42話 復讐者が忘れていたお話
短めです。
今日中にもう1話上げる予定です……予定です
ログアウトしようとしたその瞬間通信を知らせる無線機の音とともに通知が視界の端に表示される。
誰だろうか、なんて考えつつ通知欄を確認した僕は少し固まる。
アリスからだった……完全に忘れてた。
NPCから通信が来ることもあるのか、なんて考えながら応答ボタンを押す。
「ベルさん!!よかった無事だったんですね!!」
「あ、あぁ、うん、そっちも無事だったんだね」
忘れてた事は黙っておこう。
「なんですかその微妙な間は……とそんなことよりそちらの状況は?」
「今はエーアストの宿に居るけど」
「え?」
「え?」
何かおかしい事でも言っただろうか?
「荷物の奪還は?」
「被害が大きかったから一回撤退して後日奪還って流れになったけど」
「どういうことですか!!どこですかここは!!」
いやアリスがどこかなんて知らない……。
「落ち着けよ、そっちの状況は?」
「直ぐに奪還作戦に移行すると思って襲撃の直後に馬車の荷物の中に隠れてたんですけど、そのまま敵の拠点に運ばれたみたいで……見つかっては居ませんけど身動きが取れない状況です」
なるほど、NPCの救出イベント的なアレか?
「場所がわかるような手がかりとかは?」
「細かい場所までは……私の感覚なのであまり正確ではないと思いますが襲撃された場所からは北西に15キロくらいでしょうか」
感覚で距離と方向がわかるのか……獣人だから野生の感的な物だろうか?
この情報だけだと動きようがないのだが……とりあえずウェルターさんに伝えた方が良いかな?
「ちょっと人が来たので隠れます、何か分かればまた連絡します」
どうしたものかと悩んでいるとアリスはそう言って通信を切ってしまう。
ふと視線を感じて横をみると
「何だったの?」
とロータスがこちらを見つめていた。




