。
ミスティもいる、後ろの心配はしなくていい。
正面にも敵が迫っている。
狭い通路を塞ぐように3人の男が銃を構える。
正面からの突破は無理かな?
絶影の方向を右側の壁に変えて、壁を数メートル走り敵を超え地面に戻る。
そのまま上階への階段を目指し走り続ける。
後ろの敵はロータスが射撃で牽制し、前からくる敵は絶影の速度を生かして体当たりで吹き飛ばす。
敵に攻撃され続けているからかリベンジスタンスの効果が発動しているようで時間を追うごとに体が軽くなっていく。
上階への階段に辿り着き一気に駆け上がる。
この階は制圧済みなので此処から上がってくる敵を相手にしていれば後ろから襲われる心配はないだろう。
ロータスを降ろしてナイフを抜く。
ショットガンが邪魔か?
ロータスに預けよう、補正があるはずだから僕よりも扱いも上手いだろう。
「軽いなぁこれ」
ショットガンを受け取ったロータスが意外そうな表情をする。
「そうなの?」
「いや思ったよりってだけだけどね、それよりそろそろ来るよ」
ロータスのいう通り敵の足音も大分近づいてきている。
「分かってる」
ロータスと階段をはさむように壁に身を隠す。
投げナイフを左手に持っておく。
ミスティはどのくらいマグスの足止めができるだろうか?
この後どうするにせよ時間の余裕はあまりない。
多少強引でも早く戦闘を終わらせて次の事を考えなければ。




