41話 初めての死に戻り
更新遅くなってすいません。
ちなみに今月入ってすぐに風邪ひきました。
ただでさえ人の少ない職場が軽く大変なことになってました。
皆さんも季節の変わり目なので体調にはお気をつけて。
「この調子なら問題無さそうだな」
前方の銃撃戦を眺めながらウェルターさんがどこか拍子抜けしたような雰囲気で言う。
別に苦戦を願っていた訳ではないが確かに思っていたより楽だった。
まだ終わったわけではないので油断はできないが……。
周囲を警戒しつつ前方の戦闘を眺めていると敵もほぼ倒したようでわずかに残った敵も脇道へと逃げていく。
「ふぅ……ん?」
やっと一息つけると深く息を吐いたその時、前方で何かがちらりと瞬いた気がした。
気のせいかと思ったのだが妙に気になって前方の地面を凝視する。
だが特に違和感のある場所はない。
「ベル、どうかしたか?」
僕の様子に気付いたウェルターさんが声をかけてくる。
「いや……」
何もない、そう言おうとしたその瞬間先ほどまで凝視していた地面に見覚えのあるエフェクトが発生する。
「罠だ!!横に避けろ!!」
慌てて叫ぶが、気付くのが遅かった。
僕の声を聴いた荷馬車の御者が反応して横に避けようとするがそんな努力もむなしく罠を示すエフェクトがキラキラと照らす地面を馬が踏み抜く、ボンッと火薬のはじける音が鼓膜を揺らし爆風を受けて思わず顔をそむける。
爆発に驚き暴れる馬から落ちないように何とか耐えながら眼を開くと血を吹き出しながら倒れていくウェルターさんと眼前に迫った剣が見えた。
避けようと思った時にはゲーム開始時に立っていたエーアストの噴水のある広場の前に立っていた。
首元に感じる痺れと言いようのない気持ち悪さが自分がこのゲームで初めて死に戻りしたことを実感させる。
視界にウィンドウがポップしてくる。
何とはなしに読み進めるとどうやら死亡時の注意事項らしい、こういうのってゲーム開始時に出てくるものじゃないのか?
まぁそれはさておきこのゲームでは死亡時に一定確率で装備品を死亡した地点でドロップすることがあるらしい、まぁこの手のMMOにはよくある仕様だ。
そして死亡時の状態によってはステータスに一定時間ペナルティが発生するらしい、特に死亡時に欠損等のステータス異常を負っていると場合によっては一定時間その部位が動かないこともあるとかなんとか。
吸血鬼の種族特性に欠損ペナルティ無効があるのでこの辺はあまり関係ない気もするが首元の違和感はそういうことなのだろう。
取り敢えず装備品を確認してみたが運よく(かはわからないが)特に落としたものは無いようだ。
さて、そんな事はさて置き依頼はどうなったのだろうか。
というか死に戻りは自分だけなのか?
なんて考えていると横から声がかかる。
「いやー、まさか荷物の被害考えないで大型の罠仕掛けてるとは思いもしなかったよ」
どうやらロータスも死んでいたようだ。
「あぁ、罠探知もギリギリまで発動しなかったから対応できなかった」
「まぁ馬上だったしなおさらだよねぇ、それより輸送はどうなっちゃったんだろうね」
しばらく二人で意外とあの状況から立て直してるんじゃないのかなんて話しているとウェルターさんから通信が来る。
そういえばメッセージやフレンド間の通信やインベントリの管理、ログアウト等のシステムコンソールは初期から持っている無線機の機能なのだがこれが壊れたり失くしたりしたらどうなるのだろうか?
ひょっとして破壊不可能オブジェクトだったりするのだろうか?
まぁ今はそんなことはどうでもよくてウェルターさんからの通信だ。
「ベル、先に確認するが今どこに?」
「エーアストの噴水広場ですロータスも一緒です、そういうウェルターさんは?」
「俺はヤタガラスの本部だ、ホームポイントがここに設定してあるから死ぬとここに戻される」
「移送の方はどうなりました?」
「NPCについては調べないとわからないが、プレイヤーはほぼ全滅だな、今偵察部隊を送っているが物資も既に奪われているだろうよ」
「そうですか……」
「今回は相手が悪かったんだよ、そう落ち込むな」
「はい」
「それにヤタガラスとしてもこのまま相手を見逃すってわけにもいかない、移送してた荷物もそうだが、うちのギルマスはギルドに手を出されて黙ってる様な奴じゃないしな」
「あぁ、確かにシグさんはやられたら倍にして返すタイプですよねぇ」
「そういう訳で、今回の護衛依頼は失敗だがこの件についてはまだやる事があるんでな、またそのうち声をかけると思う、そん時は頼む」
「はい、わかりました」
通信を終えてロータスにも内容を伝えると少し早いがこの辺でログアウトする流れに、何か忘れている気が済んだけど……。
まぁ思い出せないなら重要なことではないだろう。
少し早いが適当に宿をとってログアウトしよう。




